昼の日差しの射し込む部屋で、横たわって微笑む少女の姿は絵画のように美しかった。 僕はこの子を好いていて、この子も僕を好いていると言ってくれて、それなのにどうして。 「ヨウさん」 促すように笑いかけられ、僕は意を決して綺麗な身体にのしかかった。彼女の身体は儚くて柔らかい。 綺麗な人形のような姿を、大好きな女の子を僕が乱暴に組み敷いている。非現実的な感覚に頭がぐらぐらする。 震える手を伸ばし、体温の高い首に指をかけると、綺麗な緑の目がうっとりと細められ、リーリエは嘆息した。 白い手が求めるように僕の腕に触れて、僕は罪悪感に苛まれながら自分の手に力を込め、彼女の首を絞めた。 「…っ、あ…ァ…っ」 あくまで窒息しないように、ほんのわずかの力でしたことだけど、それでも綺麗な首からか細い声が抜ける。 「…ヨウ、…さん…、あ…っふ、…ふっ…」 抑制を失ったかのような甘えた声が僕の脳を揺さぶる。 「もっ、…と…、強く、して、くだ、さいっ…」 全身から汗が噴き出す。嫌だ。僕はこんな事を望んでなんかいない。 僕はもっと普通に、彼女の喜ぶ事がしたいのに。彼女に幸福でいて欲しいのに。 それなのに彼女はどうしてこんなことをさせるのか。どうしてこんなことで喜ぶのか。 「お願い、します…っ、もっと、もっと乱暴に…!」 普段の清楚な雰囲気からはかけ離れた、淫らな表情が僕を見上げる。 潤んだ眼に紅潮した頬は極めて蠱惑的で、容姿との嬌態のコントラストが僕の頭をおかしくする。 組み敷いていた下半身を誘うように擦り付けられ、僕は自分が性器を勃起させていた事に気付いた。 自己嫌悪と相反する背徳とが僕の判断力を奪う。理性を弱める。 「気持ちよく、なりましょう、一緒に…っ」 声は蜜のように甘かった。 これが彼女の幸福だというなら。 僕は自分の欺瞞に目を背けながら、首を絞める手に力を込め、彼女の身体に体重をかけた。 「…ごめん、ごめん…っ」 大切な少女の首を片手で絞めながら、もう一方の手では抵抗する──という体(てい)の──彼女の手首を抑えつけ、さらに全身で覆いかぶさって細身を圧迫する。 誰がどう見ても最低の乱暴と思える行いをしながら、僕は露になった鎖骨に吸い付いた。甘い声が上がる。 「それっ…、それ、っ、気持ちいい、です…っ、好きっ…」 求めるように、あるいは褒めるように、僕の頭に彼女の手が這わされて髪を漉いた。 ぞくぞくする。興奮に導かれるまま僕たちは浅ましく股間を互いに擦り付けて、絶頂へとのぼっていく。無茶苦茶だ。蹂躙している身体は柔らかくて、それにとても良い香りがした。 支配的な母親に清く美しく育てられた彼女が自らの身体を暴かれ穢される事に強い幸福を感じるという事は理解していた。 他の誰でもない僕に侵され、犯されたいのだと。 だけどそれは恋する彼女を傷つけさせまいと守り続けてきた僕にとっては本当に抵抗のある事で、しかしそれだけにその背徳感は僕を揺さぶるのだ。 してはならないことをして、そのを罪を赦されるという繰り返しに、僕はいつの間にか中毒になっていた。 「いいん、ですよ、ヨウ、さん…っ、私、嬉しい、です…、大好き…っ」 またリーリエが僕の酷い行いを褒める。頭を撫でて、指を絡めて手を繋いで、僕の罪を赦す。 笑う彼女の顔は、誰かに似ていた。