1. おかしい、こんな筈ではなかった。 副社長からは見捨てられ、言うことを聞くはずだったゲオルグは従わず。 ゲオルグが死んで桜島は暴走し、捜索班は巻き込まれて全滅してしまった。 儂もすでに右腕を焼かれ、左足首から先が無い。 激痛と出血で意識を保つのがやっとだ。 ああ、どうしてこうなってしまった。儂はただ、死なない技術を求めて。 死ななくして、それから…………それから? 不死を得たら何かやりたいことが……あった、はず…… そもそも、それは、本当に、儂の……いや、それは……オリジナルの…… 「……儂の、願いは、なん……」途切れ途切れの思考が完全に止まる。 目の前に、ソルガルモンがいた。 マルコシアスモードに覚醒したそれは、光を失った双眸とは別の何かで儂を見据えていた。 「あっ、ああっ、あ……」それ以上の言葉が出ない。 ソルガルモンの右腕がまっすぐに上がり、そして 2. なんだあのデジモンは、マーナガルルモンと言ったか。 私の時間操作で過去に送ったのだがどうも『空間操作』の能力があるらしい。 ここの『時空間』にアンカーとしての空間を固定しているようだ。 私の能力でも一切干渉できぬ。これでは15年遡ったぐらいで戻ってきてしまう。すぐにここから逃げねば。 天沼矛はもうダメだろう。どこかあたらしい実験拠点を探さなくては。 先日のオルディネモンとかいう訳のわからない奴に関わったせいで私の手勢……いや、『我々』は随分と数を減らされた。 探索班の半数、中でも『探索班長』を失ったのは痛手だった。 彼のデジヴァイスブラッドは回収できたのでパートナーデジモンがまだこちらの制御下にあるのが不幸中の幸いか。 しかしマーナガルルモンとの戦闘でも更に人数を減らされ、探索班はテイマー3・非テイマー2の5人だけ。 あとは天沼矛で留守番をしていた『計画主任』しか残っていない。 本社にいた捜索班と人事部はまとめて『人事部長』が統率権を掌握して離反してしまった。 やはり人間の思考は理解できない。あんなものは信用してはならないな。 彼らは本社で反社長派と組んで反乱を起こし、火行と戦闘になったようだ。 流れてくる情報、そして彼らの反応が全て消失していることから、火行の攻撃で全滅したようだ。 野暮用のせいで一週間も同期ができなくなるとこうなるものか。 次はこのような事にならないように学習し反映させねばならぬ。 「上空より高速で接近する反応あり。」可搬式レーダー担当の探索班が報告する。 「数は2……いえ、人間が騎乗したデジモンが2組!」 「上空のパロットモンが目視で確認、ジェットレオモンとサイバードラモンです。」 パロットモンのテイマーである探索班が告げる。なるほど、この前の脱走した特異個体たちか。 この混乱で我々も弱体化したと判断したのか。愚かな。 「総員戦闘準備。あの特異個体を捕縛・同化して我々の戦力とする。」 今のこちらは私も含めて完全体が4体。返り討ちにして今度こそ『我々』になってもらう。 彼らは我々の陣取っている場所から200メートル手前で着地し、歩いて近づいてきた。 「こんな状況で襲撃してくるとは、その抜け目のなさは称賛の価値がある。」 声が届く範囲まで寄ってきたところで、私の方から声を掛ける。 「しかし、彼我の戦力差の分析評価が間違っている。批判すべき失敗だ。」 パロットモン、スカルバルキモン、マタドゥルモンが私の背後で控える。 「そもそも何故我々に敵対する?今までのように逃げ隠れしていればよかっただろうに。」 私の質問にジェットレオモンのテイマーの女が叫ぶ。 「真弓ちゃんから記憶を奪ったあんたたちを許せる訳ないじゃん!」 「茉莉。」男の方の一言で女が止まる。 男は一歩前に出ると、我々に特に何の感情も感じられない目を向けた。 「あんたたち、俺達の所在が判れば、攫うか殺すかするでしょ?」 「当然だ。実験体の回収と処分は我々の義務だ。」 「じゃあ俺達としては抵抗するしかないのも理解できるよね?そんな簡単なこともわからないの?」 淡々とした口調で言うことは辛辣だ。 「だいたいそっちはひとつ大きな勘違いをしているよ。」 「勘違い、だと?」 