二次元裏@ふたば

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708290 B24/04/21(日)19:18:42No.1180843597+ 20:19頃消えます
うちの子の怪文書を書きました
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お借りします
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/04/21(日)19:19:04No.1180843762+
港区新橋某所、午後。とある小さな雑居ビルの中に警視庁電脳犯罪捜査科のオフィスはある。
というより、雑居ビル全部が偽装された警視庁サイバー犯罪対策課の複数保有する別棟の一つである。
「なんだこれ……『へこきまんじゅう』?誰かのお土産か?」外出から戻ってきた筧がデスクの上に置かれた菓子の包みに書かれた名前を読んだ。
「あああそれ茜さ……名張さんが持ってきたんです。昨日まで実家に帰ってたんですよ。」烏藤が同じものを食べながら答える。
「名張ってあのジャーナリストの嬢ちゃんかい?」デスクの上には二つ置かれている。自分とパートナーのアルケニモンの分、ということなのだろう。
見れば、全員のデスクに二つずつ置かれている。雑に捜査現場に飛び込んでくるような人物の割に気配りが細かい。
「嬢ちゃんはよしたってやあれでも二人の子供がいる立派なマダムやで。」シンドゥーラモンはすでに食べた後らしく、机の上に包み紙が丸まっている。
224/04/21(日)19:19:36No.1180843996+
「もう大変だったんですよ、お子さん自慢は聞かされるし流れるように話題は変わるし…何だっけ怪談?」机に突っ伏しながらもぐもぐする烏藤。
「あー城南島の謎の怪物やったっけ?船主やキャンプ客が音を聞いたっていう。意外と野良のデジモンが隠れてるだけやったりせえへんのぉ?」お茶をすすりながらシンドゥーラモン。
「城南島っつったか今!?」筧の様子が豹変する。
「な、何かあったんですか筧さん!?」慌てて跳ね起きた烏藤が筧に尋ねると、代わりにアルケニモンが答えた。
「私達、さっきまでデジ対に行っててアシハラからパケット通信ログ異常についての調査依頼を受けてきたのよ。その発生場所が大田区の城南島エリアなのよ。」
324/04/21(日)19:19:59No.1180844150+
一週間後の夜、色井恋夜と明智秀人の二名は城南島の倉庫街で車中にいた。
羽田空港北の埋立地、城南島は工場と倉庫、貨物埠頭がほとんどで海側に都区内でも珍しいオートキャンプ場がある。
飛行機の発着音と行き来する小型船で未明から夜遅くまでうるさく、住む者はほとんどいない。
この一週間の間、キャンプ客や通りがかった船の乗員への聞き込み、周辺の防犯カメラのチェック、パケット通信料の監視など内偵調査を進めてきた。
集めたデータの分析から、今夜ここで何か動きがある確率が高いと推測された。
「張り込みポイントに向かう。」捜査部から借りた覆面ライトバンの運転席で明智がそれだけ言って発進させた。
424/04/21(日)19:20:15No.1180844270+
今回の張り込みメンバーは実際に情報分析を担当した明智と、新人ながら高い戦闘力のパートナーを持つ色井が選ばれた。
色井は正直この少しだけ先輩な明智という人物が苦手だ。
寡黙で優秀、眉目秀麗、その実力を買われて電脳犯罪捜査科に来たという。
一方自分はかつて選ばれし子どもたちと敵対し、改心し、ある先輩に憧れてなんとかここに入れた『落ちこぼれ』だ。
周囲の評価はともかくそのように自身では思っているため、明智というエリートには気後れしてしまう。
しかも向こうはあまり会話に参加しない上に仕事も早く退勤も早い。あんなに早く帰って家で何やってるんだか。
「レンヤ、来たぞ」後部座席のレッパモンが小声で注意を促す。
無人の貨物埠頭、そこに隣接する倉庫、その間に人の気配がする。水面から何かが首をもたげ出てきた。
「シードラモンか……それにトゲモンが3体」デジ対提供のデータから割り出した最有力候補と共通している。
すなわち、先日デジ対が取り逃がしたというメキシコ系麻薬ギャング。
「準備だ、色井」明智が短く指示を出す。
524/04/21(日)19:20:33No.1180844404+
可能な限り損害を抑え殺傷せずに捕縛する。
