二次元裏@ふたば

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267663 B24/10/13(日)21:56:57No.1242592518そうだねx7 23:07頃消えます
こいつらの絵本描いた
前の話からちょい続いてるよ
こいつら
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/10/13(日)21:57:11No.1242592626+
「煙…?なんの?」
 僅かな音であった。
 ただ、強烈な違和感を勇太は感じた
 虫の知らせと言うべきか、とにかく強烈な嫌な予感を感じて勇太は音の方向を振り返った。
 勇太が目にしたのはアリーナの街から立ち上る煙であった。
 勇太達がアリーナの街を出て2日。
 山を1つ越えて、だいぶ距離もあるのに確認できる程の煙…勇太は、その煙が教科書で見たキノコ雲に見えた。
 光達もただ事ではないと思ったのか冷や汗をかいて凝視している。
「あそこ…街があった方向よね…」
 光が呟く。口に出さない事でまだ堰き止められていた不安感が言葉になった事で一気に全身を駆け巡り血の気が引くのを感じた。
勇太はチラリとブラックガルゴモンを見るとブラックガルゴモンもそれに気付いたのか勇太達に語りかけてきた。
「勇太…光…私は一度街に戻る…確認したらすぐに戻る。
大丈夫だ」
そう言うとブラックガルゴモンがアンティラモンに進化し街の方へ凄まじい速さで街の方へ駆けて行ってしまった。
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224/10/13(日)21:57:29No.1242592791+
「…」
 アンティラモンが街に行くのを見送って暫く間を置いてから勇太は口を開いた。
「お…俺達も…!フェレスモン達がっ」
「落ち着いてよ勇太、アンティラモンのあの速さでも街まで 半日かかるだろうし、僕達なら1日以上掛かっちゃうよ」
「それに…今からアンティラモンが行っても原因になってる…奴が残ってる筈ないわよね」
「そっか…そうだ…ね」
「それにデビドラモンたちがいってもあしでまといにしかならないかも…」
 デビドラモンがしょんぼりと項垂れながら言う。
 勇太はベルスターモンの顔を思い浮かべた。
 やっぱり、あいつが約束を破ってあんな事を?でも自分達が街を出てから起こす意味は?どうしてもロップモン達の印象というよりもその時の感情が蘇る。
 だけど、同じくらいあの街でベルスターモンに接した感覚が違うと心が言っている。
「先に行こう」
 3人も誰が何を言うでもなくそれに同意し歩み出した。
 旅をして分かった事だがこの4人は重たい空気の時は誰が戯けるでもなく最低限の会話だけで後は始終無言になる。
 それが少し緩和され始めるのが食事時である。
324/10/13(日)21:57:39No.1242592878+
 時間にして4時30分位、日暮が基本的に6時位だが基本的に勇太達の野営の際は早めに準備を始める。
 力のない勇太達が簡易のテントの設置は手間取る事がしばしばある。
 デジタルワールドに来て最初の時はそれで暗い中作業をして貴重な器具を失くす事があった。
 事故の事も考え早めに準備をするようになったのである。
 火おこしはヴォーボモンがいる為に困った事はない。
 食事は基本的に肉を食べる。
 デジタルワールドではなぜか肉が野菜のように、しかもそこら中に生える。
 更に腐敗もしないので、食料としては重量以外では優秀な物であった。
 それに暫くは街で勇太が作ったソースを付けて食べる。
 ソースは基本的に偏食の光が栄養を取れるように野菜をベースにしている。
 それをパンやあれば米と絡めて食べる。
 それを食べた後はできれば果物、なければ大量に買った蜂蜜をお茶に淹れて飲む。
 デジタルワールドにある茶葉は基本的にフルーティーで中には以前海外土産で貰ったチャイのような味がする物が多かった。
 それに合うものというよりも主に光であるが勇太達の好みに合うのが蜂蜜であった。
424/10/13(日)21:57:54No.1242592992+
 幸いな事にデジタルワールドではハチミツが安価で手に入る使う事が出来た。
 ハチミツがたっぷり入ったお茶は一日の疲れを溶かしてくれるようであった。
 その甘さとホッとする虚脱感からやっと言葉がポツポツと増え始める。
「光大丈夫?ちょっと右足気に掛けてるみたいだったけど?」
「別にちょっと捻っただけよ。
気になるくらいで痛くはないわよ」
