二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1715610613542.jpg-(708290 B)
708290 B24/05/13(月)23:30:13No.1188941693そうだねx3 00:56頃消えます
GWに冒頭だけ投げたうちの子怪文書が書けました(ANSI)
スレにも途中まで投げます
fu3472045.txt

出てくるの
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争点になってるとこ
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/05/13(月)23:31:15No.1188942101+

「――決闘だ!それしかない!」
デジタルワールドのとある一地方。
そのまたとある街のレストランで、空上嶺文は声高に叫ぶ……のも店に迷惑なので、
そこそこの声量で宣言した。
「……はぁ」
ため息とも生返事ともつかない調子で、好物のフィッシュフライを摘まんでいたプテロモンが応える。
彼の突拍子もない妄言は今に始まったことではない。
深い仲でもなかろうが、毎日のように付き合わされていれば当然の反応であった。
「呆れてんだろうが、今回ばかりは本気だぜ」

「ならまともに返してやる。正気か?」

「当然。こんなこと抱え込んでた方がまともじゃいられないね」
鼻白んだままのプテロモンをよそに、嶺文はだってさ、と続ける。
224/05/13(月)23:32:20No.1188942496+
「いい加減参ってんだよ、あのお方には……」
神妙な表情から一転、げんなりした面持ちの彼の気を揉ませているのは、
自身と時を同じくしてデジタルワールドに転移してきた嘗ての級友の存在であった。
霞澤璃子。
異境の地で再会した彼女はその外見の変化に留まらず、
一方的な敵意を嶺文に浴びせ続けている。
「……そうは言うが、そこまでして正すほどのものなのか?」
本気かコイツ。
今度は嶺文が抗議の視線を送るが、プテロモンは意に介さない。
「オレから見れば、それほど険悪な関係でもないと思うがな」
事実、霞澤璃子とは暴走デジモン阻止という目的を同じくしており、
幾度か鉢合わせても威嚇されることはあれど、嶺文達を直接妨害してくるような頑迷さまでは彼女も持ち合わせていない。
それどころか、筋道立てて説明すればこちらの要求にも納得してくれるし、なし崩し的に共闘した前例すらある。
要するに、付き合い方を考えなければならない程の問題人物ではない、というのがプテロモンの見解だった。
324/05/13(月)23:33:27No.1188942838+
しかし、そんな同行者の指摘にも嶺文はため息をつく。
「プテちゃんさぁ……ちょくちょく人の心が分かってない時あるよな」

「デジモンだからな」
さらに言えば、個人間の問題に否応なく巻き込まれている立場であることも考慮してほしい。
そこまで伝えたかったが、
プテロモンにもそれを発せば会話が拗れてしまう機微を解する心があった。
「そりゃ悪くはないけど、良くもないんだよ――」
対する嶺文の心情としては、結局根本の原因が不透明なことに違和感を覚えていた。
一概に悪いとも言えない関係が構築されているからこそ、
身に覚えのない理由で嫌われている現状には不可思議な気分にさせられる。
加えて、彼にとっては曲がりなりにも親交のあった人物だ。
その内面も見た目と同じく変わり果てていれば、却って気も楽だっただろうか。
424/05/13(月)23:34:29No.1188943184+
「――いっその事よ……『このカラアゲ野郎!ぶっ殺してやる!!』ぐらいの勢いだったら、」
「『何だとカタクリコ女!!』ってなモンなんだが……何かな……何かなぁ〜!!」

「わかったよ、わかったから抑えろ」
周囲の視線を気にかけ、プテロモンが場を忘れ始めた嶺文を宥める。
「で……決闘だったか?……普通に聞けばよくないか?」

「……それが出来たらこんな話してねえよ。勢いってのも、こういう時は馬鹿に出来ないと思うぜ」
確かにここまで関係が長引いてる以上、改まって問うてもはぐらかされる可能性はあるか。
……それにしたって発想が飛躍してないか?とプテロモンは逡巡する。
嶺文の攻勢はなおも続いた。
「それによ、ここが重要なんだが……ああいう不良は、こういうノリに弱い!」

