吉村 司 レプリクロスローダーを持つ少年。17歳。 大学受験が迫っており、勉強に力を入れていないわけではないものの、思う通りにいかず、最近は勉強から逃げがちになっていた。 体格が良く、自分の腕力にはそこそこ自信を持っていることから、キレると手が出やすい。 ある日塾をサボっていたところ、道端に落ちていたクロスローダーを見つけ、触れた途端デジタルワールドへと転送されてしまう。 ミネルヴァモンに保護されるが、ここはどこなのか、すぐに帰れるのか、そもそもお前は誰だ、と彼女の話を遮り質問攻めにした結果喧嘩になる。 幼く見えるミネルヴァモンを甘く見たのか殴りかかるが、あっさりと返り討ちにされた。 「どこなんだよここ!?どうやったら帰れる!!!?てかお前誰だよ!?!?」 「ガキのくせに…お前…めちゃくちゃ強いな…」 ミネルヴァモン デジタルワールドに転送され混乱している司を発見し保護したデジモン。 究極体にふさわしい行動をしようと考えており、彼を保護したのもその考えから。 しかし、感情的な性格が災いして司といきなり喧嘩になるが返り討ちにした。 この喧嘩を経て、ある程度打ち解け、司を弟分とすることにした。 過去に弟であるイグニートモンを失っており、そのことは大きな傷となっている。イグニートモンと司をどことなく重ねている様だ。 「まずはアタシの話を聞けぇぇ!!!」 「お前もなかなかやるな!アタシの弟分にしてやる!」 イグニートモン ミネルヴァモンの弟。喧嘩っ早い性格だった。 とある理由により消滅した。ミネルヴァモンとは喧嘩することも多かったが、仲は良かった様である。 レプリクロスローダー 何者かによってダークネスローダーを元に作成されたと思われるコピー品。機能はおおむね正規品のクロスローダーに準ずるもので、強制デジクロスなどは不可能。その時々で必要な使い方を自然と理解させることができる機能を持つ。 デジモンの傷を癒したり超進化させることも可能だが、完璧にコピーされているわけではなく、それらの機能を使用するとデータに歪みが発生し、性格面などに不具合が出る可能性がある様だ。カラーリングは若竹色。 ─────────この辺まで序盤───────── 現実世界に戻る方法を探す司。ミネルヴァモンは他の人間ならば何か方法を知っているのではないかと考え、人間がいるらしいという噂のある街に向かうことにした。 クロスローダーの機能を確認するため、ミネルヴァモンは何度かクロスローダーを出入りする。オリンピアの切れ味が鋭くなっていたことから、デジモンやその武器などを癒す力があるのではないかと二人は考えた。 道中、川のそばを通りがかった際に二人は火傷を負ったシードラモンを発見する。司はクロスローダーにシードラモンを収納し、傷を癒す。 話を聞くと、急にデスメラモンが暴れ出したのだという。 二人は放って置けず、デスメラモンと戦うことにする。 デスメラモンと対峙する二人。明らかに相手は暴走していた。 よく見ると、ドクグモンが首筋に噛みついていた。 デスメラモンは容赦なく二人に火炎を浴びせかけ、ミネルヴァモンはそれに応戦する。 戦いはミネルヴァモン優勢に進むが、戦いの余波で司が火傷を負ってしまう。それを見たミネルヴァモンは激昂する。 力を求める彼女に応え、司はシードラモンとミネルヴァモンをデジクロスさせる。クロスアップミネルヴァモンはシードラモンの力でオリンピアに水流を纏わせ、デスメラモンに一閃。ドクグモンを消滅させ、戦いに勝利する。 ミネルヴァモン 現実世界に帰るための方法をユピテルモンならば知っているのはと司に提案した。戦いの余波で彼が怪我をした際には冷静さを失い、力を求めた。 司を傷つけられそこまで怒ったことに、自分でも驚いていた。 「よくもアタシの弟分を!もっと!もっと私に力があれば…怪我なんて…!させないで!!」 「ツカサ!怪我は大丈夫!?」 「アタシ…なんであんなに…?」 吉村 司 ミネルヴァモンに返り討ちにされたので流石にデジモンに殴りかかる様なことはやめた。 ミネルヴァモンの求めに応じ、デジクロスの力を初めて使った。 「力…こうすればいいのか…デジクロス!」 デスメラモン ドクグモンの毒により暴走していた。 ─────────こんな感じの話が数話続く───────── 行く先々でドクグモンの毒により暴走したデジモンの妨害を喰らう二人。 何者かが意思を持って襲わせているであることは明らかだった。 目的地の街で人間の女性を見つけ、司は何か知っているのではないかと話を聞こうとする。 彼女は司がミネルヴァモンと遠ざかる様に誘い込み、真の姿を表す。 女は人間ではなく、アルケニモンだったのだ。司は糸で拘束され、身動きが取れなくなり、口も塞がれてしまう。 動けない彼をよそに、ドクグモンたちを操り、二人の邪魔をしていたのも自分であると語るアルケニモン。 司の危機を感じ取り、駆けつけるミネルヴァモン。彼女はアルケニモンを見ると酷く動揺し、司が拘束されているのを見てさらに冷静さをなくす。 しかし、感情に駆られた太刀筋はアルケニモンに有効打を与えられない。 一方その頃司はなんとか片腕だけ拘束を解くことに成功し、口の拘束も剥がすとミネルヴァモンに呼びかける。 少し冷静に戻ったミネルヴァモンは司を助けると、自分とアルケニモンの因縁を少しだけ話し、デジクロス以上の強い力を求める。 司はそれを承諾し、今まで以上に強いものとなった二人の力への渇望は超進化の糧となり、ミネルヴァモンをメルヴァモンアーリーモードへと進化させる。 