「俺達は逃げ隠れしてたんじゃない。お前たちを倒すために雌伏して機を覗っていたんだ。」 そう言うと男は前髪を書き上げながら憂鬱そうな目で私を見た。 「そんな事も解らないなんて、FE社の研究者とか幹部っていうのは随分と頭が悪いんだね。」 挑発だ。あからさますぎる。しかし私ならともかく探索班の連中には少なからず効果があったようだ。 「なんだと貴様!実験体の分際で生意気なことを抜かしおって!この儂の頭が悪いと言ったか!」 計画主任には覿面だった。やはりオリジナルに近い個体は御し難く、度し難い。 「やってしまえ!手脚の一本や二本ぐらいはへし折っても構わん!デジモンの方の生死は問わん!」 計画主任の言葉に探索班どもが勝手に動き出す。やはり人間に自我など邪魔だな。 真弓と名乗る男の口元がわずかに歪む。茉莉と名乗る女の口元は大きく笑みを浮かべる。 「いかん、止まれ!何かあるぞ!」確信は無いままに私は言う。 「うるさい、早く片付けんとまたアレが来るぞ!」しかし誰も止まらない。 挑発された怒りだけでなく、程なく戻って来るであろうマーナガルルモンへの恐怖が彼らを突き動かしているようだ。 「ジェットレオモン!」あの二人の持つデジヴァイス――D-3の色が相互に反転する。 「サイバードラモン!」2体のデジモンが光りながら飛び上がる。 『ジョグレス進化!』二つの光が融合し一つとなる。 「アンズーモン!」光は急降下しながらパロットモンに突進し、そのまま地面へと叩きつける。 その衝撃とともに光は剥がれて四散し、中から金色の鷲が現れた。 いや、その大きさはパロットモンと同等であり、全身が金属の光沢で覆われていた。 それは、機械仕掛けの黄金の鷲の姿をしたデジモンだった。 脚の爪で組み伏せられたパロットモンも無抵抗ではない。 「ミョルニルサン……」 「ニヌルタ・スクドゥ!」しかし遅い。馬鹿め、あんな至近距離で敵が黙って大技を食らってくれるものか。 発動前の必殺技はアンズーモンの頭から伸びたビーム砲らしきものに撃ち抜かれ暴発する。 そのまま敵はビームを連射しつつ爪でパロットモンの腕を引き裂き、嘴でデジコアを刺し貫く。 デジヴァイスブラッドによる回復も間に合わずにパロットモンが消滅する。 「グレイブボーン!」スカルバルキモンが背後からアンズーモンに襲いかかる。 「ウルマフモード!」次の瞬間、鷲の尾羽根の中から獅子の頭が顔を出した。 尾羽根は鬣に、翼は後脚に変化し、金鷲はたちまち金獅子へと変じる。 即座の跳躍。スカルバルキモンの攻撃はパロットモンの残滓の光を無為に叩くだけに終わる。 そのままアンズーモンは着地しながら爪をスカルバルキモンの胴に突き刺し、首元に噛みついた。 「マタドゥルモン、テイマーを狙え!」探索班の一人が指示を出す。 それを受けてマタドゥルモンは人間の方に突進する。 「テイマー狙い、悪くないアイデアだね。」真弓が呟く。 「どりゃーぁ!!」茉莉が何かをマタドゥルモンに向かって投げつけ、それをマタドゥルモンが受け止める。 そしてそのまま勢いよく後ろに吹っ飛んだ。……なんだ、今のは!? 「でもそれは、テイマーが人並みの存在であれば、という前提条件が必要だね。」 茉莉は手にしたワイヤーを引っ張って先ほど投げた『それ』を一息に手繰り寄せる。 あれは……ローダーレオモンの尻尾にあるモーニングスターか?いろいろと細部が違うようだが間違いない。 そのままモーニングスターを振り回しながらこちらに近づいてくる。 「それに自分がテイマーを狙うなら、逆に自分もテイマーを狙われることも考えたほうがいいよ。」 デジモンを持たない2人、いや3人に増えたが――は、持っている拳銃を抜いて発砲。 今度は素早く判断して即実行。素晴らしい。 「うりゃああああ!!!」 「なっ……!」何ということだ。振り回されるハンマーのワイヤーで、銃弾が弾かれた。 ハンマーは質量を持った竜巻となって3人を襲い、直撃ではなく掠めただけだが全員が吹っ飛んだ。 ボディーアーマーは弾け飛び、中の服を貫通して血が吹き出す。 「ならばもう一人を!」スカルバルキモンを操る探索班が銃口を真弓に向ける。 