あくる日のデジテルワールド、ファイル島の片隅のある昼下がり… 高原にダッダッダとキャベツを千切りにする音が響く その横には高温の油鍋に衣をつけた肉が投入される トンカツだ、トンカツを作っている。 トンカツを作る二組の影、それを見守る行商人。 そして偉そうに踏ん反りかえる少年が一人……。 「ハーハッハッハ!!さっさとトンカツを作れ!!持ってこい!!」 どうしてこんなことになったかというと……(イヨォー) (キュルーンとした効果音と共にタイトルが出てくる) ♪(オープニング) (提供 バンダイ img 別格) ンガッンガッとジャガモンが大きな屋台を引いていく。 その上には一人の少女、パートナーである馬鈴めざめ乗せて屋台は揺れる。 「今日もいい天気だねぇ~」 のほほんとしたつぶやきをしているとやや離れた所に人影を見つける。 ややと大仰にリアクションを取ると 「ジャガモーン!進路変更!あっちに行って―!」 ンガ~!とジャガモンは確認もせずにアバウトな指示を遂行する。 屋台は違わず人影へと走り出した…… 「ツジハさーんごはんどうします?」 短髪ではつらつそうな女性…年頃は大学生だろうか 声をかけられた陰気で長髪、同じような年ごろの女性、ジン ツジハは生返事で遠くを見つめている 「ツジハさん?おーいどうしまし…あっ!」 視線の先を追うとコチラに向かってくる小さい山? リアルワールドなら過積載の軽トラックほどであろうか?しかしここはデジタルワールド。 此方へとやってくるそこそこの大きい物体、端的にいって危険である。 「ん…ああ、すまない。蘭くんも気が付いたか。」 ツジハはようやく声をかけた女性、八王子 蘭に気づき返事を返す。 2人は警戒を緩めずパートナーたるデジタマモンたちへそれぞれ目くばせをし二組のテイマーたちは何時でも戦えるように闘志をもやし… 「こんにちは、なにか怖い雰囲気だねぇ?」 馬鈴めざめの屋台と邂逅した 「屋台…?」 蘭の当然の疑問にツジハも頷く。デジタルワールドの草原を雑貨や食料を満載した屋台が現れるなどありえ……なくはないのだがどうしても気になる。気になってしまう。 「そ、屋台。どう、お安くしておくよ~?」 屋台をなぜ引いているのかそもそも選ばれし子供の使命は…と一層謎は深まるが、そこはソレ。蘭とツジハも選ばれし子供の使命と言われたら頭を抱える方なのでそれ以上の追求はしないこととした。 そうなると自然と興味は何を売っているか、そこに向かってゆく。 「ええっと、めざめくんと言ったかな?何を売っているんだ?」 「ん~そうだね。お肉とお肉と畑からとれたお肉」 「肉ばかりだ…」 「それだけじゃないよ~ジャガイモでしょ?あとはパンとパン粉と油にキャベツと卵に…少々の缶詰とかフロッピーに…着替えと~…」 つらつらと今の積み荷を諳んじてゆく、その記憶力に驚嘆するツジハと品ぞろえに目を輝かせる蘭、遠くを見る3匹のデジモン。 「…トンカツ。」 蘭がポツリとつぶやく。 「トンカツ食べたい!!」 こうしてトンカツ作りの幕が上がった。 「それとアレと…あとアレも。ところで畑の肉は何肉だ…?」 「畑の肉は畑の肉じゃないですかね?じゃあとんかつの材料合わせて600bitですねぇ~」 鍋は貸し出してくれるということだったので薪を集め、火を起こし着々と準備を進め…気が付くと少年が一人すぐそこまで来ていた。 「あんたに届け物だ、前の街で落としていたらしい。」 パートナーを連れていない謎の少年にさすがのめざめも少し怪しんでいるとさらに少年が… 「俺か?俺は桃井…(自主規制)だ。ところであんたらはトンカツを作っているのか?」 さらりと有無を言わさぬ力強さで話の主導権を持っていく桃井。 「ああ、今からとんかつを作るところだが君は?」 ツジハがめげずに桃井の素性を聴こうとするが… 「ならちょうどいい、俺が味を見てやる。」 「「「はい?」」」 桃井の意味不明な発言に三人がシンクロする。 まてまてまてとさすがに詰め寄ると桃井は変身…なんと人がデジモン?とにかくデジモンになったのだ! 「ハーッハッハッハ!!いいから作れ!お供ども!!」 赤い姿の桃井は三人が気が付いていなかった背後から忍び寄るメタルシードラモンを一刀に叩き伏せるとそのままどこからか用意した椅子にふんぞり返って指示を飛ばす。 「‥……‥・・。」 茫然とする三人だが一応助けてもらったこともあるのでしぶしぶ桃井…の分もとんかつを用意することになったのであった… 「私の分までありがとうございます~」 「気にしないでください!乗りかかった船ですし…」 「まあ、桃井‥くんに作ってめざめくんの分が無いのもなぁ?」 「ハーッハッハッハ!!!手が止まっているぞ!!!!」 いつの間にか変身を解いた桃井…がいつの間にか米を炊き上げ、味噌汁を作りテーブルを用意していた。 そうしてトンカツも無事仕上がり草原の昼食が始まり… 「25点だ!!!!」 「「「うまっ」」」 トンカツを齧った桃井…と味噌汁を飲んだ3人の叫びが草原にこだましたとさ おわり