「ダメだよ!光!そういうのが後で大変な事になるんだから!それでいつもブーブー言うの光じゃん」
 そう言うとヴォーボモンがデビドラモン合図しデビドラモン光を持ち上げヴォーボモンが湿布を貼ろうとする。
「あっこらやめなさいよあんた達!お茶溢れるでしょうが!」
 じゃれ合い…やっと、いつもの調子に戻ってきたと勇太は思った。
「…お手洗い行くね」
「はーい。着いてく勇太?」
「大丈夫。光に湿布貼ってあげて」
「湿布ってスースーして嫌なのよ!ちょっと止めなさいよ勇太〜!」
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524/10/13(日)21:58:14No.1242593133+
 山を登り始め、もうムゲンマウンテンに入り始めている。
 ブラックガルゴモンが言うには、ムゲンマウンテンの道は舗装されており高低差はあるものの時間さえかければ成長期でも安全に登り切れる場所とのことであった。
 とは言え、聳え立つ山には変わりない。
 夜は冷え込みどうしてもお手洗いも近くなる。
 小便を終え、光達の元に戻ろうとした勇太はひとつ自分を見ている気配を感じた。
「誰だ!?」
 自分の気のせいか、それとも大声を出してヴォーボモン達を呼ぶか。そう逡巡していると。
「やぁ勇太。月が綺麗だねえ」
「っ!?」
 そこにいたのは海岸で会ったルクスモンであった。
「君、何でここに!?はじまりの街の子じゃ!?」
「そんな事どうでもいいじゃないか。
 それよりあの煙…君達はキノコ雲って呼んでるんだろ?
 不安だよねぇ〜せっかく仲良くなったデジモンもどうなったんだろうね?」
624/10/13(日)21:58:29No.1242593263+
「前もそうだけどなんなんだお前…」
 勇太の顔がみるみるうちに厳しくなっていく。
 それは勇太自身があの街で起こっている事への不安感の現れであった。
「やだなぁ親切だよ。
 勇太が気になっているみたいだから教えてあげようと思っただけさ。
 気になるだろう?誰がやったのか。皆んなどうなったのか。そうだろ勇太ぁ」
 嫌悪感を覚えてもこちらが求めているものを的確に提示してくる振り解こうにも振り解けない嫌な感覚であった。
 ルクスモンはふわふわと勇太の周りを飛びながら後ろから抱きつく形で耳元で小声で囁いた。
「みんな死んだよ。やったのは君の大事な大事な親友で従兄弟の叶さ」
 瞬間、糸が切れたように勇太はルクスモンに掴み掛かった。
「なに言ってるんだお前!!!叶が!叶がそんな事する筈ないだろ!!!!??」
 勇太の怒りに対しても一切動じる事はなく軽薄な表情、言葉を変える事はなくルクスモンが続ける。
「本当さぁ。僕はね天使としてこの世の悪〜いものを監視しているんだよ。
彼、デーモンの部下なんだよ」
「お前!」
724/10/13(日)21:58:41No.1242593348+
 勇太がルクスモンに殴り掛かろうとしたのをするりと躱される。
「勇太!どうしたの!?」
 勇太の怒号を聞いてヴォーボモン達が様子を見に来た。
 それを見てルクスモンは軽薄な表情から始めて顔をしかめた。
「黒蜥蜴2匹に売女か…ねぇ勇太、今はどれだけ僕を憎んでもいいよ。
 でもね、覚えといて叶もそうだけど、どいつもこいつも君に相応しくない醜くい奴ばかりさ。
僕だけが…僕だけが君の味方なんだよ」
 捕まえようとするデビドラモンを避けて、どこかへ飛び去って行ってしまった。
「逃げるな!おい!どこ行くんだ!」
 勇太の怒号と表情を見て何かを察した光は、勇太の顔を真っ直ぐ見据えて手を握った。
「…どうしたのよ」
「はぁはぁ…っ…ごめん」
「いいわよ。あんたが怒る時って大体なんかあった時だし」
 勇太はルクスモンとの出会いからのあらましを説明した。
824/10/13(日)21:58:54No.1242593446+
「なるほどね…
 ばっかじゃないの!?あんな胡散臭そうな奴の言う事いちいち真に受けてどうすんのよ!?あんた学校で散々見て聞いてきたでしょうが!」
「そう言われるとまぁ…はい」
 先程まで信じられないくらいいつもと違う光の態度からいつもの態度に戻っていた。
 勇太は正座させられお説教となっていた。
「勇太がひとりの時だけ来て僕達に相談し辛い事言うの、なんか陰湿だね。
 気にしない方がいいよ」
「つぎ、きたらデビドラモンがぶっとばすよ!」
「…うん、ありがとう」
 光達の言葉に勇太は叶の無実であると思った。
 だが、同時に何か嫌な予感を感じずにはいられなかった。
