わたしはラプソディ この世界樹で覆われた世界の片隅で 大好きなおばあちゃんと楽しく暮らすファーマーの女の子 寝たきりのおばあちゃんとの生活の為に樹海に潜っては いろんな自然の恵みをこのバスケットに入れて持って帰るの リンリン♪ リンリン♪ 腰で軽やかに鳴るお気に入りの小さなカウベル むかしおばあちゃんが冒険者だった頃に使ってた たいせつなたいせつな魔よけの鈴 今日もこの鈴を鳴らしながら街に出て 樹海にはいる許可をもらいにいくの 「また出たんだってな…行方不明者…」 「ああ…何でも装備一式だけが血塗れで見つかっているらしい…」 クエストボードをのぞき込みながら、おじさんたちは渋いかお 笑ってないとしあわせ逃げちゃうよ? そんなおじさんたちを横目にわたしは窓口で許可をもらうと るんるん笑顔で樹海の入り口にいくの 「おっラプスちゃん、今日も綺麗な真っ白エプロンかわいいよ」 「一人で大丈夫かい?って聞くだけ野暮だったかなアハハ」 わたしが入り口のまえにくると ふたりの門番さんが声をかけてくるの 門番さんたちはわたしのカウベルを見ると いつも安心した顔で門をとおしてくれるの 「気をつけて行くんだよ」 「危なくなったらすぐに糸を使うんだよ」 わたしは はーい と返事をする けどちっともあぶない事なんてないのにね こどもあつかいなんて失礼しちゃうわ 門をくぐると見慣れた別世界がわたしのまえにひろがる 花のいろ、うすい木漏れ日、いつもの慣れたかおり わたしは鈴を鳴らしながらあるいていく おばあちゃんが教えてくれたひみつの場所へと向かうの リンリン♪ リンリン♪ 鈴が鳴るとまわりから動物たちの声がきえる リンリン♪ リンリン♪ こんなにきれいで楽しい音なのにへんよね そしてわたしはひみつのお花畑につくの だけどおかしいわ おばあちゃんとのひみつのお花畑に知らないひとが立ってるの 「はじめまして、ボクは近くの村でファーマーをやっているパストラルといいます」 知らないひとがはなしかけながら近付いてくる 「ここは良い所ですね、仲間とはぐれて迷い込んだ先にこんな場所があったなんて」 おばあちゃんとのひみつの花畑を踏み荒らしながら リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪ たくさん たくさん すずがなる リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪ リンリン♪                     まっかにさいた きれいなきれいな あかいはな                   ――リン♪ やがて たくさん たくさん たくさん たくさん 鳴ってた鈴の音がやみ わたしはバスケットいっぱいに採取したモノをつめこんで帰るの 「やぁラプソディさん、今日は採取の日だったんですね」 朝の門番さんとはちがうひとが話しかけてくる 「ええ、おばあちゃんに早く良くなってもらいたいもの」 わたしは笑顔で門番さんにこたえるの もうひとりの門番さんは仲間が行方不明であわててる冒険者さんとおはなしをしている そのひと無事だといいな 「…その赤いエプロン似合ってるねラプソディさん」 門番さんはリンと鳴る鈴を見てエプロンが目に入ったみたい 「うふふ、とくべつな染め物ですもの、当然なの」 言ってわたしはおうちに帰る まっててね大好きなおばあちゃん 早く元気になって                 また                          この鈴たくさん鳴らそうね