鬱蒼とした森の中にぽつんと存在する小さな村…その片隅の家屋には、評判の新婚夫婦が住んでいた 「世界を救う勇者になる」そう宣言して旅立ち、そして帰還した青年と巫女(と犬とキモいシスコン)。大冒険の末に帰ってきた彼らを、村の皆は快く迎え…そして、旅の途中で夫婦になったという報告も、特に驚きもせずに受け入れられた 幼馴染でもあった彼らは、おそらく旅の中で順当に仲を深め、恋人になって…そして当然に結婚したのだろう 多くの村人はそう考え、彼らをただ祝福した。具体的に何を成したのかは知らないが、とにかく勇者たちの尽力でクローラーの危機は去った。住民たちの大きな悩みは消え… 代わりに、新たな悩みが生まれていた。笑い飛ばせるくらいの小さな悩み、着実に人々の睡眠時間を削るそれは、他でもないその夫婦が原因であった 「んぎっ♥あんっ♥♥あ゛あ゛っ゛助けてぇっ♥や゛め゛て゛ぇ゛ぇ゛っ゛♥♥♥死ぬっ死んじゃう♥お゛お゛お゛っ゛っ゛♥♥♥」 毎日のように夜を引き裂く喘ぎ声 知らぬものが聞けば婦女が強姦されていると誤解を生むその声は、村民を不眠症にし耳栓の装備を余儀なくされた 言わずもがな、例の夫婦の…アウラムとイヴの、壮絶な性交から発された声である。村の片隅に居を構えていたが、耳をつんざくような情事の音は酷いときには村全体に響き渡っていた 好青年そのものの夫と、清楚そのものの(ファッションセンスは除く。なんだあの痴女服は!?)妻の営みにしては些か激しすぎる気もするが、人間誰しも2面性はあるものだ、特に秘め事に言及するのは品がないだろう。村民たちはそう思って、昼と夜で様子がまるで違う夫婦を生暖かい目で見守り…そして耳栓をねじ込んで床につく それが、彼らが帰還してからの日常だった ◆◆◆◆◆◆◆ 「ふふ…この前村の人に言われましたよ、『暴行されているのではないか』ですって」 鈴を転がすような声でイヴは笑う。楽しげな彼女とは対照的に、その夫…アウラムは複雑な表情を浮かべた。 月明かりが差し込む寝所には、二人以外にだれもいない。白い光に照らされたイヴの背中…うなじから臀部にかけての芸術的なラインに、アウラムは息を呑む 後ろで組まれている彼女の手には、艶めかしい雰囲気に似つかわしくない、無骨な金属の手錠が嵌められている 「当たらずとも遠からず…ですね、私たちにとっては。さ、鍵閉めてください」 「うん…」 カチリ、と金属質な音が響き、イヴの両手を手枷が封じる。同じものが足にも付けられており、彼女の四肢を完全に拘束している ごろん、とそのまま彼女は芋虫のようにベッドに転がされる。既に全裸であり、傍らには寝巻きが丁寧に畳まれて置かれていた 「いいですか、いつもお願いしていますが…絶対に、遠慮も容赦もしないでくださいね」 「……うん、わかってる」 「リースの演技にも騙されないでくださいね。私は何があろうと絶対にアウラム君を拒んだり、否定したりしませんし、拘束を解けとかも言いませんから」 「……うん、わかってる」 噛んで含めるように話すイヴに対し、アウラムは苦しそうに答える 全ては、あの悪辣な羽虫…イヴの魂にへばりつく寄生虫、リースを封じるためだ イヴリース。それが、リースが表出したときの名だ。星の神子たるイヴの魂を侵食し、身体を乗っ取ろうとしたリースは、しかしその傲慢と性悪さゆえに脚を掬われ、イヴの心の奥底に押しやられた しかし、まだアレは諦めていない。