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924/10/13(日)21:59:09No.1242593585+
 ここに来ていつも思い出す。
 あの日川沿いの丘を勇太と越えた事を。
 あの頃の母さんはいわゆる教育ママ…半分教育虐待を俺にしていた。
 後で知ったが父さんや爺ちゃん達…というか親族、持田家と日野家でも相当揉めていたらしい。
 ただ、それが母さんのヒステリックなのかその事で揉めていたのか俺は知らない。
 ただ、当時と言っても4年前…俺が小3で勇太が小2の頃母親は愛していたが俺にとって恐怖の対象でしかなかった。
 暴力はなくても叱責で、上手くいかないときは父さんが帰ってくるまで数時間も詰められた。
 母親の言う事は絶対、それ以外の価値は俺に存在していなかった。
 塾の成績、やっていたサッカー…良い成績もより良いプレーをする事も違う。
 ただ、母親が満足するか否か、それが全てだった。
 そんな折、幸子さんと勇太がよく来るようになった。
 名目は遊びに、今に思えば姉の様子を見に来ていたのであろう。
1024/10/13(日)21:59:40No.1242593855+
 あの日…母さんは勉強がまだ終わっていないと勇太と俺を会わせず部屋に閉じこめた。
 俺も当たり前と思いただ、目の前の机と動かない手を見ていた。
 突然窓が叩かれ見ると勇太の馬鹿が庭先から窓によじ登ってきていた。
 笑顔でもなく、落ちるから早く開けてと半分泣きべそで…全くお笑いだった。
 今でも覚えてる窓を開けた時に差した陽の光を、7月の初め、濃い青の空、咽返る程の空気の匂い。
 勇太の馬鹿はさっきまでの泣きべそもすぐに笑顔に変わっていた。
 遊ぼうと誘う勇太を俺は母さんの言いつけがあると断った。
 最初からそう言うと分かっていたのか勇太は、じゃあ家出しようと持ち掛けてきた。
 お前がするのかよと思った困ったような顔で。
 勇太もある程度は幸子さんや正弘さんからそれとなく状況を聞いていたのであろう。
 俺は少し迷いその誘いに乗った。
1124/10/13(日)21:59:56No.1242594007+
 それからの事は今でも鮮明に眼に焼き付いている。
 屋根伝いにこそこそと鼠のように音を立てずに歩いて隣の家の塀から降りた事、その時勇太がなんとも悪そうな笑みを浮かべていた事。
 勇太が握りしめて持ってきた千円にも満たない小銭ばかりでこれからの事とから子供ながらに考えて菓子パンとお菓子を買った事。
 そして…どこに行こうか聞かれて、俺はなんてことはない川沿いの丘の先に行きたいと言った。
 いつも塾への車の送迎で見る丘、何があるのだろうか角度的には身体を伸ばしても車からは見えなかった。
 母さんに言ってもわざわざ寄り道して行かせてくれないだろと分かる。
 あるのだって遊歩道とその先に広がる街くらいだ。
 分かっているが、俺はなんでかそこへ行って、丘に登ってみたくなった。
 その丘までは数十分であっさりと着いた。
 正直丘へ上がる階段を登っている時何を考えていたか覚えていない。
 ただ、すれ違った。運動中であろうじいさんは何も感じていないようであった、当たり前だ、なんて事のない丘だ。
1224/10/13(日)22:00:07No.1242594093+
 ただ、登り切って見たその風景に俺は…分からない。なんて変哲のない風景、遊歩道、雑草地と川、それに遠方には見知った街。
 なのに…なのにずっと今でも頭から離れない。
 俺は確かにあの時…自由になれた気がした。
 その後は、母さん達に見つかるまで適当にぶらついて夕方くらいだったかに休める場所って勇太がよく遊んでる神社に行って少し遊んでるところを一族総出で探してる母さん達に見つかった。
 見つけた時意外だったのは母さんの第一声は叱責でもなんでもなく純粋に心配してくれた言葉だった。
 抱きしめられ怪我はないかと言われ、横で勇太は爺ちゃんにげんこつを落とされていた。
 でも、一通り心配が終えて怪我もないと分かると母さんは、心配してた分がそのまま怒りに変わったのか、勉強をどうだとか何でこんな事をしたのかと結局は叱責に変わった。
 俺は怖くてその日の事を全部間違っていたんだと後悔して泣きそうになった。
 その時だった、勇太が俺と母さんの間に入ったのは。
1324/10/13(日)22:00:20No.1242594191+
 勇太もあまり母さんが得意じゃないって知っている。
 なのに、間に入ってはっきりと母さんは間違ってると拙いながらに伝えた。
