二次元裏@ふたば

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287473 B24/04/27(土)19:59:28No.1182918805そうだねx3 21:05頃消えます
デジモンイモゲンチャー●・●話「誠なる姿。天界の元帥」
今、妖怪が進化する。
txtで貼ると文字化けする環境があるのでレスで投稿します。

*この怪文書にはシリアス成分、及び捏造進化先が多く含まれます。ご注意下さい。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/04/27(土)19:59:40No.1182918902+
こういう時、何時も実感する。
料理人なんざ、結局の所は料理に興味がねえ奴相手にゃ、何もできねえ存在なんだと。
未熟な時は様々な国、様々な料理人に喧嘩を吹っ掛ける武者修行で、だいぶムチャをした。
そのせいで潰れた店は両手、ついでに両足の指を使っても数え切れねえ。
そんなもんで、そりゃあもう大勢から恨みつらみを買ってきた。
だから、自然と護身術めいた暴力は身についていた。
蹴ったり蹴ったり、あとは蹴ったりな。
とはいえ、相手がどうしようもないバケモンだと流石に手が出せねえ。
いや、手は出せるが、刃が立たねえ。
例えばそう、アクセルベタ踏みの重トラに撥ねられるような。
そういや、そんな事も……昔あったな。
あれは、何時だったか………………。
224/04/27(土)20:00:09No.1182919088+
「……ちょ……りょ…………う!」
なんだ、ウルセエな。
ヒトが久々に、懐古してる時に──。
「──料理長! 大丈夫!?」
…………。
そうだった。思い出話なんざしてる場合じゃねえ。
思わず現実逃避しちまってたが、明らかにヤバいバケモンに襲われている最中だった。
クソみたいにデケエ、クワガタの怪獣みたいなヤツだ。
324/04/27(土)20:00:37No.1182919299+
グランクワガーモン!
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クワガーモン系デジモンの究極形態だ!
昆虫型デジモンの中でもとりわけ邪悪な存在であり、
デジタルワールドでグランクワガーモンに出会ってしまった場合は自らを呪うしかない!
424/04/27(土)20:00:53No.1182919414+
いつもなら八戒にオレを担がせてスタコラ逃げてるところだが、そうもいかねえ。
奴さんが巨体のワリに素早すぎるってのもあるが、今オレらの後ろにはガキどもがいやがる。
それも、意識不明。
お供のデジタルモンスターともども死んじゃいねえが、ぐったりして目を覚まさない。
ここでオレらが逃げ出したら、ガキどもはクワガタ怪獣のエサになるだろう。
……そこまで、人間性を捨てた覚えはない。
だいたい、さっきまでトリプってたのも……。身体が勝手に動いちまった所為だしな。
524/04/27(土)20:01:09No.1182919515+
「あぁ、大丈夫だ。オレを誰だと思ってやがる」
「い、いやでも……腕がありえん方向曲がってるよ!?」
「なあに、何度も経験済みだぜ」
「どんな人生送ってきたら何度も経験するの!?」
どんな人生だろうな?
オレはただの料理人のハズなんだけどな?
「そんなことはどうでもいいんだよ」
「どうでもよくな……」
「お前、戦えるか?」
「──!」
624/04/27(土)20:01:27No.1182919634+
今までオレは八戒が戦闘をしているのを見たことがない。
他のガキどもが連れているパートナーのデジタルモンスターは、
やれ進化だなんだと立派に戦っているが、ぶっちゃけオレはそういうのに興味がねえ。
八戒も同様だ。性格が向いていないのか、戦闘能力がないのか。
それとも、どっちもか。
今までは逃げに徹してきたから、無理強いはしなかった。
だが、出来るってんなら殺ってもらわなきゃ困るのが現状だ。
まあ……、困る“だけ”だけどな。
724/04/27(土)20:01:43No.1182919758+
「…………あたしは……」
「できねえか」
「…………」
「いい、聞いただけだ」
「え……」
そう、困るだけ。
別に戦えねえからって、叱るつもりも責めるつもりも、毛頭ねえ。
何故なら、この場じゃオレも戦えねえからだ。
ここで八戒を責めたら“ならお前もだろ”ってハナシになるだけ。
言える立場かよ。