「そ、そうなのか?」
524/05/13(月)23:35:20No.1188943481+
――不意に、椅子を伝って嶺文の身体が揺れた。
意図せぬ背後からの衝撃に思わず振り返るも、誰の姿も認められない。
だが一瞬、視界の端に掠めたものを頼りに視線を下げると、震源はそこにいた。
見たまま、ほぼ全体を残す卵の殻から爬虫類の足が突き出た奇抜なフォルム。
レストランの看板店員、デジタマモンだ。

そこでようやく、嶺文も自分のしでかしたことに気がついた。
窺うように相手のその、目元の殻が空いた部分を覗けば物言わぬ瞳がじいっ、と見つめ返してくる。
ここらが潮時、という事らしい。
624/05/13(月)23:37:33No.1188944291+


「――模擬戦だァ?」

デジタルワールドの街外れに広がる、荒涼とした大地。
草花も疎らに残した未開拓地には今、3つの影が伸びていた。
一つは、ある提案に声を上げた霞澤璃子。
一つは、その傍に仕えるファンビーモン。
そして残る一つは、
「へへっ……そうでございますぅ……」
腰を曲げ、揉み手をも作ったリンクモンであった。
724/05/13(月)23:38:22No.1188944594+
『……おい』

『なんだよ、取り込み中だぞ』
その内奥には、"リンクモン"を構成する空上嶺文とプテロモンの人格が共存する、
所謂精神空間とでも呼ぶべきものが広がっていた。
"リンクモン"として表出する人格は切替可能などちらか一つだが、
ここでの会話が基本的に外部へ漏れることはない。
『昨日と随分話が違うようだが?』

『一つ学んだな。こういうのが言葉の綾ってやつだぜ』
精神体であっても知覚できる嶺文のしたり顔に、プテロモンはない頭を抱えたくなった。
824/05/13(月)23:39:31No.1188945080+
昨夜、決闘だと宣った嶺文の計画はこうだ。
まず前提として、霞澤璃子にはデジソウルというアドバンテージが存在する。
それがデジタルワールドへの転移を以て得た技能なのか、
元より備わっていた資質なのかは敢えて論じない。
ただ事実として、一般的な小学校高学年〜中学生程度の格闘能力しか持ち合わせがない嶺文にとっては、
あまりに分が悪い相手だ。
最悪弾みで致命傷を負いかねないし、相手もそれをよしとするほど道を外れてはいないだろう。
かといって遠慮をされては、
勢いのまま引き出せる話も引き出せない――というのは単なる嶺文の持論ではあるが――。
そのハンデを埋めるべく登場するのが、嶺文達の特色たるリンクモンである。
リンクモンはスピードこそ類稀なものを有するが、その代償としてか、極端なほど非力だ。
足を止めての殴り合いであれば、成熟期はもとより一部の成長期に押し負ける事すら有り得る。
普段の戦闘ではこれらの扱いに苦慮することも多い嶺文だが、
今回ばかりはその特性に助けられる事となった。
924/05/13(月)23:40:33No.1188945463+
つまるところは、霞澤璃子とリンクモンとのマッチアップである。
リンクモンの脚さえ封じれば璃子を過剰に痛めつけることはないし、
反対に相手の拳を受け過ぎなければ打ち合いにも持ち込めるだろう。
そうした状況下でガードの緩んだ彼女から本音を聞き出し、
ここ一連の不和の真相を知るというのが、嶺文の狙いだった。
そこまでは、プテロモンも事前に聞かされていたのだが。

「――というわけでございましてね、ぜひご協力いただければと……」
この態度はどうした事だろう。
『そもそもこんな事、聞き入れてもらえるかどうかだからな』
ならもう少し自然に媚びろ。
嶺文の言動に付き合うのも疲れ、プテロモンが共有された"リンクモン"の視界に意識を向けると、
その眼前では両腕を組み、眉根を寄せた霞澤璃子が仁王立ちで佇んでいた。
どう見ても好感触ではない。
1024/05/13(月)23:41:41No.1188945886+
「……何でもいいけどよぉ」
少し間を置き、ため息交じりに璃子が口を開く。
「アタシに言って聞かせたいんなら、その気色悪い喋り方はやめな」

