「竜馬先輩~今日は何の日かわかりますかぁ~?」  朝早くから、明るい声が始まりの町に響き渡った。その声の主は、神崎璃奈。  紫色のロングヘアーと八重歯が印象的な女の子だ。 「……ああ、バレンタインデーだろ」  対する竜馬は、リュックからミネラルウォーターのペットボトルを取り出しながら、無愛想に答える。これが彼の普段の様子だ。  これでも入院前よりは口数が増えた方である。 「ふふ~ん! じゃあ、用意しておいたチョコを食べてもらいますね💜」  璃奈は得意げに胸を張り、カバンから包みを手に取った。真っ赤な包装紙に金色のリボンがついた可愛らしい箱だ。  俺にか?と竜馬は怪訝な表情を浮かべる。 「そうですよぉ! 今日はぁ……竜馬先輩に渡すために作ったんです! ひと目見かけたときから……ずっと好きだったんです!!」  璃奈は自信満々に大声で言い放った。  さっきまで竜馬といっしょに遊んでいたテルコとシャコモンが驚愕の表情を浮かべる。  竜馬もまた一瞬、驚いた表情を浮かべるが、すぐにいつも通りの無表情に戻る。 「竜馬がチョコもらえるなんて初めてじゃないかぁ?」  トリケラモンだけは落ち着いてマイペースなままであった。 「どうでしたぁ竜馬先輩💜 ドキドキしましたぁ~? 本気にしましたぁ~? これはぁ好きな人に渡すときのための練習ですよぉ練習💜 はい、璃奈ちゃん手作りショコラおひとつどうぞぉ」 「……どうも。ありがとう」 「さっさと食べて見てくださいよぉ~! もちろんちゃ~んと口で感想言ってくださいねぇ? 表情だけじゃ璃奈ちゃんわかんないしぃ💜」  竜馬は素っ気なく受け取ると、早速チョコを口に運んだ。甘くて美味しい。璃奈が作ったチョコレートはとても上手にできていた。 「……あの、竜馬先輩……? おいしかったですか?」  不安げに尋ねる璃奈。 「ああ、美味い」 「ぃ゙やったぁァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!! さすが先生に手伝ってもらった秘伝のレシピ。あの竜馬先輩も認める味ならみんな大満足間違いなしぃ!」 「いいなぁ竜馬。おいらもチョコ食べたいよぉ」 「もちろんデジモン用も作ってあるしぃ! トリケラモンの分もあるよぉ💜 璃奈ちゃん特製ショコラはストレスと疲労が減る効果もあるんだって💜 テルコちゃんとシャコモンも一緒に食べてぇ~!」 「いいの?」 「一緒に竜馬先輩を討伐した仲じゃないですかぁ~💜 はい、どうぞぉ! 竜馬先輩も認める味ですよぉ💜」  竜馬はどこか複雑そうな表情でそれを見つめながら、またひと口チョコレートを口に運んだ。  彼らは和気あいあいと朝の時間を過ごす。どこまでも平和で温かい時間だった。 ■この後颯乃ちゃんとかの森編入院組とかに配ったりした後ヴァン様のお祖父ちゃんなバルバモン経由(七大魔王は自在にデジタルゲート開ける)で人間界にもどるか呼ぶかでのばらちゃんにチョコ渡したりしたあとデジタルワールドに戻ってきたらなぜかニューリーダーを目指し始めるナスガキが待っている。 ■ニューリーダーナスガキのことは、ケンタル先生は特に手伝わない。(危険になったら流石に動くが……)