 そして、自分が無理矢理連れ出して俺は何も悪くないと言った。
 まさか子供にここまではっきりと反対意見を言われると思っていなかったのかパニックになった母さんから勇太はビンタをもらった。
 周りの大人が動揺する中で勇太はそれでもはっきりと言葉を止めず、視線は母さんを見据えていた。
 それからは、父さんが来て謝って抱きしめてくれた事を覚えている。
 しばらく…数週間だろうか、それまでは勇太の家にいて、次に母さんに会った時は、爺ちゃん達とも交えて話して…しして謝ってくれた。
 それから母さんが今までみたいに勉強とかでとやかく言う事はなかった。
 関わらないんじゃなくて、ちょっとずつだけど話してくれた。
 …俺は結局、勉強もスポーツも自分から前程じゃないけど続けた。
 あの日の丘の上での光景、それに母さんとの間に入った勇太の背中が忘れなかった。
1424/10/13(日)22:00:31No.1242594264+
 いつも頼りなくて、俺の方が全て上手に出来た。勉強も運動も…なのに…なのにお前は俺が欲しかった自由を持っていた。
 それは、いつでもあの丘へ行けた家庭の環境じゃない。
 あの時、母さんの前に立てた…あの自由をなんでお前が持っていたんだ。
 それなのにお前はいつもいつも俺に尊敬と純真な眼差しを向けてくる。俺はお前が思っているような人間じゃない。
 俺の胸にはお前が刻み付けた燻り焦がすものがあるのに。
 俺は…自由に…。今度こそ…ここで…自…由に…。
 虚ろとした微睡みから叶は目を覚ました。
 背後にはブイモンと叶がまき散らした吐しゃ物があった。
 叶が街を滅ぼした後、勇太達を先回りしてムゲンマウンテンへといた。
 その目はただ起きて尚、虚ろであった。
 叶が目を覚ましたのは呼び掛ける声が聞こえたからであった。
 それは勇太の声であった。
 ここで上手く勇太を騙し、それができないなら力づくで時空の裂け目に勇太を入れ現実世界に帰らせる。
 勇太にさえ知らればあの眼で見られなけらば後は、もう何を殺しても構わないと叶は思った。
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1524/10/13(日)22:00:43No.1242594354+
「勇太!」
 叶は勇太に駆け寄った。
 先程まで自分が行っていたおぞましい事を悟られないようにいつも以上に意識して笑顔を作るように努めた。
「用事済ませてお前達より後に出たと思ったんだけど見つけられれば早かったな。
 大丈夫か?怪我ないか?」
「あっうん…えっと大丈夫!」
「鬼塚さんも大丈夫だった?」
「まぁ…うん…別に」
 叶は光の反応にどこか違和感を覚えた。
「えっとアレがこの間言ってた時空の裂け目?」
「ん?あぁ?そうだ。おっかない見た目だけどあそこから俺達の現実世界に繋がっているらしい。
 安定してないからひとりが限度らしいけどな」
 次元の裂け目は煌々と光り空中に渦を巻いている。
 それは丸で以前映像で見た銀河のような形状と美しさであった。
「…それ誰から聞いたの」
1624/10/13(日)22:00:54No.1242594422+
 表情に出さないが叶は焦った、それを聞いたのはルクスモンからであった。
 内容は分からないがルクスモンが勇太にちょっかいを掛けているのは知っていた。
 あいつが自分とデーモンを引き合わせた。
 何を考えてるのか分からない奴だ。デーモンと自分の関係を喋っているかもしれない。
 叶は鼓動が早くなるのを感じた。勇太にバレた…軽蔑されるのか?それとも?
 思考がまとまらず叶はすぐに返答できなかった。
「…調べたんだよ。俺ここら辺に最初いたからその時色々とだよ…」
 最初に現実世界からデジタルワールドに流れ着いて出た事場所がムゲンマウンテンなのは事実だった。
 叶は嘘を付くときに出来るだけどうでもいい部分は事実ベースで話す。
 それが一番バレない方法だと母親を通じて学習したからだ。
「じゃあ…それからどうしたの?今までどうやってたの?ブイモンともどうやって会ったの?」
「お…おい勇太」
 誰の目にも見えて勇太が興奮していってるのが分かった。
 叶はもうそれが何を意味するのか察していた。
 だが、それでも僅かにでもバレていない。勇太に失望されていないか確認せずにはいられなかった。
1724/10/13(日)22:01:05No.1242594509+
「何か…あったのか勇太?」
「ルクスモンが言ったんだ。叶がアリーナの街を全滅させたって…俺も光も…!爆発は見たんだ!ねえ後から街から出たって叶は言ったけどいつ!?