距離が遠く命中できなくても牽制にはなる、という判断は間違っていない。 「悪いね。」真弓のヘッドギアから細い光線が放たれ、拳銃に命中する。 たちまち拳銃は赤くなって暴発し、焼けた金属塊となった。 あのヘッドギア、おそらくは視線誘導式のレーザー砲か。 デジモン相手にはさして効果は無いだろうが、テイマー相手ならば有効か。 スカルバルキモンはテイマーが攻撃され、そちらに一瞬注意を向けてしまう。 馬鹿め、人間のテイマーなど気にする必要はないだろうに! 「今だアンズーモン。」 「ニヌルタ・スクドゥ!」かろうじて敵を抑え込んでいた黒い冷気が弱まり、そこに敵のビームが降り注ぐ。 全身を穴だらけにされたところに爪と牙による容赦ない攻撃で全身をずたずたにされるスカルバルキモン。 断末魔の悲鳴を残してスカルバルキモンは消滅した。おそらくパロットモン共々デジタマへと還っただろう。 わずか1分と満たない時間で完全体2体が撃破され、4人が負傷。 彼我の戦力差を見誤っていたのはこちらであったか。 だがマタドゥルモンはウイルス種。一方アンズーモンはジェットレオモンをベースとしたジョグレスであるならばデータ種であるはず。 私の時間操作による支援を駆使すれば、究極体に相当するデジモンであろうと戦い様はあるはずだ。 「アンズーモン!」茉莉が叫びながらハンマーのグリップを投げる。 「アンズーモン・サルムモード!」アンズーモンは後脚で立ち上がると胴体の一部が反転した。 獅子の頭は胸に、鷲の頭からは顔が現れ、その姿は人型となった。 爪の下から出てきた拳がグリップをキャッチする。 「アンズーモン、敵はまっすぐに突っ込んでくるぞ。正面で受け止めろ。」 真弓の指示が飛ぶ。馬鹿め、マタドゥルモンのあの動きはフェイクだ。 まっすぐ突っ込むと見せかけて、直前で左右に動いて敵を翻弄…… 「何っ!?」できてない、だと……!? まるでその動きを読んでいたかのように、アンズーモンはマタドゥルモンの動きに対応する。 「ミトゥム・イナンナ!」マタドゥルモンの動いた先に放り込まれたハンマーに、まるで自分から当たりに行くような形となる。 咄嗟に両手の爪とレイピアで受け止めるが、受け止めきれずに何本かの爪を巻き込みながらマタドゥルモンの胸を抉る。 「テイマーの支援は!?」私が探索班の方を見ると、素手となった茉莉に全員が殴り倒されていた。 肉体強化実験体、その戦闘力は想定を越えている。おそらくは15年の間に成長したのだろう。 「待てアンズーモン、先にピッコロモンを倒せ。」 真弓が指示をする。それを聞いて私は防御態勢を取る。こっちに来るのか? しかしその直後、アンズーモンのハンマーがマタドゥルモンの頭部に命中する。 「なっ!?」あの連中、指示と行動が全く一致していないではないか! それなのに困惑する様子もなく戦っている……もしや! 「そうか……そのヘッドギア、さては記憶転写技術を応用した意思疎通デバイスか!」 私の言葉に真弓は返答しない。ただ口元を僅かに歪めるのみである。 だがそれは肯定したも同然であり、勝利を確信していることの現れだ。 見れば茉莉のほうも似たようなデバイスを装着している。 口では頓珍漢な指示を出しつつ思考伝達で全く違う指示を出す。 ならば相手の言葉に耳を貸さなければいいだけの話。 頭を潰されたマタドゥルモンが消滅し、残るは私自身と役立たずな計画主任、そして瀕死の探索班5人。 「計画主任。」私は統合基幹個体として命令を出す。 「貴様のデジヴァイスブラッドで探索班どもにトドメを刺せ。」 「……っ!わ、わかった。」 「そうはさせな、ってうわっ!」妨害しようとする茉莉の前に私が出る。 なぜかアンズーモンは距離を置いている。こいつさえ押さえれば問題ない。 やがてデジヴァイスブラッドが吸った探索班の末期の血の力が私の中に巡ってくる。 徹底して強化した時間操作能力で、こいつらを遥か未来に送り込んでしまえばいい。 千年ぐらい先に飛ばすか。しかしそうなると……念には念を入れるか。 「ご苦労だったな、計画主任。」私は計画主任に近づくと、彼からデジヴァイスブラッドを奪い取る。 