824/04/27(土)20:01:59No.1182919897+
「いいか、少しでも隙を作れるか試す。上手くコトが運んだらテメエはガキども担いで逃げな」
「なっ、ちょっ……! 待ってよ、なんでそんな」
「じゃあガキどもをエサにしてオレらだけ逃げんのか!?」
「っ!!」
……少し口を荒げちまった。
理由もなくギャーギャー騒ぐのは嫌いのハズだったんだがな。
どうも自覚がないまま慌てているらしい。
「オレは……そんなのゴメンだね」
効き目があるかは……、解らねえ。
一か八かだが、やるしかねえんだ。
924/04/27(土)20:02:15No.1182919998+
「オイコラァクワガタのバケモン! エサが食いてえなら人様じゃなくこいつでも喰らいな!!」
ヤツの口元に向かってデカいマンガ肉を投擲する。折れたのが利き腕じゃないのが幸いした。
マンガ肉はデジタルモンスターの主食だそうだから、ある程度は意識が向くだろう。
1024/04/27(土)20:02:46No.1182920219+
そう、思っていたオレが甘かった。
「──────カッ」
気づいたらフッ飛んでた。
ヤツは肉を意にも介さず、オレの身体よりも余裕でデケエ腕で、薙ぎ払ってきた。
地面に強かに打ち付けられて、何度も転がり、意識もフッ飛びそうだ。骨もだいぶイカれたな。
今にもあの世に逝っちまいそうだが、気合いでなんとか持ちこたえる。
実際んとこ、多少は横になってるおかげで、痛みが消えてきている……、気がする。
もしこれが、別の要因で痛みを感じなくなってるなら、相当に怖えが。
あまり考えたくねえから、考えねえ事にする。
ヤツはといえば、厭らしい笑みをニタニタ浮かべながら、重い足音を奏でてゆっくり近寄ってきやがる。
……なるほど、そういう性格かよ。道理でエサなんかにゃ釣られない訳だ。
襲ってくるヤツらは、みんな野性的だと思い込んでいたのが失敗だったな。
まあ、いい。
こうしてオレがイってる間に八戒がガキどもを連れて逃げていりゃ。
1124/04/27(土)20:03:02No.1182920326+
「…………ッ! こ、く、こっち来るなぁ!!」
「────馬、鹿野郎……ッ!!」
こいつ。
事もあろうに、死にかけてまで作った隙を、台無しにしやがった。
ご自慢の熊手を構えちゃあいるが、へっぴり腰だし、震えているしで、素人目にも無理してるのがわかる。
そんなお前が来て、何が出来るよ。
「な、んで……こっち、来たよ……! なにして、んのか、わかってんのか……!」
「わかんないよ!!」
「あぁ……?」
「なんで料理長がそんな簡単に立ち向かえるのか、全然わかんない!!」
………………。
1224/04/27(土)20:03:19No.1182920477+
「だって怖いじゃん! 誰かを傷つけるのも、戦うのも、傷つくのも!」
………………………………。
「なお、さら……、なんで、こっち、来やがった……。怖ぇ……なら、すっこん、でろ……、バカブタ……!」
「怖いよ、怖いけど」
「あたしは、料理長が居なくなる方が怖いの!!」
「……。八戒……」
「だから、だから! 天界を追放されてから、戦ったこと無いから、戦えるかわかんないけど!」
「あたしだって、戦うんだぁ!!」
…………ヘッ。
1324/04/27(土)20:03:35No.1182920600+
「ケケッ……! てめえ、一体、誰の元で……見習いやってたと、思っていやがる……」
「戦えるか、わかんない……、だぁ? いつも、テメエは……戦ってたじゃ、ねえかよ……」
「え……?」
「オレの隣で、勝負に加担してた、じゃねえか……!」
「……!」
「そうだろ……」
今更“ケンカの片棒は担いでいません”とは言わせねえぞ。
こいつはいつも、オレと共に戦っていた。
それだけは、言わせてもらう。
1424/04/27(土)20:03:51No.1182920718+
「やれんなら、やってみろや……。オレには、できねえ、てめえに、しか……、出来ねえ、事をよ……!」
「料理長……!」
クワガタのバケモンは“最期の話は終わったか”、と言わんばかりに、厭らしい笑みのまま。
凶悪なゴツい腕のさらに先、明らかにヤバい爪を振りかぶる。
当然、その先にいるのはオレ達だ。
発破を掛けちゃみたが、ヘタを踏めば、グラムいくらの肉になるのはオレ達。
さあ、土壇場でどうするよ、猪八戒さんよ。
1524/04/27(土)20:04:07No.1182920834+
「あたしは……、あたしはぁ!」