「う……」
されどその眼光は、鈍ることなくリンクモン――の内奥にいる嶺文――を捉えていた。
『一つ学んだな。……替わるぞ』
気圧された嶺文に代わり、リンクモンの表層意識がプテロモンのものへと移る。
物理的にすら巻き込まれた身なれど、このまま主催に任せていては話が進まないのも明白であった。
「失礼した。質問はオレが聞こう」
曲がった背筋がスラリと伸び、口調も硬くなったリンクモンの様子に、璃子は言われずとも察する。
「ならもう一つだ。アイツが相手じゃいけねぇ理由は?」
璃子が視線を向け、リンクモンも追従した先でファンビーモンがどうも、と会釈した。
「見たいのはキミ自身の力だ」
1124/05/13(月)23:43:31No.1188946627+
「……今はどうにかなっているが、近い内に暴走デジモンとの戦いは激化する、とオレは見ている」
「せいぜい、相手をしているのも成熟期までだからな。黒幕の影響が強まれば、手勢も力を増していくだろう」
「その時、パートナーがキミを守り切れる確証はない……」
「オレの場合、その気がなくてもイチレンタクショウだがな」
自分の胸に親指を指し、リンクモンは肩を竦めてみせる。
そんなことは、と逸るファンビーモンに制止をかけ、璃子が場を繋いだ。
「だからアタシを鍛えてやろうってか?テメエらにメリットがねえだろうが」

「そうでもないさ。キミ達に手を組む気がなくても、オレ達の方から頭を下げる事はあるかもしれないからな」

「……ハッ、情けねぇの」
事も無げに言い放ったリンクモンを前に、璃子もまた頬を僅かに緩ませる。
「わかったよ。呑んでやる」
1224/05/13(月)23:44:55No.1188947158+
「お嬢……」

「悪いなファンビーモン、疑うのもバカバカしくなっちまった」

『おぉ……通った』

『ほらな。普通に話せばいいんだよ』

『……簡単に言ってくれんねぇ』

プテロモンの手際にない舌を巻きつつも、裏腹に嶺文の緊張は高まってきていた。
どうにか相手を場に引きずり出すことには成功したが、それは過程でしかない。
むしろここからが、彼の希望的観測で詰まった未知の本番なのだ。
1324/05/13(月)23:47:15No.1188947990+
「――やるからにはテメエが出るんだろうな、カラアゲ」

「お、おうよ……期待にゃ応える男だぜ、オレは」

――改めた説明も終え、嶺文の意識に切り替わったリンクモンと、霞澤璃子が向かい合う。
戦意と緊張を交わらせる二人の間には、ファンビーモンの進化した姿であるスティングモンが直立していた。
貰いっ放しは性に合わない、という璃子の提案で進化したスティングモンはデジソウルの消費だけでなく、
この模擬戦の審判役を任されている。
「……それでは、合意と見てよろしいですね」
スティングモンの最終確認に両者も頷き、彼の右腕が天に掲げられた。
「……始めっ!」

「よっしゃ来――」
――開戦の合図が下された一瞬。
リンクモンの煽りを聞き入れるよりも早く、璃子の拳が振り抜かれる。
1424/05/13(月)23:48:38No.1188948493+
「ぐえッ!」
吹っ飛ばされたリンクモンは着地先の地面に弾かれ、もんどり打ってうつ伏せに倒れ込んだ。

