(なんでこんなことになったんだっけ……) 靄がかかったようにぼうっとした思考を何とか回転させながら、霜桐雪奈は目の前の神田颯乃を見やる。 彼女は何故か一糸纏わぬ姿で跪き、懇願するような目で雪奈を見つめていた。 普段は力強く凛々しい光を湛えるその瞳は目尻が垂れさがり、力なく開けられた口からは舌が飛び出し、だらしなくよだれを垂れ流している。ポニーテールが揺れる頭にはどこから手に入れたのか、美しい黒髪によく似合う猫耳のカチューシャが着けられていた。 「雪奈ぁ……はやく、それを私に……」 物欲しそうに颯乃が雪奈の手にあるものを見つめる。 視線を落とすとそこには犬猫に着けるにはサイズが合わない、いわゆる『そういうこと』に用いられるための首輪があった。 (あれ……こんなのどこで手に入れたんだっけ……?まあいいか、どうでも……) どんどん落ちていく頭の回転が、いつの間にか手に握られていたそれについて考えることを放棄する。 そんなことよりも目の前の颯乃だ。真面目で品行方正で、力強くかっこいい、雪奈がそんな印象を抱いている彼女が普段考えられないような淫らな姿を晒している。これまで何度か身体を重ねたことはあったが、そんなその時でもこんな様になる颯乃は見たことがなかった。 そしてそんな颯乃の姿に雪奈はひどく興奮した。この感情には覚えがある。アトラーカブテリモンの森の一件で颯乃が入院し、それを看病していた時のことだ。あの時も弱った彼女がとても魅力的に見えたことを覚えている。ギャップ萌えとでもいうのだろうか、颯乃の普段見せない女らしい部分も惚れた理由の一つだ。 「こんなの付けてほしいんだぁ……まるで雌猫だね、颯乃ちゃん」 普段からは想像もできないような嗜虐心に溢れた声音が発せられる。 しかし颯乃はその様子に何の疑問も持たず、雪奈の言葉に嬉しそうに何度も頷いた。 だがいつもの雪奈なら颯乃の望むことはすぐにでも手を貸そうとするのに、今日に限っては手の中の首輪を弄んでわざとらしく焦らす。 「どうしようかなぁ……今の颯乃ちゃんは猫ちゃんだしなぁ……ちゃんとしつけないと悪い子になっちゃうなぁ……」 お預けを喰らった颯乃がしょぼくれたような顔をする。その姿は猫というよりむしろ叱られた犬のようにも見えた。やっぱり颯乃ちゃんは動物で例えるなら猫より犬だよねなどと、そんな考えが雪奈の中で過った。 少し考えた雪奈は自分の白いソックスに指をかけ脱ぎ捨てる。そして露わになった爪先を、よだれを垂らして懇願する猫の眼前に突き付けた。 「舐めて」 いつもならしないような提案、否、命令を下す。颯乃のように自分も様子がおかしいなどとは雪奈自身も気が付いていない。 服従の証を示すよう命令された颯乃は恭しく白い脚を手に取ると、水皿から水を飲む猫のようにぴちゃぴちゃと水音をさせながら爪先に舌を這わせた。 「はっ……んっ、ちゅる、じゅる、んん、はっ、はっ……ちゅぱ、じゅる、んっ……ぴちゃ、ちゅ……」 丹念に爪先に舌を纏わせ、唾液で濡らしていく。時折口に含んで貪るように足指に吸い付いた。 そんな一心不乱に舌を這わせる颯乃の姿に雪奈の中で何かがぞくりと蠢いた。 (ああ、颯乃ちゃんそんなに夢中になって……かわいいなぁ……) 本来なら対等な関係のはずの恋人にこんなことをさせているのに、覚えるのは罪悪感ではなく征服感だった。いつもの強く凛々しく頼もしい颯乃が自分に跪き、言われるがままに足を舐めている。その事実が雪奈を高揚させる。