 嘘だよねデーモンなんかの仲間になんか…デジモンを大勢殺したなん…!」
 叶は耐えられなかった。
 勇太の肩を掴むと大声でブイモンを呼び次元の裂け目へ勇太を投げ込もうとした。
 しかし、ヴォ―ボモンに阻まれデビドラモンに引き剥がされた。
 勇太はデビドラモンをどけ叶に向き直る。
 その瞳は涙で揺れていた。
「嘘だよね叶!!だって叶は俺の親友だろ!?こんな事…!いつだって叶は正しくて!俺より凄くて!今までだって怖くなっても叶がくれたこのゴーグルがあったから勇気づけられてここでもやってこれたんだ!
 なんとか言ってよ!!」
 叶は耐えられなかった。
 勇太のどうしようもなく揺れない純真で真っ直ぐ見つめてくるこの瞳が。
 叶は自分の呼吸が荒く足が震えるのを感じた。
 自分がまるで断頭台に歩かされているような気持であった。
1824/10/13(日)22:01:16No.1242594596+
 瞬間、天地を返す様な轟音が鳴り響き、遅れて眩い光…落雷が鳴り響き、山が見る見る内に暗雲に包まれた。
 叶はそれを見て大きく動揺した。
「ブイモン!形振り構うな!進化して何としても勇太を裂け目に入れろ!!」
 叶がデジヴァイスを掲げ、ブイモンをエクスブイモンに進化させる。
「勇太!チッ!デビドラモン、ヴォ―ボモン!止めなさい!」
 光の指示で止めようとするデビドラモンとヴォ―ボモンをブイドラモンを防いだ。
 その間を掻い潜り叶が勇太の腕を捕まえ引っ張ろうとする。
「いいから来い!なんでもいいだろ!死にたくないな来るんだ!」
「い…いやだ!」
 勇太が叶の腕を振りほどく。
「どうして俺の言う事が聞けないんだ!俺の言う事だ…け…」
 そこで叶は勇太と視線が合った。
 その瞬間、叶は確信した。勇太と自分の母親があの時交わした視線はこれだったのだと。
1924/10/13(日)22:01:26No.1242594688+
「俺がデジタルワールドに来て数カ月だし何にも知らないかもしれない。
 でも、きっと力になれるよ!
 叶が何んでそんな事しなくちゃいけなくなったか分からないけどきっとどうにかできる!
 俺は叶があんな事する奴じゃないって知ってるから…だから」
「…っ…お前は…どれだけ…」
 瞬間、巨大な雷が次元の裂け目に落ちた。
 裂け目は数度そこから電撃をまき散らし広がるように回転を変え霧散していった。
「あっ!?…あっ…」
 叶はそれを見て身体から見る見る力が抜けていった。
「もう…駄目だ…どうして…お前が悪いんだぞ…勇太…俺は…」
 それまでにない雷が叶の隣に落ちた。
 勇太はその光で数秒間目が開けられなかった。
 ゆっくりと目を開けると叶の隣にひとりのデジモンが立っていた。
 深紅の衣装に巨大な角に蝙蝠の羽根。そして、凄まじい威圧感にすぐさま勇太達は理解した。
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2024/10/13(日)22:01:44No.1242594803+
「こいつが…!?」
「デーモン!」
 勇太と光はデジヴァイスを掲げ、ラヴォ―ボモンとレディーデビモンに進化させた。
 光は叶の事を構わずレディーデビモンにダークネスウェーブを放させた。
 勇太はきっと叶が隣に立っている状態で全力を出せない。
 しかし、そんな事を配慮してどうにかなる相手ではない事を光はすぐに理解した。
 ならば、汚れ仕事は自分達が負うべきだと瞬間、理解し行動した。
 が、レディーデビモンが構え蝙蝠を出そう…いや、出た瞬間であった。
 デーモンがレディーデビモンの目の前に移動しそのまま片手で蝙蝠を全て押し戻した。
 炸裂しレディーデビモンの外皮が剥がれる。
 その事に、誰も気付けなかった。
 当のレディーデビモンさえ何が起こったか理解できず気を失った。
「ラヴォ―ボモン!!!」
 勇太も状況を理解したのか、ラヴォ―ボモンに指示を出すがそれも瞬間であった。
 轟音だけが聞こえた。何も見えずラヴォ―ボモンが倒れ込んだ。
2124/10/13(日)22:01:55No.1242594898+
 次に勇太がデーモンを見たのは目の前に現れた時であった。
 フェアリモンの脚を展開する前に脚を潰された。