そのために今回二人には先日配備されたばかりのネットランチャーのプラグインが支給された。
ただしパートナーデジモン3体が射撃武器を持つタイプではないのでシューターガン等の射撃武器プラグインも支給されている。
シードラモンが防水コンテナを岸壁に上げ、人とトゲモンが一箇所に集まったタイミングでレッパモン・ディアトリモン・ギロモンが飛び出した。
続いて明智と色井も飛び出す。
「動くな!警察だ!」色井が言うと構成員と思しき人間は左手でデジヴァイスを持ちつつ右手で銃を抜こうとし、トゲモンたちは攻撃態勢を取ろうとする。
遅い。戦闘経験豊富な色井からすると遅すぎる反応だ。一応警告はした。相手は抵抗の素振りを見せた。
「レッ……」指示を出そうとしたその時にはすでにレッパモンとディアトリモン、そしてギロモンも発砲していた。
まず3体のトゲモンにネット弾が命中、粘着質の網に絡まれ倒れて動けなくなる。
続いて次弾斉射、パートナーの構成員3人が同様に絡め取られる。
624/04/21(日)19:20:49No.1180844540+
瞬く間に構成員とそのデジモンが無力化され、残るはシードラモンとそれに跨る男が一人。おそらくパートナーだろう。
シードラモンの大きな体躯をこのネットで拘束できるかは怪しいところだが、人間の方なら余裕だ。
明智が一瞥するとそれを受けてギロモンは左手のガンシューターを男に向け無言で発砲した。
その瞬間、何かが飛んできてネット弾をはじき、そのまま共に岸壁のコンクリートに突き刺さった。
あれは――十字手裏剣?それが飛んできた方、倉庫の屋根上を見ると誰かが立っていた。――女か?
「引け、パンペーラ!貴様が敵う相手ではないぞ!」高らかに埠頭に響くは男の声。
背の低い小柄な男性、ではなくてボイスチェンジャーで男声にしているようだ。
二人、いや二人と三体が共に屋根上の人物に気を取られている隙に、パンペーラと呼ばれた人物はシードラモンと共に逃走を図る。
「逃がすかっ!」海に潜ろうとするシードラモンにレッパモンとディアトリモンが次々に発砲する。
724/04/21(日)19:21:06No.1180844663+
しかしその弾はまたも届く前に撃ち落とされ――否、切り払われた。
いつの間にかそこに、シュリモンが居た。両手の手裏剣状の刃がネット弾を斬ったのだ。
「なっ……いつの間に!?」それまで何者も存在してない射線上にそれは文字通り突然出現した。
一体今までどこに隠れていたというのだ?
色井たちが驚愕している隙にシードラモンは完全に海の中に潜ってしまった。こうなると追跡は困難だ。
「聞け!獅子身中の虫よ!」屋根上から朗々とした声が響く。
「誰が虫だ!どう見ても鳥型だろ!」ディアトリモンが抗議の声を上げる。
「味方の中に隠れ潜んでいる敵、という意味だ。」声の主が解説する。
「……敵、だと?」色井の表情が険しくなってきた。「ちょっと待て、それは俺のことか!」
「レンヤ!」「落ち着けレンヤ!」パートナーたちがほぼ同時に色井をなだめる。
824/04/21(日)19:21:34No.1180844889+
「確かに俺は昔は選ばれし子どもたちの敵だった!でも今は違う!」
大声で叫ぶ色井を、明智は横目で気にしつつも屋根上の人物と岸壁上のシュリモンから意識をそらさない。
「俺は今までやってきたことを償うために!あの人のために!みんなを守るために!必死で!!」
人物の姿は水銀灯で逆光になってよく見えない、しかし彼らの姿を冷ややかに見下ろしているのは明白だった。
「もう俺は敵じゃない!!!」
「……ゆめ軽挙妄動は慎まれよ。我々は、お前たちを見ているぞ。」屋根上の人物がそう言うと、ギロモンが無言で撃った。
だがそれは着弾の直前に斬って捨てられた。あの手に握っているのはナイフ……いや、忍者の使うようなクナイに見える。
「カードスラッシュ!エイリアス!」その人物の左手にはディーアークと思しきデバイスがあった。
すでに右手のクナイはどこかに消え、4枚のカードを持っているのが見える。
瞬時に2枚がスラッシュされ、屋根上の人物、そしてシュリモンが同時に4つに増えた。
「分身だ、レンヤ!」レッパモンが即座に看破、警告する。「落ち着いて観察しろ!見破れるはずだ!」
924/04/21(日)19:21:53No.1180845055+
レッパモンの言うとおりだ。シュリモン一体と人間一人、本来なら余裕の相手、のはずだ。
だが色井の戦闘経験はなにか違和感があると告げていた。……殺気を、感じない?