その証として下着が分泌された愛液を湛え、じっとりと濡れているのを感じた。 いっそふやけるまで舐めさせようかとも思ったが、それでは埒が明かない。もう十分満足したと感じた雪奈が足を引っ込める。一瞬颯乃が名残惜しそうな顔をし、それがまた雪奈の興奮を昂らせた。 「よくできました。そんなにこれを着けてほしいんだぁ……じゃあおいで、颯乃ちゃん」 「はい……」 颯乃が首を差し出す。雪奈は武勲を湛える騎士に報酬を授けるように、手にした首輪をその細い首に少しきつめに巻き付けた。 対等な恋人ではなく、主人とペットの証である首輪を巻き付ける。その行為に二人は何の疑問も浮かばない。 一瞬颯乃が苦しそうに呻く。その瞬間、股から雫が垂れるのを雪奈は見逃さなかった。 「あぁ……」 与えられた証を恍惚の表情で手を添える颯乃。雪奈はそこに手を重ねると首輪に指をかけ、強引に自分に引き寄せる。 「んぐっ!」 意表を付かれた颯乃が雪奈に向かって倒れ込む。雪奈はそれを受け止めると、口に接近した耳元に向けて囁いた。 「ねえ、颯乃ちゃん。猫ちゃんっていうには何か足りないと思わない?」 「んぅ?」 きょとんと、しかし何かを期待したような目を向ける颯乃。雪奈の手にはいつの間にか模造品の猫の尻尾が握られていた。普段ならコスプレ道具として衣服に装着されるはずのものだが、その猫の尻尾は雪奈が知るものと趣が違った。尻尾の付け根に水滴状のシリコンの塊が付いている。 いつもなら見たこともないこんなものの使い方など知る由もないのに、今はこれをどうやって使うのか何故か理解できた。 (あれ……?こんなもの持ってたっけ……?まぁいっか……) 湧きだした疑問もすぐに意識の底に沈み、雪奈は手にしたそれを颯乃の眼前に突き付ける。 ふらふらと揺れるそれに颯乃の目は釘付けになった。 「それじゃあ颯乃ちゃん、お尻出して」 有無を言わさぬ口調で命令する。颯乃は抗議も抵抗もする意思を見せず、四つん這いになり雪奈の眼前に臀部を差し出した。 おもむろにそれを鷲掴みにする。剣道で鍛えられたそれは手に収まらないほどに大きく、それでいて程よい固さと柔らかさを奇跡的なバランスで保っている。小刻みにふるふると揺れるそれを一瞬思い切り叩きたくなったが、流石にそれは我慢した。 広げると股からはとめどなく興奮の証が滴り落ち、谷間に鎮座する不浄の穴は何かを期待するかのようにひくひくと痙攣していた。 「はぁー……はぁー……」 これから何をされるのか理解した颯乃の呼吸が乱れる。その顔には不安と期待が入り混じっていた。 雪奈は下着を下ろすと自分の股から滴り落ちる愛液を尻尾の水滴状の部品に纏わせ、次いで颯乃のそれも同じようにすくい上げる。つまみ食いのようにブレンドされたその液体を一舐めすると、甘酸っぱい匂いが口いっぱいに広がった。 十分に濡れたその部品の先端を颯乃の尻の穴に這わせる。 部品と同じように穴を愛液で濡らす。潤滑液の役割を持たされたそれはぬらぬらと光を反射し、穴の縁をコーティングした。 準備ができたその部品の先端を穴に這わせる。少し力を入れると穴をかき分けて侵入し、しかしすぐに引っ込める。 またしてもお預けを喰らった颯乃が切なそうな声を漏らす。 「んー……んんぅー……雪奈ぁ……焦らさないでぇ……」 颯乃の甘えたような声にまたしても雪奈の中の何かがぞくりと蠢く。 先端を入れては出し、前後させ、ぐりぐりと旋回させ、その度に上擦った様な声をあげる颯乃の反応を楽しんだ。 「んひっ!ふぐっ!ふにゅ!