虎視眈々とイヴの精神力(実際、リースが表に出ないよう常に気を張っているのだ)が摩耗するのを待ち…不意をついて、また身体を乗っ取ろうとしている イヴリースを無力化し、またイヴの意識を取り戻すためにはリースの意識を喪失させる必要があり…その為に、イヴが提案したのがこの情事だった 「それじゃぁ…えっと、楽しんでくださいね?」 「……あぁ」 ふっ、と糸が切れるようにイヴの身体から力が抜ける。常にリースの思念と戦い続けている彼女は、その精神的な疲労も大きい。くたん、と脱力したイヴの身体に…次第に不愉快なエネルギーが集まるのを感じ、アウラムは苦い表情を浮かべながらその剛直を秘所にあてがった 「ぅぇ…んひぃ!?」 瞼を開くと同時に、貫く。愛撫もなにもしていない、皮膚と粘膜が擦れる感触…通常なら痛みしかもたらさない無理やりな結合は、しかし絶妙な快楽を生み出している 剣が鞘にぴたりと収まるように、まるで誂えたかのように。二人は身体の相性が恐ろしく良かった。それこそ…激しく交われば一瞬で絶頂に達してしまうほどに 「ああっ♥このっ♥♥やめっ♥やめろっつってんでしょ♥♥この強姦魔♥♥バニラのくせにぃっ♥♥」 目覚めたリースがイヴの声でアウラムに罵声を浴びせかけようとするが、一心不乱なピストンに揺さぶられて嬌声が混じるばかり。逃げ出そうにも拘束された手足では思うように動かず…次第に四肢の力も入らなくなっていく 「いい加減やめっ…ん゛ん゛っ゛♥♥厨二病みたいなふれーば…や、あぉぉぉっ♥ あ゛っ♥♥♥"Check THIS out"…お゛ほ゛っ゛♥♥あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛~~~~っ♥」 分泌される愛液でピストンはさらに加速し、イヴリースはいよいよ獣のような咆哮をあげ犯されるがままとなる これが、イヴとアウラムの…二人が考えた手段だった なんのことはない、リースが目覚めればすぐアウラムが犯し、快楽の濁流をもって即座にその意識を失わせる…それだけである。万が一にもアウラムを傷付けることの無いよう、『交代』の前にイヴが自分自身の身体を拘束しているため、最早リースはただ犯されるだけの存在と化していた そろそろ、アウラムにも限界が近付いてきた。小刻みに突き上げている動きを止め、腰を大きく引く。最後の一撃を叩き込まれると察したイヴリースは、ぶるぶると震えながらなんとか抵抗を試みる 「待って…っ♥待ってアウラム♥助けて♥お願いやめてっ♥やだやだやだやだあっ♥♥♥」 なんとか身を捩り逃げ出そうとするイヴリース。哀願する声、恐怖と快楽に歪んだ顔、逃れようとして…しかし叶わない無力な身体 最愛の幼馴染の姿に、かつては罪悪感を覚えずにはいられなかったが… 今では、昏い興奮を覚えるようになっていた どちゅん、と剛直を最奥に叩き込み、そのままグリグリと内部を抉る 「ひぃぃい゛ぃぃぃ゛っ♥もう゛やめでえ゛ぇぇえっ♥イぎたぐないっ♥お゛っ♥おっ、オ゛ぉぉオ゛あぉぉォッ♥」 どくどくと白濁が注がれると同時、イヴリースは喉も破れんばかりに絶叫し…そのまま、白目を剥いて気を失った 「はぁ…はぁ…」 きーんと耳鳴りのする頭を押さえ、アウラムは犯し抜いた妻の身体を見下ろす。白磁のような肌にところどころ付いた拘束の痕、美しい顔は涙や涎や鼻水で台無しになり、未だ繋がっている秘所からは断続的に潮が吹き出している 劣情を掻き立てる光景だ、そう思った自身を、アウラムは酷く嫌悪した