「な、何を……!!」そして計画主任の喉笛をデジヴァイスブラッドの刃で掻き斬った。 「!!!」発声が出来ず断末魔は言葉とならない。 更なる力が私に満ちてくる。それ以上に歓喜の感情が沸き起こってくる。 そうだ、私はずっとこうしたかった! 「私の人格を消して自分で上書きしたDr.ポタラを!私の手で殺してやりたかった!そして私こそが唯一人のDr.ポタラとなって!永遠の命を!」 「お前さあ、誰?」なんだこの男は。私はいま最高に気分がいいのだ。邪魔をするな。 「誰だと?私はDr.ポタラ、その統合基幹個体である。そして……」 そして?私はDr.ポタラで、ピッコロモンで、でもDr.ポタラは私のテイマーで、憎き仇敵で……??? 「やっぱりか。」おい真弓と言ったか、なんでそんな憂鬱そうな目で私を見る。 私は、いや儂は、そんな目で見られるような……私?儂? 「お前、デジモンの体に人間の記憶と人格を上書きされて、どっちにもなりきれない存在に――堕したね。」 な――そんな、ことは。 「まあ、いいや。アンズーモン。」 「エンリル・トゥプシマティ!」呼びかけられたアンズーモンが技名を叫ぶと、虚空に物体が出現する。 あれは――粘土板、か?そう言えばアンズーとは古代メソポタミア神話に出てくる神獣か何かだったか? 「ピッコロモン、お前が他者に対して時間操作能力を行使することを禁止する。」 粘土板に光でデジ文字が刻み込まれる。同時に何かが自分に、いや自分のデジコアに割り込んできているのが感じられた。 いかん、混乱している場合ではなかった。とりあえずあのデジモンの時間を止めて――止められ、ない? デジコアに割り込んできた何かが、自分の行動を阻害している。 いやこれは阻害などという生ぬるいものではない!まったくプログラムが動かない、これはまさに、禁止されている! 「もう一つ。ピッコロモン、お前の能力で過去に遡ることを禁止する。」 光がもう一行の文字列を書き込み、直後に同じような何かがデジコアに入り込んできた。 試しに過去へ飛ぼうとしてみる。全く何もできない。まるで空気を掴むような虚しい感覚だけがある。 こうなると……できることは、ふたつだけ。 ひとつは自分の時間を完全に止めること。これはまるで意味のない行動だ。 そしてもうひとつが……それしか無いな。 「そうか、ならば私は未来へと逃げさせてもらう。」私が自分に向けて能力の発動を試みる。 「お前たちがいなくなった後の世界で、私の願いを果たさせてもらう。」 「だからさ、お前のその願いって何なの?」真弓が問いかけてきた。 私の、願い……儂の、願い……私は、儂は…… 「永遠の命はDr.ポタラの願いでしょ?お前は本当にDr.ポタラなの?」 私は……ピッコロモンで、Dr.ポタラは……テイマーで、仇で…… 「結局お前は誰なの?」 その言葉に私の思考は一時停止する。能力の発動が停止する。 それは、致命的な一瞬だったのだろう。 「あんただけは、逃さない!」茉莉の、全力で投げたモーニングスターが。 私の胴体の中心に直撃して。大きな穴があいて。 鉄球のトゲが私のデジコアに直撃して。力がどんどんと流れ出ていく。 ピッコロモンのすがたをいじできなくて、わたしは クロックモンにたいかしてもなおいきようと、にげようと みらいへむかって じぶんののうりょくをはつどうして ちからがどんどんぬけていって わたしは 3. 「……終わったの?」不安そうに茉莉が尋ねる。 「多分ね。」俺は周囲を見回しながら答える。 おそらくは探索班と呼ばれる『Dr.ポタラにされた実験体』の部隊と『計画主任』の役割を持たされたクローン。 あわせて6人はどうみても事切れていた。 茉莉には殺さないように言ったのだが、あのピッコロモンが手を下すのは止められなかった。 ……全く、そんなことが。あれが、Dr.ポタラの願いとは違う、あのデジモンが持ってた願いだったのかな。 そうだとしたら、随分とデジモンらしくないと言うか人間らしいと言うか。 デジモンとテイマーは似てくると言うけど、なんとも皮肉な話だ。 