「はあ……はあ……はあ……」

周囲に横たわる夥しい数のデジモンの中心にマグナモンは立っていた。
いずれも一筋縄ではいかない究極体揃い。
中にはディアボロモンやミレニアモンなど、出現するだけでデジタルワールドが危機に陥るような存在も複数確認できた。

「まだだ。所詮はシミュレーター、本物には程遠い」

ここはエージェント・Ｋが運営しているアリーナのシミュレータープログラム内。
彼女が収集したデータを基にあらゆるデジモンを再現し、仮想戦闘を行うことができる。
マグナモンはこの機能を利用し、己の内から湧き出る苛立ちをぶつけていた。

「次！」

「次！」

指定するのは同じロイヤルナイツ、その空席の主である漆黒の騎士。
アルファモンのデータが構築され、マグナモンの眼前に出現する。

「来い！」

マグナモンの呼びかけにアルファモンは無言で印を切る。
彼の持つ究極戦刃、オウリュウモンを素体とした大剣、王竜剣が顕現した。
並みのデジモンでは卒倒するであろう圧力がシミュレーター内を満たす。
しかしマグナモンはこれを意にも介さず、真っ向から受け止める構えを取る。
アルファモンの剣が大上段から振りかぶられる。
並大抵の、どころか殆どのデジモンでは、究極体の質量を持つ王竜剣に、ロイヤルナイツ最強とも目されるアルファモンの一撃に、成すすべもなく両断されるだろう。

「…………」

轟音がシミュレーター内の空間に響き渡る。
舞い上げられた土煙が晴れると、交差させたマグナモンの両腕が王竜剣の刃を受け止めていた。
衝撃で脚が地面にめり込むが、ゴールドデジゾイドで構成されたマグナモンの身体には傷一つない。

「！？」

動揺したアルファモンは王竜剣を手放し距離を取ろうとするが、マグナモンはその隙を逃がさず接近する。
その手には球状に圧縮されたブラズマが握られていた。
アルファモンの鎧を殴りつけるように、手にしたプラズマを叩きつける。

「プラズマシュー……」
「そこまでだ」

突然シミュレーターが強制終了する。
眼の前にいたアルファモンも、周囲に横たわるデジモンも消え去り、普段のアリーナの姿が戻った。

「精が出るな。マグナモン」
「主……」

シミュレーターを止めたのはマグナモンのパートナーであるＶⅠ・Ｆだった。
エージェント・Ｋが主催するアリーナの頂点、マグナモンが知る限り最強のテイマーである彼は、普段と変わらぬ飄々とした笑みを浮かべている。

「今日のトレーニングでは物足りなかったか？」
「いえ、どうにも寝つきが悪く……またあの悪夢を見てしまったので……」

ああ、とＦは得心がいった声を出した。

マグナモンが体験した悪夢。それはＶⅠ・Ｆと出会う以前のことである。
かつてロイヤルナイツとしてデジタルワールドの秩序を守っていたマグナモンは、あるデジモンと戦闘になった。
ネオデスジェネラルの一体、スカルスカモンである。
廃棄データの塊などと侮ることなく、万全を期してエグザモンとクレニアムモンまで帯同し、盤石の構えで挑んだはずだった。
しかし、ロイヤルナイツの守りの要は脆くも崩れ去った。
自身の防御はあっけなく崩され、語るもおぞましい姿へと変えられ、結局何もできないまま、エグザモンとクレニアムモンに逃がされ敗走した。
油断した、などという言い訳はロイヤルナイツには通用しない。そもそも油断したつもりもない。
デジタルワールドの秩序の守護者が、純然たる力の差で打ち負かされたことがマグナモンの心に深い傷をつけた。

「私はもっと強くなりたい。何者にも傷つけられない強さ、あらゆる弱きものを守る力を」

失意の中で出会ったのがＶⅠ・Ｆだった。
彼は適格なトレーニングと戦術指導、戦闘中の援護でマグナモンを鍛え上げ、やがてＸ抗体の力を発現させアリーナの頂点に君臨することになった。
しかしそれでも、マグナモンの心を癒すには足りなかった。
デジタルワールドにはアリーナに登録していない強者が無数に存在する。
ネオデスジェネラルを初めとした脅威が無数に存在する。
このままでは浅瀬で遊んでいる井の中の蛙だ。
その事実がマグナモンの焦燥感を募らせていた。