「カードスラッシュ、ショートカット。」先程までと違ってようやく聞こえる程度にトーンの低い声。
同時に、4体のシュリモンと4人の人物の姿が瞬時に消えた。
「レッパモン、ディアトリモン、奴はどこだ!」「わからん!」「俺もだレンヤ!あいつら一体どこに……」周囲を見回す色井トリオ。
「反応消失を確認。」端末を操作しながらいつもの静かな口調で明智が言った。「原理は不明だがこの付近にはもう居ない。逃げられたな。」
「なっ……そんな、あいつらまるで煙みたいに」
「残った奴を拘束して連行するぞ。」意に介さない様子で明智は続ける。「応援を呼んだ。すぐに来るぞ。」ギロモンが黙って拘束具を運んできた。
1024/04/21(日)19:22:09No.1180845192+
捕まった連中は予想通りメキシコ麻薬ギャングの構成員だった。
残された防水コンテナからはデジタルワールド由来の成分を含む麻薬が押収された。
おそらく幹部と思われる人物を取り逃したのは痛手だが、名前らしきものが分かったのは不幸中の幸いだった。
「それにしても……」翌日夕方、新橋のオフィス。色井は今回の件の報告書がまだ完成できずにいた。
「こんにちわー、っていうかもうこんばんわ、かな?」オフィスに入ってきたのはジャーナリストの名張だった。
「あー名張さん、一応ここ部外者立ち入り禁止エリアなんですけどねー?」
「堅いこと言いっこナシよ色井くーん?」烏藤と同い年とは思えないレベルのノリの軽さだ。「聞いたよー、麻薬の密輸、阻止したんだって?すごいねー!」
それとも子供を生むと子供に合わせて逆にこういうノリになるんだろうか……そう色井が考えていると、
「お疲れ様です。お先に失礼します。」それだけ言って立ち上がった明智が退出の準備を始めた。こちらは昼前には報告書を提出したそうだ。
1124/04/21(日)19:22:39No.1180845470+
「あーんせっかく差し入れ持ってきたのにもう帰っちゃうの―?ぶーぶー!」そう言って名張は紙包みを掲げる。
「えっ差し入れ?何です?」
「じゃーん、実家のほうの名産品、『かたやき』でーす!」出てきたのは丸くて少し厚い焼き菓子だった。
色井は差し出されたそれを素直に受け取り齧りだしたが、
「ほら、明智くんもどうぞ!」
「……いえ、自分は」明智の方は受け取るのをためらっているようだ。
「だいじょーぶ、『毒』とか入ってないから。だいたいこんなに固くちゃ毒なんか入れられないって〜!」
「……わかりました、頂きます。」そう言って焼き菓子を受け取ると、「では失礼します、お疲れ様でした。」明智はオフィスを出ていき、ギロモンがその後に続いた。
1224/04/21(日)19:22:55No.1180845596+
「名張さん、俺、ちゃんと警察、やれてますかねぇ?」口で菓子に、意識でPCに齧りつきながら色井は言う。
「あら、なんかあったの?」
「実はですね……」言いかけてやめた。あの謎の人物のことは箝口令が敷かれている。
あのシンドゥーラモンですら今日はまだ誰にも話していない。自分がまっさきにバラすわけにはいかないし守秘義務違反だ。
だから、その人物に言われたことについて相談はとてもできない。
「あら、ひょっとして言えないこと?残念残念、せっかく新ネタが。」
「名張さん、そればっかりですね……」笑う名張に色井は苦笑する。
「だいじょーぶよ、色井くん。」焼き菓子を一つ摘みだしながら、
「色井くんが昔やったことを悔いてるのも、今はどうしたいのかも、ちゃんと知ってるから。だから安心して、自分の信じた道を進みなさい。」
色井の横に座り、まっすぐに見る。
「ジャーナリストとして、私が見届けてあげます。」
