これはウマ娘がいるC.E.の世界、ナチュラルだとかコーディネーターだとかは気にせず今と変わらず走っている。 世界は混迷を迎えていたが、それでもウマ娘は走るのをあきらめていなかったが、それを貫くのは難しかった。 レース場のあるコロニーに、海賊が迫っていた。 「各種システムよし」 『ソンオウへ 現時点で敵はストライクダガー18機 ローラシア級3隻補足してます』 「了解、ハイペリオンの初陣ね」 ウマ娘のソンオウは、コロニー守備隊に所属していた。 周りには民間機を改造したフレームアストレイやM1アストレイもいたが、彼女だけ機体が違った。 ハイペリオン、かつてアクタイオン社とユーラシア連邦が共同開発したMSである。 3機が試作されたが大西洋連邦一強となるとダガー系が採用され量産化は一度見送られたが、陸戦仕様が少数生産されるなど復活の動きもある。 彼女が持ってるのはガンダム顔、それもわずか3機しか作られなかった初期生産品であった。 「傭兵部隊に大金払っただけの性能見せてよね」 この機体、元はとある傭兵部隊が部品取りのために保有していたが、移植相手がいなくなって放置されていたのを買い取り修復したのである。 アクタイオン社に持ち込み部品製造の依頼もしたので、それなりの費用が掛かったが、それに見合う性能はあった。 「ソンオウ、ハイペリオン出ます!」 ハイペリオンのスラスターを吹かして宇宙へと飛び立つ、戦場となっている宙域では友軍と海賊がぶつかっていた。 「やってるやってる、戦場はこっちが優位かな?」 戦場ではアストレイがMSサイズの日本刀でストライクダガーを切り裂くも別のストライクダガーに撃墜される。 それでも戦場はコロニー側優位に展開していたが、いつひっくり返されてもおかしくなかった。 「さーて、噛みつきがいのある相手はいますかねぇ」 ソンオウの操るハイペリオンは手に持ったビームサブマシンガンで無防備で飛んでいたストライクダガーを撃墜する。 これに気が付いた他のストライクダガーが攻撃してくるが、左腕の光波シールドですべて防がれる。 「いまいち噛みつきがいがありませんね、これなら母艦を叩いた方が」 ソンオウはレーダー画面を見て母艦の位置を確認すると、そちらへ向かう。 道中は妨害もなく、あっけなく近づけた。 「フォルファントリーなら、一撃で」 ハイペリオンの最大火力であるフォルファントリーの一撃は、ローラシア級を撃沈するのに十分であった。 瞬く間に3隻のローラシア級も仕留めるも、ソンオウは不満であった。 「もー、もっと噛みつきがいのある敵は」 『増援接近!注意してください!』 「ボスの登場ってことね」 戦場に接近してくるのは、追加のローラシア級とストライクダガーに改良を加えストライカーパックシステムに対応させたダガーLであった。 「ストライカーパックは…IWSP!噛みつきがいがある機体ですね!」 IWSP、エール、ランチャー、ソードの三つのストライカーの統合をしたストライカーとして開発されたストライカー。 相手のダガーLはビームブーメランとガトリング付きのコンバインドシールドを装備していなかったが、その代わり9.1m対艦刀を装備していた。 ダガーLはIWSPの115㎜レールガンを撃ちながら迫る、ソンオウもすぐに対応する。 「それ位なら、アルミューレ・リュミエールで」 ハイペリオンに装備された光波シールドで機体全体を包むことで、機体にダメージを与えることはできなかった。 だがダガーLの引き抜いた実体剣式の対艦刀はその防御を切り裂く、ソンオウが素早く反応してビームサブマシンガンが破壊されるだけで済んだ。 「対ビームコーティング済みですか、これは思いっきり噛みつけますね!」 アルミューレ・リュミエールは同じアルミューレ・リュミエールか対ビームコーティングが施された武器で打ち破れる。 ソンオウはビームナイフを引き抜き、背部のアルミューレ・リュミエールをランスにして突撃する。 「さぁ、噛み潰させてもらいますよ!」 ダガーLもこちらの動きに気が付き対艦刀でランスのビームを散らしながら突き刺してくる、だがひところに飛び込めたソンオウには関係なかった。 引き抜かれたビームナイフを逆手持ちし、ダガーLの胴体へと突き立てた。 「もう少し、強いと思ったんですがね」 ダガーLが爆散すると、ソンオウの視界は黒く染まる。 「ふぅ、ストライクくらい用意してほしいですね」 いつものトレセン学園、専用の座席に座り、VRヘッドセットを外すソンオウ、彼女の脇には先ほどまで乗っていたハイペリオンのプラモデルが置かれていた。 先ほどまでの戦闘はVRでのもので、本物の戦場ではなかった、しかし環境をそろえれば臨場感は満点であった。 「もっとAIは強い方が…いやでもそれだとやっぱり、出てくるボスを登録データと時期設定である程度固定できるけど…」 彼女はウマホから敵の設定をいじる、あーでもないこーでもないといじるうちに夜は更けていき、無事彼女は夜更かし気味となったのだった。