二次元裏@ふたば

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691141 B24/04/14(日)20:23:25No.1178358217そうだねx2 21:23頃消えます
 斜陽に染まる白い校舎を見上げながら、詩虎ヨリオはとある小学校の敷地に足を踏み入れた。
 子供達の姿は殆ど見えない。完全下校時刻を過ぎているならだろう。
 昼間の喧騒を忘れたように、学び舎はひっそりと佇んでいた。

「いやー、なっつかしいなぁ。何年ぶりだろ? 俺が通ってた頃とあんまり変わってないなぁ。ちょっと時間あるし、こそっとブランコでも乗ってくか?」

『…………』

「……ベルゼブモン?」

『お、おお。うおおおおおおっ!!』
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/04/14(日)20:23:57No.1178358505+
 ヨリオの隣を歩いていた魔王型デジモン、ベルゼブモンが地面に膝をついて咆哮した。
 背の高い男のヨリオよりも一回り大きな体躯と、黒いレザージャケットに包まれた長い腕。
 それを縮めて低い声で唸る姿は、中々迫力がある。もちろん悪い意味で。

「おいやめろ。どうしたんだよ急に!? 送迎に来てる親御さんと子供達に見られるだろ!!」

 半狂乱のベルゼブモンの肩をヨリオが掴んで揺さぶる。

『わ、わりぃ。ちょっと、感動しちまって……』

「なんで?」

『いや、……ま、漫画とかアニメで。凄い見覚えがある場所だったから……つい』

 ヨリオの問いにベルゼブモンは視線を泳がせながら答えた。
224/04/14(日)20:24:14No.1178358663+
「あーはいはい。要するにいつものアレか。……てかさ一応、念の為に聞いとくけどさ。お前、三次の女の子には」

『興味は無い。オレ様が好きなのは二次元のロリだけだ』

 立ち上がったベルゼブモンが親指を立てる。少々食い気味だったのが気がかりだが、まあ大丈夫だろう。
 出会って2年。沢山の戦いや事件を共に経験した仲を今更疑う気は無はヨリオにはなかった。性癖は疑わしいが、ベルゼブモンは頼りになる相棒だ。

『時にヨリオ。お前は今回の案件の、『学校の怪談』とやらには詳しいのか?』

 立ち上がり歩み出したベルゼブモンがヨリオに尋ねる。
324/04/14(日)20:24:33No.1178358850+
「んー。正直詳しいとは言えないな。一応来る前にざっと調べて来たし、噂程度の話なら昔から聞いたことはあったけど」

 学校の怪談。その単語を頭の中で反芻しながらヨリオは考える。
 それは良くある噂話だ。名前の通り学校にまつわる曰く付きの怪談話。
 皆が寝静まった夜。学校に残っていると奇妙な恐怖体験をするという。
 動く二宮金次郎像。見つめてくる音楽室の肖像画。呪いの大鏡。赤マント青マント。トイレの花子さん。などなど。
 子細は異なるが全国どこの小学校でも一つはありそうな、ありふれた怪奇譚。

「実際に見たことも体験したことも俺は無いかな。だからあくまで噂話。小学生がひそひそ語りながら楽しむ怪談。って認識だったんだけど……」
424/04/14(日)20:24:58No.1178359096+
ヨリオの視線の先に少しやつれた様子の壮年の男性が見えた。
 白髪交じりの頭を軽く下げ、ヨリオの隣のベルゼブモンに驚いた様子だったが、歩みを進めて近づいてくる。

「あの……お二人が、デジタル庁の……」

「はい。デジモン対応特務室、所属の詩虎ヨリオとベルゼブモンです。よろしくお願いします」

「ああ、これはこれは、ご丁寧にどうも。この度はご足労いただきありがとうございます」

 ヨリオは男性と腰を折り挨拶を交わす。
 交換した名刺には彼の名前と、この学校の学校長であることが記されていた。

「こちらこそ。わざわざお出迎え頂きありがとうございます、校長先生。早速で申し訳無いのですが。少々お話を聞かせて頂きたく。依頼書の内容によると……。この学校で心霊現象が度々目撃されていて。その調査を我々にお願いしたい。とのことでしたが」

「ええ、はい。もう何十件も目撃情報がありまして。子供達も怖がって、勉強に集中出来ない環境になりつつあるんです」
524/04/14(日)20:25:20No.1178359286+
 校長はため息交じりに答えた。
 怪談は噂を越え、実害すら生み出し始めているようだ。

