スバルVS賭撥 「……っくっそー!!負けた!!」 「俺の勝ちだぜ!」  突発的に始まったデュエルの終わりは呆気なく賭撥はカードをデッキケースに戻しながら勝者であるスバルへと近付く。 「いやーコピーデッキとだなんて初めてだったけど楽しいもんだな!オレ結構変な組み方してると思うんだがよくあれだけ回せたなお前!」 「ふっ色々とアレンジを加えさせてもらったからな」 「アレンジ?」 「あぁ俺が使う為にもう少し安定する様に数枚入れ替えたんだよ」 「ほーんどれどれ見せてくれ」    スバルのギャンブルデッキを貸してもらいザッと内容を確認していく。確かに賭撥の安定度外視コイントスが決め手のデッキに比べるとちゃんとしているという印象を受ける。賭撥は使いたがらないセカンドチャンス何かもデュエル中にしっかりと使われていたしスバルなりにギャンブルと向き合ってくれていたのだろうと感じる。パラパラと最後まで見終わってふと気付く。 「あ…」 「賭撥?どうし…」 「は、はは!あーはっはっはっはっ!!!!」 「うおっ急に何だよ!」 「マスター急にどうしたよ、そんなに向こうのデッキのがよかった訳?」  急に笑い出した賭撥の周りをふよふよと飛ぶのはカードの精霊である伝説の賭博師だ。賭撥は伝説の賭博師を見ると更に笑い出した。 「ひ、ひひひ!お前だってさふふ、これ見てみろって!」 「あー?なに、あ"ん!?」 「お前スバルのデッキから抜かれてやがんの!!ひーー!!あははは!!」  デッキを見てわなわなと震える伝説の賭博師を指差しゲラゲラと笑う賭撥をスバルはぎょっとした目で見ていたがこれまでのデータ収集時(ストーキング)にも見られた現象ではあったので少し引きながらもスルーして帰り支度を始めた。 「はー笑った笑った!ん、もう帰んの?」 「あぁ次のデータ集めが待ってるからな」 「ふーん。な、またデュエルしようぜ!きっと次はオレが勝つからさ!」 「!ふふふそれはどうかなお前のデッキじゃ何回やっても俺が勝つぜ」 「はっ!ギャンブルってのはいつだって何が起こるか分からないのが良いんだ、安定も悪かないがやっぱドキドキした方が楽しいだろ?だからオレのデッキはこれで良いんだ次はちゃんと勝ってお前にもそれを教えてやる!っつー訳でLINE交換しねぇ?」 「良いぜ」   バチバチとした視線は一瞬で鳴りを潜め、携帯を仕舞った2人は握手をして別れる。カードショップでの日常とも言える一幕はこうして幕を下ろした。 「いやー楽しかったなスバルとのデュエル」 「……ぜってぇ次は負かしてやる!」 「ははは!そうだな次はちゃんとお前の力見せてやろうぜ」  メラメラとリベンジに燃える伝説の賭博師の背中を賭撥はバシバシと叩きながら家へと帰るのだった。 おわり