シェンウーモンを追いかけるレイヴモンの一団。 同様にレイヴモンの集団に追われるガードロモン部隊。 両者の軌道が交錯し、衝突するかに思えた瞬間、シェンウーモンが加速。 起動をやや左に修正したガードロモンの単縦陣がシェンウーモンの真後ろを通過する。 それによりシェンウーモンを追っていたレイヴモンたちは突如目の前をガードロモン部隊に塞がれる。 逆にガードロモン部隊を追っていた方はシェンウーモンに通せんぼをされる。 その瞬間を見逃す彼らではない。 相互の目標を互いにスイッチしての全力攻撃が注がれ、かなりの数のレイヴモンが動けなくなる。 これにより、自分たちと「斡旋屋」たちの戦力が、先程から妙な動きをしている連中の包囲の中にいることに、VI.Fはとっくに気づいていた。 「斡旋屋」側の戦力は今の痛打で動きが遅れている。あちらを叩く手もあるが――いや、こちらが優先だ。 妙齢の女性が腕を前に突き出している。アイツが鍵か。 「万物は我の観測によりうまアッ!」遅い。チマチマ詠唱などしていて間に合うものか。 直前の会話からするとレイヴモンをトループモンに退化させる腹づもりのようだが、そんな興ざめなことなどさせん。 「鬼門遁甲!」違う声が聞こえた。なるほど、あの女どもは囮か。 見ればドウモンが一体、少し離れたところで必殺技発動をしようとしている。 だが一手遅かったな。あの女忍者と狙撃手にだいぶ使わされているが、まだ『盾』が1枚残っている。 『盾』の攻撃を食らったドウモンは必殺技の発動を中断し、表面が剥がれ――なんだと!? 表面のグレーがかったテクスチャが剥がれ、中から出てきたのは――タオモンだと!? 「発動!」少し離れた場所の『影』が消える。 そこに立っていたのは、巫女服姿のドウモン!?なんだアレは!見たことがないぞ! 「幻想への希望、ミコドウモン!」 鬼門遁甲が発動した。俺とあの「斡旋屋」を、封じ込めて隔離する気か! だがこの『盾』は対空間攻撃能力を持たせてある。それを使えばあの結界を――破れない、だと!? 「今の私は結界強化型ドウモン!その程度の攻撃では破れません!!」 あの妙なコスプレはそのためか!ならばもっとだ! 「ロックスミス・プリドウェン、全基起動!空間干渉を……」 『遅かったね』通信回線から声が聞こえる。あの男! 技の発生音声は聞こえなかった。それだけ長距離からの、全力砲撃。 『次元干渉能力は忍者の固有能力だって知らなかった?』 空間ではなく次元を貫通する砲撃、なるほど、あれも駆使しての「図書館攻略計画」だったのか。 思えばあの小娘があちこちで放ってたパンチがそういう性質のものか。 プリドウェンの空間干渉遮断が減衰する。しかしまだ、相殺なら可能だ。 「鬼門遁甲!」もう一つの必殺技発動音声。 先程のタオモンが、本来ならドウモンの必殺技を発動してる、だと!? 「前にも一度やりましたからね、これは」タオモンの白い目が光る。 二重化され、さらに錬金術と錬丹術による事前支援、雪奈の魔術による『防御魔法』で軽減された術者たちへのダメージ。 もはやプリドウェンは耐えきれなくなり、『鬼門遁甲』が、レイヴモンの大群、「斡旋屋」、マグナモン、そしてVI.Fを飲み込む。 「……やった!」雪奈が嬉しそうな声を上げる。 「ガッチャ!」鏡華はガッツポーズをする。 「まだよ!全部のレイヴモンを閉じ込めたわけじゃないわ!タオモンとドウモンの護衛を!」茜の注意喚起が響いた。