雪奈ぁ……はやくぅ……」 「まだだーめ……うーん、やっぱり入れちゃえ」 「ひぐっ!!!んんんんんんんんんんん!!!!」 颯乃の不意を突くように一気に尻尾の部品を穴に突き入れる。十分にほぐれた穴は自身より大きなそれを受け入れ、水滴状の塊がすっかり中に収まった。 唐突に臀部に生じた異物感が背筋に衝撃を走らせ、油断していた颯乃はエビ反りになりながら声をあげた。 股からは噴水のように水が吹き出し、眼球の裏が幾度も明滅する。 「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー……」 今まで感じたことのない未知の感覚に息が荒くなる。雪奈はそんな弱った颯乃の様子を愛おしく感じ、膝に頭を乗せた。 「颯乃ちゃん……わたしのかわいい雌猫ちゃん……」 「雪奈……ご主人様ぁ……にゃん……」 身も心も猫になった颯乃がごろごろと喉を鳴らしながら雪奈の腰にしがみつく。 優越感と嗜虐心が煽られ、己の口角が吊り上がっていることに雪奈は気づかなかった。 もっと颯乃の普段見られない姿を見たい。そう思った雪奈は颯乃の濡れそぼった股に手を伸ばした。 すっかり出来上がっていた陰部に一気に指を二本突き入れる。 くちゅりと音を立て、一切の抵抗なく受け入れたその領域に雪奈の指が我が物顔で分け入った。 「んにゅ!んんぅぅ!!」 突然の感触に声をあげる颯乃に構わず、雪奈はその内部で指を前後させる。 普段の相手を気持ちよくさせることを目的とする愛に満ちたものとは違う、相手の痴態を曝け出すことしか考えていない容赦のない動きに颯乃の意識がかき乱された。 「ひぐっ!んっ!んぁ!あぁ!んぎっ!あっ!くぁ!んんっ!」 「あはっ!颯乃ちゃんすごい顔してる!とってもかわいいよ!!」 涙と汗と唾液でぐちゃぐちゃになった顔を見下ろしながら、その手は容赦なく颯乃を攻め立て続けた。 陰核を指で押す。二本の指で内を広げる。三本目の指を入れる。その度に全身に広がる快楽に颯乃があげる声は激しさを増し、それが雪奈のボルテージを更に高めた。 脳を直接揺さぶられるような快楽の応酬に耐えられず腰が浮き上がる。 「ああっ!!んぁ!!あっあっあっ!!あんっ!!んぐっ!あっ!あっ!!んはっ!!あんっ!あっあっ!!ああんっ!!!」 「はぁ、はぁ、はぁ、どう颯乃ちゃん!そろそろイク!?イッちゃいそう!?」 「あっあっあっ!イグ!イグ!イッちゃう!わらひ、ご主人様の指でイッちゃう!!」 「ダメ!まだイッちゃダメだよ!もっともっと颯乃ちゃんのかわいい顔をわたしに見せて!」 「そん、な!んぁ!もう、我慢できなっ!ああっ!!イッ!イグ!イグっ!!んんっ!!ああああああああああああああああああああぁあああぁあっ!!!!」 再び股間から噴水のように愛液をまき散らし、雪奈の袖を濡らした。 決壊したダムのように一気に力が抜けた颯乃は、びくびくと痙攣しながら焦点の定まらない目で虚空を見つめている。 手に付いた颯乃の愛液を舌でなめとりながら、雪奈はイッたばかりの颯乃を見下ろしていた。 「あーあ、イッちゃだめって言ったのに。言うことを聞けない雌猫ちゃんにはお仕置きだね……」 手早く颯乃を転がし俯せにさせると、腰を持ち上げる。眼前には尻穴に差し込まれた猫の尻尾があった。 「ひぅっ……ご主人様ぁ……私……ひぐぅ!!」 颯乃の弱弱しい言葉を無視して尻尾を掴み、そのままぐりぐりと動かす。ゴリゴリと穴の中で尻尾の先端が暴れまわり、内壁を引っ掻いた。 