近くの森から爆音がした。 「…近くでデジモンが暴れてるみたいだ。しかも多分完全体。どうする?」 「行く…」 デジモンと少年は爆音の方向へ向かった。 「あああああああああああああああ!!!!!!!!!勇太!!!!!こいつどうにかしなさいよ!!!」 「むむむむ無茶言わないでよ!!!!!!!!!レディデビモンが勝てなかった相手に俺達がどうにかできるわけないだろ!!!今はとにかく逃げるんだよ!!!!!」 「なんでこんなとこに、こんなデジモンがいるんだよ!!!!」 勇太達は危険な完全体デジモンに追われていた。デジモンは黒い恐竜の巨体をサイボーグ化したメタルティラノモンだった。 普段こんな危険なデジモンはいないはずだった。 進化したレディデビルモンが挑んだが返り討ちにあい、今はヴォ―ボモンの背中でのびていた。 「私もう走れないんだけど!!!!!」 「えっ!!!?」 「なんでええええええええええ!!!!!!」 走れない光をおんぶし、全力疾走した。 「勇太って割とフィジカルおばけだよね!!!!」 「普通に重いよ!!!!!ヴォ―ボモンが持ってよ!!!」 「僕だって重いよ!!!!勇太が持ってよ!!!」 「誰が重いですって!!!あんたそんな事今までそんな事思ってたの!!!???デビドラモン!!!」 「「いててててて!!!!!!!!!!!ほっぺたつねんないでよ!!!!!」」 「があああ!!!!」 「「「「あっ」」」」 メタルティラノモンが口に炎を溜めている。 「「「「ヤバい」」」」 「トライホーンアタック!!!」 間一髪のところでメタルティラノモンの体勢が崩れの炎は上空に飛んでいった。 もう一体恐竜型のデジモンがメタルティラノモンに攻撃していた。 「トリケラモン!!!」 「「強い…」」 圧倒的だった。パワーも技術もメタルティラノモンを上回っていた。 両腕を外に払いのけ、メタルティラノモンが胸からミサイルを出そうとしたのを予見してか頭のドリルで貫き、メタルティラノモンの胸部で爆発させた。 胸部での爆発が致命傷になったのかそのままメタルティラノモンが倒れた。 「…大丈夫?」 「「人間…?人間…!?」」 そこには、勇太達より年上の少年がいた。どこか表情が読み取れない顔をしている。 「大丈夫なら、俺…行くから…。」 「「ちょ…ちょちょちょちょちょっと待ってください!!!!行かないでください!!!!!」」 「竜馬、オイラもそれはどうかと思うよ…」 「・・・」 竜馬という少年は面倒臭そうな顔でトリケラモンを見た。 夜が更け焚火を囲みながら勇太達は竜馬とトリケラモンと話しをしていた。 光は疲れのか勇太の肩にもたれかかって寝ている。 「えっと三上さん…?」 「ん…」 どうにも三上 竜馬という少年は無口なようで今の状況になって聞けたのは竜馬も選ばれし子供でパートナーデジモンであるトリケラモンとデジモンイレイザーを追っているということだけだった。 「やっぱり同じ選ばれし子供って事は俺達もそのデジモンイレイザーを倒さないと現実世界に帰れないんでしょうか?」 「知らない…」 勇太は完全に委縮してしまった。悪気がないのは分かるが相手は16歳で高校生だ小学生の勇太には大人も大人であり、無口な竜馬の言葉を越えてぐいぐい話すことはできなかった。 「竜馬」 「分かってる。俺も誰がどうやってこのデジタルワールドに選ばれし子供を送り込んでるのか知らないんだ。目的だって人それぞれだ。 日野君が思ってるように世界の異変に奔走してる子もいるし、目的なくブラついてるのも…麻薬生産している輩もいるらしいからそれは気をつけたほうがいい。簡単に現実世界に帰れる奴もいれば、全く帰れない奴もいる。なんなら現実世界にデジモンが来ているし…」 「そ…そうなんですか。そうなのヴォ―ボモン?」 「勇太達の世界に行けるなんて僕も知らないよ…でもデジモンを操ってる奴を倒してもらいって事で勇太達を僕達待ってたはずだよ…?」 デビドラモンもうんうんと頷く。 「うん。オイラ達もなんとなくだけど、竜馬達と冒険しなきゃいけない理由は分かるんだ。そしてその理由もバラバラなんだよ。」 「だから、君達が帰るには君達の目的を…」 「三上さん?」 「…君はなんでここにいるんだ?」 「竜馬?」 「えっと…?」 「…ごめん。そうか。君は…」 竜馬は光を一瞥し、ひとり何かを納得したようであった。 「日野君。俺は自分の目的があるから一緒には行けない。」 「そうですか…」 「だから伝えておく、これから君には色々な大変な…いや、辛い事があるだろ。でもこれだけは言える。君がここに来たのはきっと偶然じゃない。諦めなければきっと道は開けるはずだよ。」 「…えっと。」 「寝る。」 「へ?」 竜馬はそのまま寝てしまった。 「ごめんね。悪い奴じゃないんだけど言葉足らずなんだ。 ただ、不安にさせたいはずじゃないんだ。君にできると思ってるから言ってるんだと思うんだ。まあ何の事かは分からないんだけどね!」 「えぇ…」 「勇太には僕がいるしなんとかなるよ!」 「デビドラモンとひかりもいる!」 「そうだな…そうだよな。ありがとう。」 夜が更け、竜馬達とはすぐに別れる事となった。急ぎの旅路らしい。 トリケラモンは遠くなるまで手を振ってくれたが、竜馬はすたすたと先に行ってしまった。 「なんか変なひとだったわね。あんま喋んなかったし。」 「でも、色々…色々教えてくれたし、それに色んなひとがいる事も分かったしね。」 「おかげで、街についても帰れなそうってのも分かったけど。」 光はやれやれ。と続けた。 「早く行こう勇太!光!」 「待ってよヴォ―ボモン。」 短く長い旅路であったが勇太達はついにストレジシティに辿り着くのであった。 そしてふたりは、ここでこれから先の旅がより過酷である事とそれぞれの別の運命を知る事になるのであった。