ワシはナニモン。 ひょんなきっかけから出会ったまめっちという子供を故郷のたまごっち星に帰すために旅をしている。 その手掛かりを求めて宇宙や超常現象について詳しいと噂の銀タイツの男に話を聞きに行ったのだ。 しかしそいつはエリア51だのレプティリアンだのディープステートだの訳の分からない言葉をまくしたてるばかりでワシに理解できたのはあてが外れたらしいということだけだった。 がっかりした拍子に盛大に鳴った腹の虫を聞いた銀タイツの男は一旦食事にしようと肉を振舞ってくれた。 食後やることのなくなったワシ達はせっかくだからと男の営む肉畑の作業を手伝うアルバイトをすることになったのである。 まめっちは故障したという農業機器の修理を行い、ワシは収穫した肉を倉庫に運ぶ仕事を担当することになった。 何も考えず単純作業を繰り返しているとこれまでのことが脳裏をよぎる。 酒に酔って家に帰る途中に謎の光に包まれたワシはいきなり見知らぬ土地に放り出された。 そこに住む凶暴な生物から逃げ惑ううちにそこがデジタルワールドと呼ばれる場所でそこにはデジモンと呼ばれる生き物が住んでいることを知った。 生き残るためにワシは必死に無い知恵を絞り、体を鍛えた。 それでも弱かったワシは最近勢力を伸ばしているデジモンイレイザーに取り入ることにしたのだ。 イレイザー軍の下積みは辛かったがその甲斐もあってワシは戦力として与えられたアンドロモンを使いレジストリシティの市長を追い落として街を乗っ取るという任務を与えられた。 だが最初こそうまくいったもののワシは選ばれし子供たちにあっさり敗れ、イレイザーの精神制御が解けたアンドロモンにワシは街の外までぶっ飛ばされた。 以前聞いた任務に失敗したデジモンはイレイザーに消されるという噂にビビッたワシはそのままイレイザー軍を脱走して逃げた。 その後各地をあてもなくさまよい、現実を忘れるために飲んだくれていたところに出会ったのがまめっちだった。 はじめは何だごのガキと思って無視しようとしたがそいつが口にした『たまごっち星』という言葉に食いつき話を聞くことにした。 まめっちが話してくれた内容はまさにワシが経験したことそのものだった。 自分と同じ境遇の者に出会えたことに喜んだ反面、コイツをワシと同じ目に合わせることは出来んとたまごっち星へ行く方法を探す旅に出たのである。 思い出に浸りながら作業を続けるうちに日が暮れ、作業は終わった。 銀タイツの男が用意してくれた布団の上でまめっちと次はどこに行こうかと話をした。 ワシの過去についてはまめっちに話していない、自分が懐いている相手が悪人だと知ればアイツはきっとがっかりする。 だがイレイザー軍の追手がいつ来るかもわからないし、風の噂でレジストリシティの奴らがワシに懸賞金をかけたと耳にした。 隠し続けるのも限界がきている、近いうちに話さなければならない。 イレイザー軍の健康診断を受けた際にワシの体は完全にデジモンと同じになっていると知った、おそらくワシはもうたまごっち星に帰ることは出来んだろう。 このままではまめっちもそうなってしまうことは予想できた、時間はかけられん。 いっそのこと選ばれし子供たちにまめっちの保護を求めてみるのも一つの手だ、ワシはボコボコにされるだろうが命までは取られないだろうしこれ以上ワシと一緒にいてもいいことはあるまい。 しばらく寝付けなかったがいつしか悩み疲れて意識は眠りに沈んだ。 翌日、旅立つ前に銀タイツの男が給料代わりの肉と一緒にメモをくれた。 どうも昨夜の内にワシ達の求める情報を知ってそうな奴をピックアップしてくれたらしい。 この男には何から何まで世話になった、礼を言ってワシ達は旅立った。 ここから一番近いのは西の塔に住むワイズモンか、新たに出来た目標に向かってワシとまめっちは歩き出した。