メルヴァモンアーリーモードは、なぜかすでに死んだはずのイグニートモンが応援してくれていることを感じていた。 進化したその力をふるいアルケニモンと戦うメルヴァモンアーリーモード。アルケニモンはドクグモンを囮とし逃げようとするも、オリンピア改の一撃はドクグモン諸共アルケニモンを切り裂いた。 戦いが終わり、彼女は自分を呼ぶ者がいることに気がついた。 彼女は自らの耳と目を疑った。そこにいるのは確かにイグニートモンだった。いても立ってもいられなくなり、彼女は思わず彼に抱きついた。 幾年かぶりの姉弟の再会。張り詰めていた緊張の糸が一気に解れ出した。 気が緩むのと同時に超進化が解け、元に戻ったミネルヴァモン。彼女は自分が抱きついていたのがイグニートモンでなく司だったことに気づき、落胆や恥じらいの入り混じった感情を覚えた。 アルケニモン ミネルヴァモンとは過去に戦ったことがあり、イグニートモンを殺した張本人でもある。 ミネルヴァモンは完全にアルケニモンを消滅させたと思い込んでいたが、しぶとく生き残り、力を蓄えていた。 ドクグモンを使役し、ミネルヴァモンを襲わせていた。 普段は人間態でいたことから、人間のいる街という噂が立った様だ。 現在の様な蜘蛛の姿になってしまったのにはミネルヴァモンが関係しているらしく、彼女に執着していたのもそれが原因の様だ。 「おいで…帰る方法を教えてあげる…」 「ミネルヴァモンには必ず報いを受けさせる…キミはそのためのエサ。」 吉村 司 ミネルヴァモンを苦しめるため、アルケニモンに殺されそうになった。 アルケニモンとミネルヴァモンの因縁をなんとなく察したものの、ミネルヴァモンが全てを語ろうしなかったため、完全には理解することはなかった。 「ミネルヴァモン!このままじゃ勝てない!落ち着け!」 「そうだ…!もっと強い力…超進化!!」 ミネルヴァモン 因縁の相手と再会し、しかも自らのパートナーを殺されそうになったことで激昂した。 「アルケニモン!!!よくも弟を!!」 「ツカサ…アイツはアタシにとって因縁の相手なんだ…アタシにはアイツをちゃんと葬る責任があるんだ…!だから…もっと強い力を!アイツを倒せる力!!」 「なんだ…この光…これが…力?」 メルヴァモンアーリーモード さらに強い力を求めるミネルヴァモンと司が共鳴し、レプリクロスローダーによって超進化した姿。 未来の姿に当たるメルヴァモンへと近づいているものの、不完全なために体型や性格は子供じみたままである。左腕のメデュリアもまだ小さく、腕と一体化していない。 完全にメルヴァモンに進化できなかったのは、レプリクロスローダーのセーフティ機能によるものである。完全に超進化してしまった場合、全身のデータを書き換えることとなり、データの歪みの悪影響が大きなものとなる。 そのため、部分的に超進化させる事で致命的なエラーを防ぎ、仮に悪影響が出たとしても、超進化を解除すればある程度リカバーできる様になっている。 メルヴァモンアーリーモードには、この歪みが司のことがイグニートモンに見え、イグニートモンとして振る舞っている様に感じるという形で表出した様だ。 「これが…アタシの進化した姿…イグニートモンの声が聞こえる…!」 「これで終わりだ!!!アルケニモン!!!」 「イグニートモン!また会えるなんて…!」 「あれ…ツカサ…?ごっ…ごめん!抱きついたりして!」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アルケニモンとの戦いから数日。何度か試した結果、超進化の扱いにもある程度慣れてきた。 しかし、俺は悩んでいた。 まず一つ、いまだに現実世界への帰り方がわからないこと。 手がかりであった人間のいる村というのも罠だったし、ミネルヴァモンも、他の手がかりは持っていないらしい。 二つ、ミネルヴァモンが超進化している時、つまりメルヴァモンの距離がやたらと近くスキンシップをとりたがる上に、自分のことをイグニートモンと呼んでくることだ。 俺も男である以上、メルヴァモンの様なデジモンに抱きつかれたりなどすれば興奮する。しかし、自分のことを見知らぬ名で呼ぶ女に、いくばくかの恐怖を感じているのも、また事実だった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アレから数日。アタシは毎日の様に超進化の訓練と言ってメルヴァモンになり、イグニートモンと会っている。最初に気づいたときは混乱した。 超進化している時だけは、ツカサがイグニートモンに見える。その事実を受け入れるのにはだいぶ抵抗があった。 見た目も、立ち振る舞いも、声も、全てが弟と完全に一緒。なのに、元に戻るとそこにいるのはツカサなんだ。ツカサにイグニートモンを重ねていなかったといえばそれは嘘になる。喧嘩っ早いところも、危なっかしいところもよく似ていた。でも、ツカサは人間で、アタシはデジモン。そこには絶対的な違いがあったし、ツカサは元の世界に帰りたがってもいた。アタシが勝手に弟分にしてしまったけれど、それには終わりが、そう遠くないうちに来るのがわかっていた。 だけど、超進化するたび、イグニートモンへの思いと、ツカサへの想いが混ざり合って、どんどんと大きくなる。 アタシの中では、もう二人のことをはっきりと区別できない。 そこにあるのは、ただひとかたまりの、大きな"好き"という感情だけ。 その"好き"は、彼が元の世界に戻る方法は今のところないことを、確実に喜んでいる。 私の中の何かが歪みきってしまったのを感じる。私はもう、止まれない。