Whonixの導入手順(Windows 11環境下の例): 1. 仮想化ソフトウェアの選定とインストール - Windows 11では、VirtualBox、VMware、Hyper-Vなどの仮想化ソフトウェアを利用可能。 - Whonix公式サイトではVirtualBox向けのイメージを標準的に提供しているため、まずは最新のVirtualBoxをインストールするのが最も一般的。 2. Whonixイメージのダウンロード - Whonix公式サイト(https://www.whonix.org/)より「Whonix-Gateway」「Whonix-Workstation」用のOVAファイルを取得。 - ダウンロード時にSHA256やOpenPGP署名を用いてハッシュ値検証を行い、ファイルの改ざんがないかを確認する。 3. 仮想マシンのインポート - VirtualBoxを起動し、「ファイル」→「仮想アプライアンスのインポート」を選択。 - ダウンロードしたOVAファイルを選択し、「設定の編集」画面でメモリ割り当てや仮想CPUコア数など必要なリソースを調整。 - 通常はWhonix-Gateway、Whonix-Workstationの両方を順次インポートする。 4. Whonix-Gateway(ゲートウェイ)の起動・設定 - 先にWhonix-Gatewayを起動する。 - 初回起動時にはWhonix Setup Wizardが表示され、Tor接続の確認やシステムアップデートを行うプロセスが案内される。 - Torノードへの接続が完了したら、apt経由のシステムアップデートを実行して最新の状態に保つ。 - Gatewayのネットワークアダプタ設定はNATでもブリッジ接続でも可だが、VirtualBox上で「Whonix-Gatewayネットワーク(内部ネットワーク)」をWorkstationと共有する必要があるため、デフォルト設定を推奨。 5. Whonix-Workstation(ワークステーション)の起動・設定 - 次にWhonix-Workstationを起動。 - Gatewayと同様に初回のセットアップウィザードでTor接続確認とシステムアップデートを行う。 - Workstationのネットワークアダプタは「Whonix-Gateway内ネットワーク」に接続されていることを確認(デフォルト設定の場合、自動で割り当て済み)。 - Workstationでは通常のデスクトップ環境が提供され、ブラウザ(Tor Browser)などがプリインストールされている。 6. ネットワークの検証とリーク対策 - Workstation上から「check.torproject.org」などにアクセスして、Tor経由になっていることを確認。 - 外部IPアドレスがホストOS(Windows 11)とは異なるTorノードのものになっているかをチェック。 - 必要に応じてWhonix Documentationにある「Leak Tests」や「Stream Isolation」の手順を実施し、DNSリークなどが発生していないかを検証。 7. Windows 11側のセキュリティとプライバシー対策 - Windows 11の設定でテレメトリやクラウド同期、Cortana、位置情報などのプライバシーオプションを必要最小限に抑える。 - スリープや休止状態の際にメモリのスナップショットが保存される可能性があるため、パスワードロックのタイミングやメモリ暗号化(Hyper-VのVBS機能など)の設定を慎重に検討。 - ホストOS上でのウイルス対策ソフトやファイアウォールは可能なら例外設定を加えるなどして、仮想マシンのネットワークを不必要にブロックしないように調整(ただし完全に無効化は推奨されない)。 8. Whonixアップデートとメンテナンス - Whonixはセキュリティフィックスがリリースされた際に頻繁にアップデートが必要。 - ルート権限(またはsudo)で「sudo apt-get update && sudo apt-get dist-upgrade」を実行し、システムコンポーネントを最新に保つ。 - Tor Browser自体も定期的に更新されるため、ブラウザ起動時の更新通知に従ってバージョンを上げる。 9. 追加の匿名性強化(任意) - ホストOSレベルでVPN(Multi-Hop VPNやSSHトンネル)を利用し、Whonix環境に入る前にトラフィックを多段化する。 - Workstation側でも、Qubes OSライクなセパレートVMの利用やAppArmor/Firejailでのコンテナ化を検討すると、アプリごとの隔離が実現し、万一Workstationが侵害されても被害を最小限に抑えられる。 10. 運用上の注意 - Whonix環境を利用中は、ホストOS(Windows 11)から直接インターネット接続を行わない(特に同じブラウザで実名アカウントを開く等は厳禁)。 - WhonixはあくまでTorを強制経由する仕組みであり、利用者の操作ミスやホストOSの設定漏れによるリークリスクをゼロにするわけではない。 - 定期的にWhonixとTorの公式ドキュメントを参照し、最新の推奨設定や既知の問題への対応を行うことで、高い匿名性を維持できる。 上記手順に沿ってWindows 11上にWhonix Gateway/Workstationを構築すれば、ホストOSと分離された匿名化環境で闇ウェブへアクセスできる。