「あたしがッ! 料理長を守るんだァーーッ!!」

……なんだ?
眩しくて何も見えねえ。
何が、起こってる?
1624/04/27(土)20:04:26No.1182920970そうだねx1
「────────」
fu3406626.jpg
テンホウモン!
チョ・ハッカイモンが追放される前の姿とも言われているデジモン!
必殺技は、天界に伝わる巨大なホーリーリング
“緊箍児”に蓄えられているホーリーエネルギーを手のひらに込めて放つ掌打『不動明王』!
1724/04/27(土)20:04:44No.1182921094+
……なんだァ?
八戒はどこ行った?
眼の前の後光背負ってる女は、誰だ?
「 一 个 号 令 」
なにか呟いたかと思うと、大量のデジタルモンスター……、いや、船団がどこからともなく現れた。
「テンホウモン様、水軍師団、現着致しました」
「小隊を派遣しあちらの少年たちの保護、及び救護を。そして、大隊規模で“彼”を護りなさい」
「残りの兵力は……」
「砲門を、あの者へ」
「はッ! 伝令だ! 2時の方角の少年たちを────」
1824/04/27(土)20:04:59No.1182921211+
堂に入った命令。
船団のトップなのは明らか。
てんほう……そうか、天蓬元帥。
猪八戒が、地上に落とされる前の存在と言われている神だ。
これは、あれか?
進化したってのか?
この土壇場で?
「…………カカカッ」
なかなかどうして。
オレも悪運だけはいつも強いらしい。
1924/04/27(土)20:05:15No.1182921334+
船団は、余りにも多い。
周囲は森だったハズだが、いつのまにか平野のごとく均されちまっている。
端から端まで……。どれだけいるのか確認も出来やしねえ。
流石は天蓬元帥サマってか。
クワガタ野郎も咄嗟のことで何も出来ないで固まってやがる。
いい気味だ。
オレはと言えば、いつの間にか船の上に居て、周りを見慣れねえ警備兵に囲まれている。
ひとまず安心……か?
2024/04/27(土)20:05:31No.1182921471+
「全砲門、照準ヨシ!」
「放ちなさい」
「ッてーーーーッ!!!!」
耳が潰れるかと思う轟音と共に、クワガタ野郎が爆炎に包まれる。
効いている、なんてもんじゃねえ。
普通の生き物だったらチリも残らない砲撃だ。
それでも、グロッキーになりつつ生きてるのには驚かされた。
ギチギチ鳴いてこっちを睨みつけている。
大した根性してやがるよアイツ。
2124/04/27(土)20:05:53No.1182921645+
「生存を確認! 次弾装填急げ!」
「いいえ、構いません」
「は……、はっ?」
「後は、私が引導を渡します」
「! ご武運を!」
何を話していたかわからねえが、副官みてえなヤツと何かしら言葉を交わし。
天蓬元帥が、跳んだ。
2224/04/27(土)20:06:09No.1182921771そうだねx2
「貴方は邪悪な存在です」
「天界の水軍元帥として、誅す必要がある」
「……いえ、違いますね」
「これは、ただの官吏としての、理由付けでしか無い」
「────よくも」
「よくもッ、“あたし”のパートナーを!」
「料理長を!!」
「いじめたなぁーーっ!!!!」

  カーーーーーーーーーーーーン
「 不 動 明 王 !!!!」
2324/04/27(土)20:06:25No.1182921889+
消えた。
そうとしか言えねえ、何が起こったかも解らねえ。
ただ、消えたことは解る。
天蓬元帥がクワガタ野郎をブン殴ったら、弾けて光って消えちまいやがった。
いつの間にか、平野みてえに展開されていた船団も居なくなっていやがる。
なんだこりゃ? 夢か?
…………いや、全身が今にもバラバラになりそうなくらい痛えな。
夢じゃねえか。
2424/04/27(土)20:06:40No.1182922012+
「…………。終わりました」
いつの間にやら近くに居た天蓬元帥が、こちらを向き、口を開く。
「ご無事ですか、私のパートナー。……料理長」
そうか。
コイツは、八戒が進化したデジタルモンスター。
オレをそう呼ぶっつうことは、本質は変わってねえのか。
てことはだ。