あのピッコロモンはデジコアに致命傷を受け、クロックモンに退化した。 その状態で無理に能力を発動させ、おそらくは遠い未来に逃げたのだろう。 しかしあの損傷と状況では助かるとは到底思えない。 集まっている情報からすると、他のDr.ポタラも全滅したようだ。 残っているのは『オリジナル』だけのはずだ。 それは後でゆっくり探すとして……何だ?何か低周波のような振動が……地震? 「真弓ちゃん、何か来るよ!」 「マユミ、でかいのが来る。この感じ……覚えがあるぞ!」 茉莉とアンズーモンが警戒する。二人には何かが感じ取れているようだ。 試作デバイス『シャルウル』の索敵機能は急造品ゆえに未実装だ。 空間が何者かによって『向こう側』から切り裂かれる。その裂け目から何かが姿を顕そうとしている。 「……真弓ちゃん、あれは!」 「マユミ、覚えているか?」二人が次々と俺に呼びかける。 「ああ、忘れもしない。」忘れられるものか。ローダーレオモンのじいさんを殺したあいつを。 『マーナガルルモン!』俺と茉莉とアンズーモンが、同時にその名を呼ぶ。 四脚二腕の怪物が、怨嗟の咆哮を轟かせる。 4. 天沼矛での戦闘から数日後。旧・天沼矛所在地の地下からDr.ポタラの『オリジナル』が見つかった。 それは透明なカプセルの中に入ってたけど、私の力でも開かなかった。 それならと真弓ちゃんが止めるのも構わず叩き割ろうとしたけど、全然割れなかった。 真弓ちゃんが言うには、時間停止状態なせいで破壊不能になってるんだって。 それをやったクロックモンはもういないのに止まったままなんておかしくない?って聞いたら、 「クロックモンが未来に飛んだせいで『クロックモンの死亡』が未確定のままなんだよ。」 って真弓ちゃんは言った。 「クロックモンが飛んだ先の時間になれば、そこでクロックモンの死が確定して、時間停止も解除されるよ。」 って言われたけど、難しくて私にはちょっとよく分からなかった。 「まあ、クロックモンが戻って来るのが明日なのか何百年、何千年も先なのかはわからないけどね。」 ってことでこれはどこかで厳重にモニタリングしながら保管するんだって。 真弓ちゃんはデジタルメキシコに拠点を作って……とか言ってたけど。 ……結局、真弓ちゃんの過去については何もわからないままだったな。 ちょっと残念、と思ってたところに名張さんが教えてくれた。 デジタルワールドにある隠された『図書館』、そこにはテイマーに関する情報ならなんでもあるんだって。 もしかしたら、そこに行けば、真弓ちゃんの過去とか無くなった記憶とかが見つかるかもしれない。 解説 これでは15年ぐらい遡ったところで ピッコロモンは出現したマーナガルルモンに対し過去に飛ばすことで対処しましたが時間稼ぎにしかなりませんでした。 また、そこで一旦過去に飛んだマーナガルルモンは過去の真弓たち一行と遭遇、ローダーレオモンに致命傷を負わせてすぐに現在に戻ってきました。 現在視点からみて10分にも満たない時間の間の出来事になります。 アンズーモン 実はこの姿は本来のアンズーモンの姿とはかなり異なっています。 トブキャットモンやプテラノモンが空自部隊Doadoeとして活動してきた記憶と経験がデータとして二人の中に蓄積され、それが反映されました。 背中の可変翼は本来ならもっと鳥の翼に似た、レイヴモンの翼みたいな形状でした。 シャルウル 真弓が実験体時代に見聞きしたことから再現した記憶転写技術、それを応用した意思疎通デバイス。 意味記憶の直接転送により、思考言語を誤解や誤訳を防ぎつつ言葉の通じない相手であっても伝達できます。 真弓はこれを有効活用するため、思考言語と発声言語を同時にバラバラの内容で発声できるように訓練しました。 茉莉には無理だったので戦闘中に彼女は一切指示を出さず自身の戦闘に専念していました。 自衛用のレーザー砲は拳銃ぐらいなら破壊できるが自動車ぐらいの大きさの物体を破壊するのは無理、という威力です。 デジモン相手だと成長期にはダメージを負わせられるが成熟期には通じない、ぐらいの感じです。 発射間隔は5秒程で、10発撃つとバッテリー切れします。