「っ!」
 叫び声を出す前に勇太の喉と腹を潰された。
 腹部から血が溢れ、傷ついてはならない臓器が傷ついたのが分かった。
 全身から一気に力が抜け項垂れる。
 デーモンは勇太の頭を掴みそのまま力が入れていく。
 ミシミシときしむ音と何か水分を含んだ音がする。
 声を上げようにも喉を潰された勇太は声もあげれず潰れる喉が痛みで否が応でも出ようとする声に喉が更に痛みそれが繰り返される。
「離しなさいよ!!!」
 光が拾った棒きれで殴り掛かろうとするが瞬間腹部を蹴りこまれ岩場に叩きつけられる。
 腹部と背中の痛みに光はそのまま倒れ込み血と吐しゃ物をまき散らした。
 気管支に詰まったのが分かるが身体の痛みで上手く動かせず苦しんでいる。
「ひ…か…ま…だ…だ…!」
2224/10/13(日)22:02:05No.1242594963+
 勇太はデジヴァイスを握りしめる。
 もうあの力に頼りにする事はないと思っていたがもうなりふり構っていられなかった。
(思い出せ…あの時の怒りを…元凶は…こいつなんだ!!!)
 倒れていたラヴォ―ボモンから黒い炎が巻き上がりゲヘナガリータモンへと進化した。
「があああああああああああああ!!!!」
 ゲヘナガリータモンが熱線を吐き出す。
 しかし、それをデーモンはいとも簡単に弾いた。
 勇太とレディーデビモンに構わずデーモンに襲い掛かろうとするがデーモンが上げた炎の柱を地面から上げゲヘナガリータモンを焼き尽くしてしまう。
 ゲヘナガリータモンはそのままヴォ―ボモンへ一気に退化してしまった。
 デーモンは勇太を目の前に持ってきて話しかける。
「…これで万策尽きたか小僧」
 声は出せないが勇太はデーモンを睨みつけていた。
「いい目で睨むな。
 ベルスターモンが気に入るのも分かるが、ここまでだ
 叶…殺せ。お前の手で殺すのだ」
2324/10/13(日)22:02:17No.1242595057そうだねx2
 デーモンは叶に向けて勇太を向ける。
「自由になりたいのだろ?
 お前の心には初めて会った時からこの小僧がこびりついていた。
 この小僧をお前が殺さなければ永遠にお前は自由になれないぞ」
「はぁはぁ…」
 叶の呼吸がどんどんと乱れてきた。
「お前が望んだのだ。
 自由になりたいのだと…だからこそ、私の野望を2度も阻んだ憎き選ばれし子供のパートーナーデジモンと同じ力を持ったコピーををお前に与えたのだ。
それともここで私を失望させるならお前も…」
「!…エクスブイモン!!!」
 叶は目を瞑りブイドラモンに向けて叫ぶ、どうしても勇太の眼を見てはいられなかった。
 エクスブイモンが胸からエクスレイザーを勇太に向けて放つ。
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2424/10/13(日)22:02:35No.1242595197そうだねx1
「ゆ…う…た!!」
 光が薄れている意識の中で勇太に手を伸ばす。
 誰もが勇太が死んだと確信したその時であった。
 あたり一面が光に包まれた。
 何者かがエクスレイザーを防ぎ、デーモンを退け勇太とレディーデビモン、ヴォ―ボモンをを光の所へ置き、回復チップで勇太達の傷を癒した。
「すまない…また遅くなってしまった」
勇太達とデーモンを遮るように現れたらのはアンティラモン。
 そして見知らぬふたりのデイモン。アポロモンとディアナモンであった。
「アンティラモ…ン。街は…やっぱり」
「すまない…」
「みんなも…」
「一部だが大丈夫だ。
 ジョーカーモンは駄目だったが、フェレスモンは無事だ。
 ベルスターモンも惜しくもな」
「そっか…」
2524/10/13(日)22:02:45No.1242595280+
「他人の心配してんじゃないわよ!今度こそ死んだかと思ったわよ!馬鹿!!」
 光がバシバシと勇太を叩く、それを見てアポロモンは大きく笑った。
「はっはっはっ!尻に敷かれているようだな日野少年!もう安心だ!俺の名はアポロモン!こっちがディアナモンだ!よろしく頼むぞ!!日野少年!鬼塚少女!ヴォ―ボモン!レディーデビモン!」
「目の前に集中しなさいアポロモン。
 対してるのは七大魔王の一角ですよ」
「お…おっとすまない!