「お前、ちょっと固いんじゃないか？」

Ｆの言葉に、マグナモンは頭に疑問符を浮かべる。
固いとはおそらく自身の身体に纏う鎧のことではないだろうということだけは理解できた。
ここだ、と言わんばかりにＦは自分の頭を指でコツコツと叩いた。

「守るだの使命だの。そんなものにこだわってどうする？戦いとは楽しむものだ」

楽しむ、という言葉がマグナモンには理解できなかった。
彼にとって戦いとは、デジタルワールドの脅威を排除し、秩序を守ることだ。
そのために厳しい鍛錬を積み、あらゆる攻撃を通さない最強の守りを得たつもりだった。

「では、主は何のために戦うのです？」

マグナモンの問に、Ｆは普段の飄々とした笑みで応える。

「戦いに理由など必要ない。昨日できなかったことが今日できるようになったことに喜び、考え抜いて構築した作戦を出し抜かれたことに喜び、相手の奥の手を紙一重で切り返したことに喜び、全てを出し尽くさせたうえで叩き潰すことを喜ぶ。俺にとって戦いとはそういうものだ」

滔々とＦが語り掛ける。
その顔はまるで、難しいゲームを楽しむ子供のようだ。

「……理解できません」
「だから固いんだよ」

Ｆの指示も指導も一級品だ。
これからも彼についていけば自分は強くなれるだろう。
しかし、この人間の思考を理解することは自分には不可能だと感じていた。

「丁度いい。そういうことなら出かける支度をしろ。『アイツ』に会いに行く」
「『アイツ』とは？」
「会えばわかる。たまには俺以外から指導をもらうのもいいだろう」

そう言うとＦはディーアークを操作し、アリーナの主に連絡を繋いだ。

『テイマー支援システムへようこそ。何か御用ですか？ＶⅠ・Ｆ』
「少し出かける。オートパイロットを用意してくれ。アリーナに挑戦者が来たら呼び出してもらって構わない」
『畏まりました。アーキボウヤモンに用意させます』
「それとモチモン、『アイツ』に会いに行くんだが、お前も来るか？」
『ケッ、なんで俺が。てめえらだけで勝手に行ってろ』
『ＶⅠ・Ｆ、モチモンは大事なスタッフです。勝手な勧誘はお控えください』

そうかい、とＦは通信を切った。
その面持ちはまるで遠足を楽しみにしている子供のようだ。

「行くぞ」

踵を返すＦに遅れてついていく。
この男を理解することはできないだろう。
それでも、この男についていけば、自分は更なる強さを得られることだけは理解できたのだった。

以上です
こちら修行本番編です
長いので貼りませんが見れなかったら言って下さい
fu3463881.txt

こちら『あいつ』です
fu3463886.jpg
settei
fu3463889.jpg

ストイックなマグナモン好き好き大好き〜
エンジョイ勢のVⅠ.Fとの相乗効果も大好き〜
>fu3463886.jpg
>fu3463889.jpg
ウワーッCV佐藤せつじ！！

やばいクレニアムモンがあの戦いに参加してたことになっちゃった
キャラ設定書き直さないと

先に言っておくと流石にアーマゲモン噛ませにするのはやりすぎたかなって思ったけどまあロイヤルナイツだし鍛えたしいいよねって思ったので勘弁してね…

>やばいクレニアムモンがあの戦いに参加してたことになっちゃった
>キャラ設定書き直さないと
スカルスカモンのスレでそういう流れになったのを自分が採用しただけなんで無視してもらって結構ですよ

>>やばいクレニアムモンがあの戦いに参加してたことになっちゃった
>>キャラ設定書き直さないと
>スカルスカモンのスレでそういう流れになったのを自分が採用しただけなんで無視してもらって結構ですよ
申し訳ありません恩に着ます

