「やぁ伽夜子さんに月彦さんでしたっけ?どうぞどうぞお座りください。」 「あぁ妻は気にしないでくださいやあねぇ。この子が初めてパパかママかどちらを呼んでくれるかってねえ。もう熱心にママって呼んでごらんって。歌まで作っちゃっていやあ親バカで恥ずかしい。」 「でも、妻があやすより私があやした方が静かになるんだからねえ?」 「えっ?そろそろだって?まいったなぁ。伽夜子さん達もどうぞ聞いていってくださいよ。」  そう言うと男は熱心に椅子に座る子供ママと呼び掛けている女のところへ向かった。  そして、子供の口に付いているガムテープを外す。 「助けて…助けて…帰して…お母さん、お父さんのところへ…。」 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」  女が耳を劈くような悲鳴を上げ泣き始めた。  それを、男は涙ぐみながら抱きしめあやす。  椅子に縛り付けられた子供は目を瞑り必恐怖を死に堪えている。 「また…駄目だったね…辛いね。でも、また連れてくればいいから…ほら泣き止んで。」  男はその体勢のまま、首だけを動かし月彦達を見る。 「丁度いい男の子は少し年齢はあるがまだ…。」  女が突如泣き止み月彦達を大きく開いた瞳で見つめる。  そして、手元からデジヴァイスを取り出した。デジヴァイスから光が発せられ全身が緑色の餓鬼が現れる。 「さぁピーターモンあの子を私達の家族に。」 「助け…助け…「うるさい。」  女が子どもを椅子事蹴とばそうと瞬間に伽夜子のデジヴァイスから現れたブシアグモンが椅子事子どもを抱え避ける。 「ほら、月彦君やっぱりデジモンが取り付いてた訳じゃあなかったろ。外で見た時に気配なんてまるでなかったしね。自分達の意志だよ。」 「そ…それでも確かめたかったんです…もしかしたら近所の方が依頼するような人達じゃないって…でも…もう、いいです。」  ピーターモンが月彦の首に手を掛けようとする。  それと同時に月彦はデジヴァイスに手を掛けた。  K県、S市の住宅街で匿名で少女の監禁の通報が入り、監禁の疑いで30代の男女が逮捕されました。  男女の自宅からは複数の人骨が見つかり余罪を… 「デジヴァイスまで持ってたのにただ拾っただけとはねぇ。」 「嘘は付いてないみたいだしやれやれだね月彦君。」 「あ…あの子大丈夫でしょうか…。」 「さぁそれは人間の領分さ。私達がどうこうする事じゃあないさ。」  マスコミが押し寄せているのだろう遠くに明かりとヘリの音がする。  それをビルの上で満月に照らされながら4つの影が眺めていた。