 では後でな!日野少年!」
2624/10/13(日)22:02:58No.1242595365+
「後?…後などない。
 ここでその少年もお前らオリンポス十二神も死ぬのだからな!」
 地面からゲヘナガリータモンと比べ物にならない炎の柱が上がる。
 雷はより強く鳴り響く。
 瞬間、遠方の山ひとつが消し飛んだ。
 気付けばアポロモンとディアナモン、デーモンの姿はなかった。
 アンティラモンが炎から守ってくれている中でちらりと勇太が覗き見るとあたりで衝撃波と地形が変わっているのが見えた。
「こ…これならあんたらだけで勝てるんじゃ…!?」
 光がぼそりと言う勇太も同じ感想であった。
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2724/10/13(日)22:03:09No.1242595446そうだねx1
 が、そういった瞬間にアポロモンが勇太達が背にしている山壁に吹き飛ばされてめり込む。
 ディアナモンも勇太達の前に降りてきた。
 目の前にデーモンが降り立つ。
「そう言いたいのですがね…諸事情というよりも私達2人では到底無理です。」
「歯がゆいがな。アンティラモン、これではゲートを開いている間、抑え込めないか?」
「ゲートって?」
「異次元の裂け目の事だ。
 引き返すときにデーモンを感じた。
 君達を逃がすにはゲートから逃げるしかないと思ったが…開けている間にデーモンも入って来る恐れがある。」
「その分の時間を稼ごうと思ったのだが…うむ!流石デーモン!手ごわい!!」
「褒めている場合ですか」
「すまないレディーデビモン。
 私も闘いに加わる、君が勇太達を守ってあげてくれ」
「わ…分かりました。」
2824/10/13(日)22:03:21No.1242595551そうだねx1
「大丈夫なのですか?究極体になる程まだ…」
「短時間なら大丈夫だ。行こう。」
 言い終わるとアンティラモンは光に包まれた。
 周辺に優しい暖かい光が満ちた。
 そこにいたのは巨大な獣人型のデジモン、ケルビモンであった。
「あったかい…」
 光は小さく呟いた。
「今からゲートを開きます。
開いたらあなた達をそこへ叩き込みますので抵抗せず身を任せてくださいね」
「え…はい!?」
 そういい終わるとケルビモンはデーモンへと向かって行った。
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2924/10/13(日)22:03:37No.1242595667+
 デーモンが炎の腕を振りかざし、それをケルビモン達は掻い潜り殴りかかる。
 数で抑え込めるものかと思えたがデーモンは炎を幾つもの腕にしケルビモン達を捌いていた。
 アポロモンがデーモンの服を掴み叫んだ。
「今だ!ケルビモン!!」
 アポロモンの叫びとともにケルビモンが指を天に向ける。
「ヘブンズ・ジャッジメント!!」
 デーモンが出した雷が全て集約されデーモンへ降り注ぐ。
「今です!」
 ケルビモンの叫び声と一緒にアポロモンとディアナモンは勇太達を担いでそのまま崖から飛び降りた。
 飛び降りた先に勇太が見たのは先程の裂け目にギリシャ建築の様な柱が付いたものがあった。
 そこにアポロモン達と飛び込む。
 その瞬間勇太は叶を見た。
 叶は俯き表情が伺えなかった。
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3024/10/13(日)22:03:49No.1242595763そうだねx1
 ゲートの中は一見真っ直ぐのようで全てがねじ曲がり渦のようになっていた。
 身体全体が伸びねじられるような浮遊感。
 勇太はいつのまにか別れていた光達を探そうと周囲を見ようとするが身体がついていけずただただこの渦に落ちていく中で意識を保つのに精一杯だった。
 だが、それも数秒後には意識を保てず視界は暗闇となっていった。
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3124/10/13(日)22:04:26No.1242596022そうだねx1
 勇太の意識が戻った時そこは一面の花畑であった。
 見ると周囲に浮遊している島がある。
 ここもそういった島のひとつであるのが分かった。
 先程までの威圧感のある場所じゃない、のどかで穏やかな風景。
「安心していいのか?」
 周りを見渡すと光も意識を失って倒れて横たわっているのが分かった。
「光っ大丈夫?光?」
 勇太が軽く光を揺らすと唸りながら光も目を覚ました。
「ここは?」
「分かんない…ヴォ―ボモン達も…叶もデーモンもいないみたい」
 勇太は今襲われたらひとたまりもないと息を呑んだ。
「あら、やっと目が覚めたのね」
 勇太達の後ろから優しそうな女性の声が聞こえた。勇太は瞬間光を抱きしめ、声の方向を向きつつ逃走出来るよう身構えた。
 声の方向を見ると…痴女がいた。
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3224/10/13(日)22:04:38No.1242596114+
オワリ
3324/10/13(日)22:06:08No.1242596815そうだねx1
> 声の方向を見ると…痴女がいた。
>fu4112788.png
これはまごうことなき痴女
3424/10/13(日)22:06:30No.1242596984そうだねx3
>声の方向を見ると…痴女がいた。
>fu4112788.png
ちくしょういい話ってとこで!