「んあっ!!ご主人様ぁ、イッたばかりで今、感じやすいんぎぃ!」 「雌猫ちゃんが人間の言葉を喋っちゃダメだよ」 「イギっ!!にゃぁぁん!!!」 バチンと甲高い音を響かせながら颯乃の尻に平手を張った。 きめ細かい白い肌に真っ赤な紅葉が咲く。 尻から発生した衝撃が肌を通して全身に、そして体内にある尻尾の先端を内壁にぶつけ、それが颯乃の意識を殴りつけた。 そのまま指の動きを更に激しくさせる。より敏感になった全身に再び快楽が走り、いつも以上に刺激が強くなる。 括約筋が尻尾を逃すまいと穴を引き絞り、それがより刺激を感じやすくさせた。 すぐに絶頂までの限界まで快楽が溜まり、溢れ出しそうになる。 「ひがっ!ああっ!くぁ!!にゃぁあっ!!あんっ!!んくぅ!!んきぃ!にゃあ!!」 「またイッちゃう?さっきみたいにみっともなくイッちゃう?いいよ!今度はイッちゃっていいよ!」 「はぐっ!あぅ!!んおっ!!んぎぃ!イッ!イグ!まら、まらイッちゃう!!んにゃあっ!!」 颯乃が絶頂するタイミングに合わせて、尻尾を一気に引き抜く。それを合図に颯乃の股からは再びダムが決壊したように潮を噴き出した。 「んにゃ!!!にゃあああああああああああぁああああああぁああああぁあああっ!!!!!」 体力自慢の颯乃も流石に限界となりぐったりと横になる。 尻尾の抜けた尻穴が広がり、颯乃の内部がよく見て取れた。 口からはか細い呼吸音が聞こえる。 「お疲れ様、颯乃ちゃん。頑張ったご褒美をあげるね」 「ひゅー……ひゅー……」 返事をする体力すらない颯乃を横に寝かせ、雪奈は服をまくり上げると自分の乳房を外気へと晒す。 薄い桃色の乳頭が口元に近づけられると、颯乃はそれを口に含んだ。 「ふー……ふー……はむ、んん、ずずっ……んはっ、はんっ、ちゅぱ、んむっ……」 「ふふ、颯乃ちゃん赤ちゃんみたい……おっぱいまだ出ないのにね」 一心不乱に胸に吸い付く颯乃の頭を撫で、しかし反対の手は再び颯乃の股間に伸びる。 そのまま指を挿入させると、今度は先ほどと違いゆっくりと中を刺激し始めた。 一瞬びくっと痙攣するが、それでも颯乃は雪奈の乳房を離さない。 「ふっ!うぅっ、ふー、ちゅぽっ、あー……はむ、むぐっ、ふにゅ!じゅるっ」 「んっ、んんっ……んぁ……」 乳首を吸われたことによる刺激が雪奈の身体を駆け巡る。それでも颯乃の膣内をかき回す指の動きを止めることはない。 ちゅぱちゅぱと胸を吸う唾液の音と、膣内をかき回す愛液の水音がしばし二人の間に流れた。 「はぅ、はむ、あぅ、ちゅう、んむ……あむ、んん、んぁ……」 「ん、んふっ、んん……はぁ……」 先ほどの激しいやり取りとは違うゆったりとしたやり取りが続く。 徐々に徐々に溜められた快楽が、やがてコップの水をこぼすように二人から溢れた。 「ん!にゅ!んふぅぅ!!」 「んぁ!ん!んんっっ!」 同時に達した二人が息も絶え絶えにぐったりと並んで横になる。 そしてまた先ほどの疑問が雪奈の頭の中に浮かんできた。 (そういえば、なんでこうなったんだっけ……ブルコモンは……?まぁ、どうでもいいかぁ……) こうして颯乃を自分の思いのままにすることができる。今の雪奈の頭にはそれしかなく、それだけで十分だった。 颯乃の頭を胸に抱きよせ、愛おしそうに抱きしめる。 「颯乃ちゃん。わたしの大好きな雌猫ちゃん……ずっとわたしだけのものでいてね……」 「はぁー……はぁ……にゃん……」 二人は互いの陰部に手を伸ばし、何度目かとなる交わりを再開した。 ―――――――――――――――― 「――つな……せつな……雪奈!」 「んぁ……ブルコモン?」 「雪奈!気が付いたか?」 目が覚めると相棒の氷の小竜、ブルコモンが心配そうに覗き込んでいた。 横には寝息を立てている颯乃の姿がある。 寝ぼけ眼で辺りを見回す。先ほどまでいた森を少し外れた場所のようだ。 身体を起こすと毛布がずり落ちた。恐らくブルコモンがかけてくれたのだろう。 まだ頭がうまく回っていない中で、状況を整理しようと相棒に声を掛ける。 「あれ、わたしどうしたんだっけ……?」 「敵からの奇襲を受けたんだ。攻撃で意識が朦朧としている中、おれとゴブリモンを進化させ、お前たちは一先ず敵の影響を受けない場所まで離れる手筈になっていたんだが……」 「そっか……ありがとう、ブルコモン」 「礼には及ばん。下手人のベーダモンも見つけ、既に倒した。怪電波で先に二人から無力化を狙ったようだが、おれたちの敵ではなかったな。それとゴブリモンは周囲を見回りに行っている」 ブルコモンの言葉で朧気だった記憶がだんだんと蘇ってくる。 森を移動している最中、突如として謎の怪音と頭痛が二人を襲い、敵の攻撃を受けたと判断したためブルコモン達を進化させて一先ずその場を離脱。その後ブルコモン達は攻撃してきた敵を探しに行ったところで意識が途切れたのだ。 (じゃああれは夢……?) その割には妙に現実感がある。全身には疲労感が漂い、妙に喉が渇いていた。下着が湿り気を帯びており、服がぐちゃぐちゃになっている。 固い地面に寝て寝汗をかいたせいだろうかとそんな風に結論付けた。 まだ微睡みの中にいるような感覚がして、雪奈はブルコモンに尋ねる。 「ねえブルコモン、わたしまだ夢の中にいる?」 「おれに言われても分からん。自分の頬をつねってみたらどうだ?」 言われるがままに頬をつねる。ちゃんと痛みを感じ、今は確かに目覚めていることが実感できた。 「んぅ……」 その時、颯乃が目を覚ました。 横になったままぼうっと辺りを見回す颯乃の顔を雪奈が覗き込む。 「颯乃ちゃん!大丈夫?」 「あ、ああ。雪奈……大丈夫だ……」 「おっ、颯乃も目を覚ましたか。待ってろ、今ゴブリモンを呼んでくる」 その場を後にするブルコモンを見送り、颯乃に視線を移す。その顔は耳まで真っ赤に染まっていた。 様子がおかしいと感じた雪奈は、ブラウスの緩んだ襟元から覗く絞められたような跡と、颯乃の手に先ほどまで着けられていた首輪が握られているのを目にした。 「あっ……あああ!!!」 一気に先程まで何をしていたのかを思い出す。 そして手に持つそれがあの痴態が現実であったことを示していた。 羞恥心と罪悪感が一気に押し寄せた雪奈は、すぐさま颯乃に向かって勢いよく頭を下げる。 「あのっ、本当にごめんね!正気じゃなかったからって颯乃ちゃんにあんなことしちゃって!……颯乃ちゃん?」 顔を上げると颯乃がもじもじと視線をあちこちに泳がせていた。 そこでふと閃く。そう言えばこの道具がどこから来たのか。 自分が入手した覚えはない。奇襲してきた敵と接触した覚えがない以上、そいつが用意したというわけでもない。つまりーー 颯乃が羞恥と期待に染まった瞳を向ける。その顔がまたもや雪奈を興奮させた。 そして絞り出すような声で言った。 「その……すごく気持ちよかった……できればまたやってほしい……」 「……………………うん」 ゆっくりと首肯する。 雪奈の中で何かがぞくりと蠢いた気がした。