「は? オマエ進化するとそんなお硬い感じになんの? チェンジ」
「え」
遠慮はいらねえってことだな?
2524/04/27(土)20:06:55No.1182922134+
「い、言うに事欠いて女性に対してチェンジとは何事ですか!! 神罰ですよ神罰!!」
な〜に言ってやがるこのブタは。
「あぁ〜? 女クセが悪くて何度叱られてもセクハラ辞めなかったブタに言われたくねえなぁ!」
「何故それを!?」
オイオイ、西遊記の知識でカマかけたらマジかよ。
やることやってんなぁ!!
「オイどうなんだよオイ、レズかオマエオイ?」
「うううううううう、いじめます! 私のパートナーがいじめますぅ!!」
「イジメてません〜、事実ですゥ〜」
「じじじじじっ事実じゃないですぅ!!」
こりゃ事実だな。間違いねえ。
ケケケ。
2624/04/27(土)20:07:11No.1182922231+
「そっちが事実じゃないにしても、つまみ食いで地上に落とされたヤカラに神罰がどうこう言われたくねえなあ!!」
「ヴッ」
「オラどうした、なんか言い返してみろよ!!」
「………………」
ん?
なんだ、黙ったぞ。
「…………あの」
「あ?」
「すいませんでした」
「おっ、おう」
……急に素直に謝るなよ。
2724/04/27(土)20:07:26No.1182922350そうだねx1
「…………」
「…………」
沈黙が痛い。
「まぁ、なんだ。言い過ぎたな、ウン。事実とは言え」
「一言余計じゃなきゃ謝れも出来ないんですか貴方はぁぁ!!!!」
「カカカカーッ! 俺の嫌いなことは一番が“謝る”でニ番が“負ける”なんだよーッ!」
「最低だこのヒトーッ!!」
「カカ、ガッ! いってえ!!!! 今になって痛みだしてきやがったいってててててててて!!!!」
「あ、あわわわわわ! すすすすすぐに治癒をー!!!!」
やっぱなんだかんだで、煽りゃあ柔らかくなんじゃねえか。
ちっと安心したぜ。
それより治療できるなら早くしてくれ。
死ぬ。

オワリ
2824/04/27(土)20:07:42No.1182922482+
ャャャ君のMATHUROという名のMAKUAKEです。
それと、あえてテンホウモンは“進化”というワードを口にしていません。
長くなりましたがご査収下さい。
2924/04/27(土)20:12:45No.1182924816+
本当にどういう人生送ってんだろうな?
料理人なのに……
たぶんこのあとケンタル先生の診察行きだな
3024/04/27(土)20:13:13No.1182925011+
余談中の余談ですが、空腹じゃないチョ・ハッカイモンは
小此木をイメージして若干気弱に書いています。
今まであのャャャ君にしては当たりがソフトだったのもそれ意識です。
ん? お……この……ぎ……? 誰……? それ……。
3124/04/27(土)20:17:25No.1182926763+
クワガーモン系は敵役として便利だな
3224/04/27(土)20:18:25No.1182927148+
>クワガーモン系は敵役として便利だな
伊達に初代デジアドで初敵張ってない
3324/04/27(土)20:19:34No.1182927594+
かっこいいぜぇ…二人とも
3424/04/27(土)20:23:13No.1182929108+
究極体の攻撃もろに受けても生きてるャャャ頑丈過ぎる
3524/04/27(土)20:24:53No.1182929746+
>究極体の攻撃もろに受けても生きてるャャャ頑丈過ぎる
原作だとアクセルベタ踏み重トラに跳ね飛ばされた翌日に平然と料理大会に出没し
元気に料理をするのでその程度は頑丈かな…と
原さ
3624/04/27(土)20:30:32No.1182932270+
あれ前日だったの!?
もう少したってるかと
3724/04/27(土)20:32:27No.1182933132そうだねx1
>あれ前日だったの!?
>もう少したってるかと
すいません流石に記憶違いでもう少し経ってたかもしれません
でも大した治療もせず自分巻きでユルユルな包帯のまま暴れ散らかしてたのは事実なので…
3824/04/27(土)20:37:46No.1182935724+
カッコいいなあテンホウモン…
3924/04/27(土)20:44:50No.1182939105そうだねx2
「ところでオマエ、人を傷つけるの怖いとかナントカ抜かしてたが」
「うん」
「腹減ったら平気で料理人焼き殺そうとしてたのは何だよ」
「あれは自制できないから別」
「別なのか」
4024/04/27(土)20:53:45No.1182943506+
別かぁー


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