3524/10/13(日)22:08:18No.1242597821+
毎回見てるけど話作りいいよね
ぶっちゃけ痴女も痴女って言うとあれだけどヒキって分で見るとまた次が気になっちゃうし
3624/10/13(日)22:08:24No.1242597864+
オリンポス12神きちゃうんだ……
3724/10/13(日)22:09:50No.1242598477+
ねぇこのルクスモンの羽……天使ってか悪魔っぽいそれ……
3824/10/13(日)22:13:59No.1242600365+
相変わらず信じられない量書き下ろしてやがる…
これはいい痴女
3924/10/13(日)22:14:04No.1242600406そうだねx2
公式でもパンツ見せてるんだ!
デジモンは健全なコンテンツなんで痴女では多分きっとない!
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4024/10/13(日)22:14:35No.1242600619+
>No.1242592878
こういう飯話すき!
4124/10/13(日)22:16:21No.1242601361+
>fu4112784.png
すごい下着履いてんな
4224/10/13(日)22:16:21No.1242601362そうだねx2
ベルスターモンも大概やべー格好してただろ!この人だけ痴女扱いはやめてあげなよ!!
4324/10/13(日)22:18:07No.1242602174そうだねx3
>すごい下着履いてんな
いいだろ?パパ活JSだぜ?
4424/10/13(日)22:23:09No.1242604320+
従兄弟も改善はされたとはいえやっぱり中々の環境だったか……
4524/10/13(日)22:27:40No.1242606539+
というかまず勇太がとんでもない事故とはいえ痴女の格好してたっていうね……やはりデジタルワールドは危険だな
4624/10/13(日)22:29:10No.1242607245そうだねx3
百合ちゃんはゆりえっちしたからBPOに叱られたって書いてあったけど
仮にゆりえっちしなくてもパートナーをこんな痴女に進化させた時点で怒られたのでは?
4724/10/13(日)22:37:03No.1242610711+
オリンポスに三大天使の一部もいるしで話の規模がでけぇ!
4824/10/13(日)22:39:06No.1242611573+
しょうがねぇだろヴィーナス担当だぞウェヌスモン様
4924/10/13(日)22:39:35No.1242611781そうだねx1
>ベルスターモンも大概やべー格好してただろ!この人だけ痴女扱いはやめてあげなよ!!
じゃあこの作品痴女がたくさんでるぜ!としておこう
5024/10/13(日)22:43:35No.1242613453+
>>ベルスターモンも大概やべー格好してただろ!この人だけ痴女扱いはやめてあげなよ!!
>じゃあこの作品痴女がたくさんでるぜ!としておこう
レディーデビモンってかデビドラモン……お前だけはあんな風にならないでくれ……
5124/10/13(日)22:44:57No.1242614033そうだねx6
    1728827097922.png-(30209 B)
30209 B
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
5224/10/13(日)22:46:13No.1242614571+
バトル中の片乳はデーモンがエロだっただけなのでセーフ
5324/10/13(日)22:48:00No.1242615310+
そんな痴女見すぎて自分はああはならんと決意したデビドラモンなんて……
5424/10/13(日)22:54:34No.1242617775+
小学生たちにいろんな意味で襲いかかる刺激強めデジタルワールド……
5524/10/13(日)22:57:57No.1242618955+
将来の夜のレパートリーになるかもしれん
5624/10/13(日)22:58:44No.1242619224+
助かったけど足叩き折られて内臓抉られ脳みそジュルリ一歩手前でそのうち一回死ぬぞ
5724/10/13(日)22:59:27No.1242619488+
この世界の回復アイテム高性能だな!


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