「クク……グフッ……グフフフフッ!」 10年前───あの赤い悪魔に敗北した俺は、これまでにない程の恐怖をこの身に刻み付けられ た。 しかし、刻み付けられたのは恐怖だけではなかった。 「勝利を確信した表情が恐怖に引き攣った表情に変わる瞬間!何度見てもどうしようもなくたまら ない!」 そう、あの破壊により恐怖と同様……いや、それ以上の快感を味わった俺は、他人を破壊する事 に悦びを見出す様になっていた。 「だがこんなものじゃ満たされない……もっと!もっとだ!」 足りない。足りない。足りない。 俺に焼き付いた恐怖を昇華するエクスタシーに達していない。 ヤツをこの手で壊した時こそ、今までにない最高の快楽を得られる。 破壊されたあの小娘の姿はきっと、この世に存在するどんな優れた芸術品よりも美しいだろう。 その為に俺は耐えて、耐えて、耐えてきたのだ。 「待っていろ、錦木千束……!」