読み終わった
ソウチョーレオモンカッコいい…好き…
あと
>先に言っておくと流石にアーマゲモン噛ませにするのはやりすぎたかなって思ったけどまあロイヤルナイツだし鍛えたしいいよねって思ったので勘弁してね…
正直相応の戦力と戦闘支援あったからいいと思う
うおっFのカードスラッシュ早すぎ…

>こちら『あいつ』です
>fu3463886.jpg
>settei
>fu3463889.jpg
誰ー！？

戦闘描写うめぇ…
Fが強すぎる…これはアリーナ最強の説得力がある

モチモンはやっぱまた顔が変形するまで殴られたのかな
…また？前にそんなことあったっけ？

真面目なロイヤルナイツ本当にカッコいいな

>うおっFのカードスラッシュ早すぎ…
もうロイヤルストレートフラッシュを打つチャラ男さんみたいなスピード感です
あとVⅠ・Fはダークセブンズとミスティセブンズはつまらないと思ってあんまり使わないです
>戦闘描写うめぇ…
>Fが強すぎる…これはアリーナ最強の説得力がある
そう言ってもらえて嬉しい…もっと頑張るね…

F相手にするときは手札捨てさせねぇと駄目だな…

まあアーマゲモンオメガモン特攻みたいなとこあるから…

超究極体なんだろうか…

>F相手にするときは手札捨てさせねぇと駄目だな…
流石にアリーナでセブンズカードまでは切りませんよ
…どうだろうあいつそんな空気読むことするだろうか？
>誰ー！？
setteiと怪文書に書いてる情報以外ありませんよ
今回のために用意したキャラです
>モチモンはやっぱまた顔が変形するまで殴られたのかな
>…また？前にそんなことあったっけ？
モチモンなら殴ってもすぐ復元しそう

>超究極体なんだろうか…
ソウチョーは超究極体想定です
バンチョーレオモンから進化しました

>…どうだろうあいつそんな空気読むことするだろうか？
ルールには従うだろうからケイトが没収かな…

アリーナだとリペアキットつかえないしね…
リペアキット…？

因縁の相手スカルスカモンに勝つのがMATHUROかな…
でもユキちゃん守るために生きてる今のスカルスカモンに同じ守護者としてトドメがさせないんだろうな……

>因縁の相手スカルスカモンに勝つのがMATHUROかな…
>でもユキちゃん守るために生きてる今のスカルスカモンに同じ守護者としてトドメがさせないんだろうな……
そういう場面で「どうしたさっさととどめを刺せよ」って言ってくるのがF

>因縁の相手スカルスカモンに勝つのがMATHUROかな…
>でもユキちゃん守るために生きてる今のスカルスカモンに同じ守護者としてトドメがさせないんだろうな……
MATHUROまで書く気はないですが秩序の守護者なら自分の復讐は割り切れるでしょう
Fは多分それをつまらなそうに見てます

テイマー支援システムをご利用いただきありがとうございます
フフ…モチモンはおそらくですがグランディスクワガーモンの状態で喧嘩を売りに行ってあの立派な顎を折られたとかそんなところでしょう
モチモンの状態で超究極体と戦ったら小突かれただけでもデリートされかねませんからね
>ルールには従うだろうからケイトが没収かな…
おそらくアーク組にはランクごとに使用可能なカードのレギュレーションを作成するとは思うのですが
アリーナ1位に挑むテイマーにレギュレーションのような配慮が必要でしょうかとも悩みますね

>テイマー支援システムをご利用いただきありがとうございます
>フフ…モチモンはおそらくですがグランディスクワガーモンの状態で喧嘩を売りに行ってあの立派な顎を折られたとかそんなところでしょう
>モチモンの状態で超究極体と戦ったら小突かれただけでもデリートされかねませんからね
>>ルールには従うだろうからケイトが没収かな…
>おそらくアーク組にはランクごとに使用可能なカードのレギュレーションを作成するとは思うのですが
>アリーナ1位に挑むテイマーにレギュレーションのような配慮が必要でしょうかとも悩みますね
いつもお世話になってますオー…エージェントK
流石にソウチョーも手加減ぐらいできますよ
今回はマグナモンだから全力で殴りにいっただけで
やるなら一切テイマーが介入しないかテイマー込みの全力でやるかになりそうですかね