「……立てっかよ、カラアゲ野郎」
言いながら、璃子は拳の感触を確かめる。
流石アーマー体だけあって、硬さはそれなりだ。
無防備かつ、踏ん張りも利いていない胴体に打ち込んで距離は出たが、効き目自体は薄いだろう。
「な、何てことないね……」
起き上がりながら、リンクモンは内心狼狽していた。
今何が起こった?
いや吹っ飛ばされたには違いないが、躊躇がなさすぎないか?
腹部にじわりと残る痛みで、どこを殴られたかすらも周回遅れで認識する。
受け過ぎなければ……と考えてはいたが、早期に目的を果たした方がいいのかもしれない。
嶺文とプテロモンの意見は合致した。
1524/05/13(月)23:53:32No.1188950253そうだねx2
残り半分程ですが投下はここまでにしておきます
設定周りはだいぶノリで書いててごめんなさぁい!
途中2,3回ぐらいデジモン題材に書く話か…?って正気に戻りかけて…ああっ!
1624/05/14(火)00:00:44No.1188952947そうだねx5
力作だった
力作だっただけに今日はちょっとタイミング悪かったかもしれん…
1724/05/14(火)00:03:22No.1188953902そうだねx2
>力作だった
>力作だっただけに今日はちょっとタイミング悪かったかもしれん…
発端は見てたんですけど一通り終わって宣伝しに行こうとしたら何か…えらいことになってるな…
1824/05/14(火)00:04:42No.1188954344そうだねx3
>>力作だった
>>力作だっただけに今日はちょっとタイミング悪かったかもしれん…
>発端は見てたんですけど一通り終わって宣伝しに行こうとしたら何か…えらいことになってるな…
後半はもっといいタイミングで投げられるといいな…
1924/05/14(火)00:04:53No.1188954413そうだねx7
いいの!いいのよ「」ルモン!あなたは間違ってなんかないわ!
2024/05/14(火)00:05:59No.1188954814そうだねx6
後半投げるとき前半もしれっとテキストで投げちゃおうぜ!
2124/05/14(火)00:09:42No.1188956217+
スレに書き込んだのが前半までってだけでスレ文のtxtに後半含めた全文入ってます!
紛らわしくてごめんなさぁい!
2224/05/14(火)00:09:53No.1188956291+
森燃やしてごめんなさぁい!!
2324/05/14(火)00:14:51No.1188958109そうだねx2
読んだよ!
戦乱の中だったから二人で殴り合ってすっきり和解できる関係が染みる
2424/05/14(火)00:15:45No.1188958459+
>森燃やしてごめんなさぁい!!
時期関係なくまず読んでもらえるかが凄く不安だったからいいの!いいのよ「」ルモン!
2524/05/14(火)00:23:50No.1188961427+
>読んだよ!
>戦乱の中だったから二人で殴り合ってすっきり和解できる関係が染みる
ハンデ入れまくるならリンクモンvsスティングモンにした方がいいんじゃ…とも思いましたが
代理で私闘させる璃子もなんか違うなあとこの形になりました
確かに犠牲とはほぼ無縁ですねこの子達
2624/05/14(火)00:28:03No.1188962772そうだねx1
あとは璃子のパーソナル部分が突貫工事でだいぶ薄かったので追加setteiも投下しておきます

・幼少期は内向かつ消極的な性格で、クラスの一部から揶揄われる事も少なくなかった。
・そこを転校生で勝手も知らなかった嶺文が助け(ようとしてタコ殴りにされた)、友人関係となる。
・嶺文が再度の転校で離れて頼れなくなった事、
あとは彼から貸してもらっていた漫画の影響で自立の為一念発起し、鍛え直した今のスタイルに進化した。
・実家は母子家庭。母親も娘の変化には驚いたが、
「人道踏み外してなきゃヨシ!」と許容しており、璃子もまたそれを規範としている。
・前述の通り、どちらかと言えば自衛の意味合いが強く、傾向として自ら喧嘩を吹っ掛ける事はほとんどない。
だが、それが誰かを守る為であったり、助けになるものであったりと判断した際には躊躇もしない。
・暴走デジモンに対しても、
「荒療治ではあるが、結果的に相手を救う」というスタンスで立ち向かっている。
2724/05/14(火)00:31:53No.1188963861そうだねx2
・基本、目上の者にはそれなりの礼儀を持って接するが、
髪色を咎められると璃子も退かない為、結局不良扱いされている。
・小さな子やデジモンに対しては目線を合わせて話しかけるタイプ。
・裁縫が趣味。冒険や街に赴いた際に繊維を調達しては、
ファンビーモンに手製の服を着せて互いに楽しんでいる。
・現在のローヤルベースは過去に一度壊滅し、年月をかけて再編されたもの。
ファンビーモンには再三帰還命令が出ているが固辞しており、璃子にもそれを黙っている。
2824/05/14(火)00:40:22No.1188966665+
そう言えば誰かのsetteiで壊滅してたなローヤルベース…
2924/05/14(火)00:43:24No.1188967579+
>そう言えば誰かのsetteiで壊滅してたなローヤルベース…
明良お兄さんのsetteiから拝借しています
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勝手に再編させてますが時期が開いてる想定なのでこちらのファンビーモンと面識はない…はず


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