「名張さん……!」
「あらダメよ私に惚れたら!夫もいるこんな子持ちのオバサンなんか相手にしちゃダメよー!」
感極まりそうな色井の背中を、名張はバシバシと叩いた。
1324/04/21(日)19:23:09No.1180845715+
(やはりあの女……あいつか、私に正体不明のマーキングをしたのは!おそらくは先週差し入れされた菓子、あれに何か仕込んでいたに違いない。イージスドラモン様が気づいて消さなければ今頃は……いや!)ゆりかもめ新橋駅に早足で向かう明智は全力で思考していた。
(消したから、気づかれた、のか……?)
1424/04/21(日)19:23:30No.1180845877+
(日本にいない種類の蛾の性フェロモンを抽出した、他の生命体には感知困難な匂い物質……それを保護剤と混ぜて一週間に渡って血中から汗を通して体外に放出)名張は色井をからかいながら、今回の『仕込み』を思い出す。
(オスの蛾を放して居場所を追跡……この電脳捜査科のメンバー全員の動向を追跡……電子記録と蛾の行動が一致しない、そして数日後に蛾で追跡できなくなった人物が一名……明智くん、あなたがどこの所属かはまだわからないけど……)
固い焼き菓子を齧り、割れる音がオフィスに響く。
(私達の邪魔はさせない。)
1524/04/21(日)19:24:11No.1180846221そうだねx1
以上です。
解釈違いとかここはこうじゃないとかあったら
ごめんなさああああい!!
1624/04/21(日)19:26:11No.1180847186+
忍者とスパイに振り回される警察の未来はどっちだ
1724/04/21(日)19:28:08No.1180848002そうだねx2
>忍者とスパイに振り回される警察の未来はどっちだ
どっちにしろすみれさんに負担がいきそう…!
1824/04/21(日)19:39:51No.1180853590+
ちなみにへこきまんじゅうもかたやきも実在のお菓子です
https://www.hekoki-fukuemon.com/
https://www.kankou-nabari.jp/members/?page_id=9104
1924/04/21(日)19:43:19No.1180855194+
実在の地名が出るとリアリティとデジモンらしさが両方増すなあ…とふと
2024/04/21(日)19:43:52No.1180855464+
ほんとうにある饅頭だった!
2124/04/21(日)19:45:00No.1180856015+
>実在の地名が出るとリアリティとデジモンらしさが両方増すなあ…とふと
テイマーズのアニメが好きだったもんで…
2224/04/21(日)19:47:13No.1180857138そうだねx1
テイマーズいいよね…
2324/04/21(日)19:56:05No.1180861635+
>忍者とスパイに振り回される警察の未来はどっちだ
3匹のケツと偉大戦隊とカイゼルグレイモンとゴジ…と桃井…もいるぞ
どうなってんだ現実世界!
2424/04/21(日)19:57:26No.1180862351そうだねx2
リアルでシリアスめのsettei持ち込む奴は大抵テイマーズ好き
ソースは俺
2524/04/21(日)20:11:16No.1180870232+
>>忍者とスパイに振り回される警察の未来はどっちだ
>3匹のケツと偉大戦隊とカイゼルグレイモンとゴジ…と桃井…もいるぞ
>どうなってんだ現実世界!
((🐊))


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