「ん……っ」 鬱蒼とした森の中にぽつんと存在する小さな村…その片隅の家屋にて、リースはその意識を覚醒させた 茫洋とした意識の中でも確かに感じる星の巫女たる力、そして同じ女性として羨望を向けずにはいられないすらりとした手足に、同情を禁じえないまっ平らな胸部… 即ちこれは渇望してやまなかったイヴの肉体である、ということを認識した刹那 ずぶり、と下腹に衝撃が走った 「んぎっ!?」 思わず声が漏れる。当然だ、なんの準備もしていない秘所にいきなり異物…男根が押し込まれたのだから。衝撃で涙が溢れ、開かれた視界をぼやけさせる。男が自分を押さえつけて腰を振っているのが見えた この男は知っている。金髪に精悍な顔つき、何より突然の挿入にすらこの身体が…イヴの肉体が歓喜し、快感で視界が明滅するほどの相性の良さ… 「アウラム…っ!アンタ…ああっ!」 自分が見下したはずのただの凡人―そんな男に好き放題犯されている。現状を認識した瞬間に、イヴリースは全てを思い出した イヴの身体を乗っ取ったこと、トロイメア達をあの気色の悪い兄にけしかけたこと、追いすがってきたアウラムを散々に打ちのめしたこと、そして (「可哀想だし…死ぬ前にいい思いさせてあげようかしら♪」) そう言って、彼に跨ったこと 当然のことながら、それは慈悲などではなかった。淡い恋心を育んでいた彼らの尊厳を破壊し、バカにしてやりたいという底意地の悪さの発現。 童貞と処女を一度に踏みにじる昏い喜びを味わいたい、そんなただの嫌がらせのつもりだったのに… (「んぐぅ!?な…はっ…あんっ♥」) 乱暴に挿入した瞬間に、全身に電撃が走るような衝撃 そのショックのおかげで目覚めるイヴの意識と、追いやられるリースの精神 結論から言えば、なんてことのない話…イヴの身体とアウラムの相性は、あまりにも良かった。良過ぎた。それこそ、なんの準備もしていない生娘の身体ですら絶頂を、意識を吹き飛ばすほどの圧倒的な快楽を得られるくらいに良かった そのために、リースはその意識を…幾星霜にも渡って待ちわびた、巫女の身体の主導権をあまりにも単純に手放してしまったのだ  一度手放した流れは変えられない。それこそ、プレミ一つでデュエルの趨勢が180°変わるように 深層に沈めていたイヴの意識が表出した結果、身体の主導権はイヴ本人に渡った。立場は逆転し、リースはもはやイヴが目覚めている間は体を動かすどころか意識すらない 偶に…イヴの精神が疲労した隙をついて目覚めれば、そこには暴虐が待っている 「動かなっ…なんでッ!?」 交合が始まる前から、すでにイヴリースの敗北は決定していた アウラムを突き飛ばし、身体を跳ね起きさせようとするが、両手首と両足首に絡まる鎖の感覚が彼女をその場に縫い付ける。身を捩っても身体の向きを変えることすら出来ず、暴力的な(しかし痛みのかけらもない)ピストンに肉体が揺さぶられるだけ そしてそこでようやく、イヴリースは自らの現状を理解した。ベッドの上に、仰向けかつ大の字に拘束されている…衣服は全て脱がされており、ベッドの脇に丁寧に畳んで置かれている (イヴ…あんた自分で自分を拘束したの!?ワタシが目覚めた時に何もできないように…アウラムに犯させるためにッ!) 「んぅっ♥ぎッ♥はァんッ♥かはぁ♥」 麻薬のような快感が遂に脳に到達し、食いしばった歯の間から嬌声が漏れる。自分の意志に関わらず、イヴの肢体はとにかくアウラムの肉体と相性が良すぎる。思考は纏まろうとしては霧散し、快楽のみがただ脳に刻み込まれ… (なんでこんなことに…!せっかく巫女の体を手に入れたのに!ワタシ神になれたのに!なんで…どうして!) ピストンがより激しくなっていく。イヴリースにも、アウラムにも、限界が近づいてきていた 「やだっ♥だめえッ♥」 どくん、と胎内に精が注がれると同時に、薄い身体が勝手に跳ね、そして視界が白く染まっていく。快楽の波に押し流されるようにして、リースはまた意識を手放した 拘束されたまま目覚め、なにもできないまま犯される。無理矢理に絶頂させられ、そのまま意識をまた深層へと堕とされる これが、これからのリースの日常だ 永遠に…。 ◆◆◆◆◆◆◆ 「はぁ…」 荒い息を吐きながら、彼女の様子を見守る。涙でグシャグシャになった顔、縛られて鬱血した手足、精で汚してしまった下腹… それら全てが、アウラムの心に影を落としていた 「んっ…」 イヴリースの身体がピクリと跳ねる。ややあって、彼女はその目を開いた 「イヴ……」 アウラムは思わず名を呼んだ。にこり、と微笑む彼女の手を取り、巻き付けた鎖を外していく。 「アウラムくん……お願い、抱きしめて 下さい……」 イヴは甘えるような声を出しながら、両手を彼の背中に回す。それに応えてアウラムも彼女を抱きしめた。柔らかくて暖かい、彼女の身体の感触を全身で感じる (ああ……あったかいな) イヴの体温を感じながら、アウラムはあの日のことを思い出していた。この狂った関係が始まった時のことを 「アウラムくん…私の中にリースを感じます。アレは未だに諦めず、機を伺っている、そう思うのです」 あの時…イヴが自身の身体を取り戻した際に言われた言葉 「今私は意識的にリースを抑え込んでいますが、精神的な疲労も感じています。私が限界に達したとき、アレは必ずイヴリースとしてまた目覚める…ですから、」 イヴは真っ直ぐな目でアウラムの顔を覗き込んだ 「その時は、今日のコレを…せ、性交することでリースの意識を弱めることができるはずなので、コレを再現しましょう」 そう言って、少し顔を赤らめながらイヴはアウラムに口づけた 否と言えば、彼女は強硬策を…自害を選ぶに違いない。そう思ったアウラムは、その道を受け入れるしかなかった 「うわぁ…だいぶ痕ついてますね…♥」 そう言いながら、イヴは自身の手首についた痣を眺める。 「イヴ……すまない」 アウラムはイヴの身体を拭き取りながら謝罪する。罪悪感が、また彼の心を軋ませた。すべては彼女の指示である。服を脱がせるのも、両手足を鎖で縛り付けるのも…一切の慈悲なく強姦を完遂することも。 「いいえ、アウラムくん、これは必要なことなんです。私がリースを完全に御せるようになるまでは。それに…」 涙を浮かべる彼の頬に、キスを一つ、そして耳元で囁く 「アウラムくんになら、もっと酷いことされてみたい、かも…」 「えっ」 動揺する彼を尻目に、イヴは身体を清めに行ってしまった ◆◆◆◆◆◆◆ その後、アウラムは目敏くイヴの痣を見つけたその兄に殴られ重症を負う羽目になるのだが…それはまた別のお話