スライサー(Slicer) 中堅メガコーポ「タイマイ・コメ社」は実際のところアマクダリ傘下の企業の一つである。 そして社長秘書を勤めるサザワ・スイ(砂澤 好)こそ、セクトから監視も兼ねて送られてきたアクシス隊員であり、その事実を知るものは社長のナミチキだけである。(そもそも社がアマクダリに属している事を知っているのはナミチキと一部上役だけ。カネと特権に目がくらんだ彼の独断なのだ) 髪を結い上げ、眼鏡をかけ、いかにもな怜悧な美人秘書めいた外見のスイだが、実際、秘書をやっている彼女は有能であり、さながら機械めいて日々のタスクを捌いていく。 しかし、それはあくまで秘書をやっている時の顔に過ぎない。 彼女の本性は、血に飢えたツジギリそのものなのだ。 特に家庭環境が悪かったわけではない。彼女の生まれは特段裕福ではなかったが、かといってマケグミと蔑まれる程酷くもない。両親も健在であり、彼らもまたごくごく普通の一般人だ。 学校の成績も優秀な方ではあった。それでイジメにあっていたということはなく、やはりイジメをする側だったこともない…少なくとも学校内では。 センタ試験の成績も上々であった。 そんなスイであるが、実際のところ、幼少期より強い殺人衝動を抱いて生きてきていた。幼少期…もしかするとそれは生まれ落ちた瞬間から、なのかもしれない。それ程に深く、彼女は人を殺してみたかった。睡眠、食事、性欲。これに殺人欲が加わったのがスイという女だ。 血に飢えた悪魔、或いは腹を空かせた獣めいた女であったが、同時に彼女は自分が異常であることも、やはり幼少の頃より理解しており人前では完全に狂気を覆い隠して生きてきていた。本性を隠して生きていく事でのストレスはあるにはあったが、彼女はそれを何処か楽しんでいた。 いつか必ず夢は叶う。 必ず自分は大勢の人間をこの手で殺せるようになる。 それを確信していた。 そして、その日が訪れた。 彼女はヨタモノの集団に襲われた。 ヨタモノ達の目的はスイのサヨナラアンドファック。 死を齎す痛みの中にあって、スイは笑っていた。 彼女の狂気に惹かれるように、邪悪なニンジャソウルがディセンションする。 ヨタモノ達が持っていた刃物を奪い取り、彼らをなるだけ生かしたまま、ハムめいて薄く薄く皮を剥ぎ、肉を切り、骨を削っていく。 なんと清々しいことか。生の実感。この世へ産まれたきた事への感謝。絶頂。エクスタシー… スイは本当の自分の姿は「スライサー(切り裂くもの)」だと理解した。 やがてセクトのニンジャとなったスライサーだが、相変わらず自分の本分は「人斬り(ツジギリ)」であると認識している。秩序の大義名分の下に違法分子と言う名の弱者達を斬り殺す快感に酔いしれているが狡猾な一面も併せ持っており一応、殺しは任務内でのみに抑えてはいる。 それでもわざとウカツを晒しモータルの目撃者を増やすことで自分がそれを口封じに殺す、という真似をする事も屡々。 ジャスティスもスライサーをやや問題視している一方、使い勝手の良いツジギリであるとも判断しており、時にはわざと彼女の暴走を促すかのような任務を与えて社会不安を煽る一因に使ったりもしている。と言っても、いずれはスライサーを「切り捨てる」つもりでいる事に変わりはない。切れすぎる刃物は暗黒秩序社会には不要なのだ。 ニンジャとして活動している時のスライサーはその殺人衝動を抑えるようなことはしない。秘書時のトレードマークであった眼鏡を外し結い上げた髪を解き、代わりにメンポを身に着けた彼女は邪悪なニンジャそのものだ。 一切の躊躇なく人を殺す一方、同じアクシス達への仲間意識などは皆目持ち合わせていない。場合によっては仲間を平然と見捨てるような事もあるだろう。 シナリオ導入のヒント スライサーはただのアクシスであるためNMは人数調整の為など、気軽に彼女をNPCとしてPLに同行させて構わない。 しかしスライサーに仲間意識など皆無な為、過度なサポートは期待しないほうが良いだろう。例えばトラップの解除などを彼女は積極的に行なうとは思えない。(自分自身に影響があるなら別だ) PL達が全員判定に失敗した場合、渋々といった様子で助けてくれることはあるかもしれない。この時の彼女のストレスはイクサで敵相手に発散されることだろう。 また彼女もDKK取得には積極的なニンジャであることには注意をした方がいいだろう。それを止めるには説得が必要になるが上記のようにイクサ以外で彼女に頼っていた場合説得難易度が上昇する、などがあっても面白いかもしれない。 余談だがAoMにて同名のニンジャがヤマナンチ社に存在するが当然のごとく彼女とは無関係である。AoSを彼女は超えられない、ということにもなる。(多分、製作当時、名鑑に無いから見逃したんですね…ケジメします) スライサー 最重視するパラメータ:【ワザマエ】  親密度1:「ドーモ、スライサーです。アイサツが済んだので私はもう行きます。早く人が殺したいので」  報酬:『◉知識:サラリマンの流儀』/『◉知識:犯罪』 親密度2:「何故、表向き秘書をやっているか…ですか?非ニンジャのクズどもの中で生活するとストレスが溜まりますよね?そのストレスがツジギリの時のいいスパイスになるのです。…お前も試してみるか?ククッ!」  報酬:『◉ツジギリ』/『◉邪悪なサディスト』 爆発四散:「フ…フザケルナーッ!私はッ…まだまだッ…たくさんッ!人を殺したいのにィィィッ!サヨナラッ!」    報酬:『**プラズマカタナ・オブ・スライサー**』 数多の人間を斬り殺してきたスライサーの愛刀。うっすらと血と肉の臭いがする。 *業物のカタナ*として扱う。