『なるほどね。けどよ校長センセイ。オカルトなら霊媒師にでも頼った方がよかったんじゃねぇか? 確かにオレ達は何でも屋みてぇなもんだが、あくまで専門はデジモンだ。依頼出す相手を間違えてると思うんだが』

 ベルゼブモンが低い声で言う。
 その高圧的とも取れる言葉使いと声色にヨリオは肘を入れて抗議する。が、ベルゼブモンはどこ吹く風で顎を撫でながら、校長を見下ろしていた。

「す、すいません、校長先生。コイ……彼はデジタルワールドからこっちに来て日が浅いものでして……」

「あ、ああ。お構いなく。……それに疑問に思われるのも仕方のないことだと思います。我々も最初はそういった方向の解決策を模索していましたから」
624/04/14(日)20:25:34No.1178359410+
『というと。方向転換する理由が出来たってことか?』

「はい。色々調べているうちに、もしかしたらこの学校の怪談は、その正体は。
──もしかしたらデジモンなのでは? 
そう思うようになったんです」

 壮年の学校長は語りだす。
 ポルターガイストや幽霊の姿を見た、という目撃者の証言の数々と。
 学校の三階。女子トイレの3番目の個室でだけで繋がる『hanako3』という、謎のWi-Fiとそれにまつわる怪談を。
724/04/14(日)20:25:49No.1178359562+
 ぺたぺたぺたと、スリッパに履き替えたヨリオの足音が校舎の中に響く。
 リノリウムの床を歩き、階段を登る。夜が更け明かりの灯されていない小学校は不気味な静寂が支配していた。

「……これで二階までは見て回ったな」

『残るは本丸。三階のトイレか』

 ベルゼブモンとヨリオは、上階へ続く階段に足をかけた。
 生徒と職員が完全に帰宅したのを確認した一人と一体の調査班は、懐中電灯を片手に、校長から貸与された学校の見取り図を参考にしながら、校舎を調べて回っていた。
 
824/04/14(日)20:26:07No.1178359692+
「ここまでは以上ナシ。肝試しとしては中々雰囲気あったけど。校長先生が教えてくれた怪現象はなかったな」

『オレは色々見て回れて面白かったけど。保健室とか理科室とか……保健室とか』

「きも」

『おい、言葉を慎めよ。それにお前だってデジモンいたらだいぶキモいからな? 今回はオレのターンなだけでお前も大概だからな?』

 ヨリオとベルゼブモンはあーだこーだ言いながら階段を登り切る。
 ここが学校の最上階。一応まだ屋上へ伸びる階段があるものの、その扉は硬く施錠されており先に進む事はできないようだ。
924/04/14(日)20:26:29No.1178359890+
「さてさて。ここで何もなければイタズラで処理することになりそうだけども」

『話逸らすなよクソ。……ま、オレ様はこの件、デジモンが糸引いてる気しかしてねぇけどな』

「ほう。その心は?」

『人間のクラッカーにゃ不可能な事が多すぎる。例の無線だけならさらっと流せるかも知れないが、物を動かすだの幽霊見せるだの、電子制御システムの少ないこの校舎でやるには大仕事だ。金も無さそうな施設に仕業にやるにしちゃあ、手が込み過ぎてる。手品を仕込むだけでご破産だ。利益を求める奴らの手口じゃない』
 
「金銭的な目的じゃなく愉快犯の可能性は?」

『そっちのがありそうな話だわな。だが校長の目撃情報の数のイタズラしといて、未だに捕まってないのは不可解だ。古いが監視カメラもあって、最近は守衛も入れてるんだろ? そいつらにすら目撃されてて、尚も尻尾を掴ませないとか凄腕の変態過ぎるだろ。そんな奴は存在しない。
──デジモンか。それを使ってるテイマー以外は、な』
1024/04/14(日)20:26:44No.1178360019+
 ベルゼブモンの声が長い廊下に反響する。
 ふ、と。ヨリオは背筋に寒さを感じた。
 歩き続け火照った身体を冷たい指先で撫でるような感覚だ。  
 ヨリオは思わず身震いした。ぶれたその目が、走り去る少女の背中を見た。気がした。

「……ベルゼブモン」

『ああ、どうやら。──当たりを引いたらしい』

 隣りにいた相棒も同じものを見たらしい。
 ライトの光が照らし出した廊下の突き当りの曲がり角。見取り図によるとその先には女子トイレがある。
1124/04/14(日)20:26:57No.1178360134+
「いくぞ」

『おうよ』

 ヨリオはスリッパを脱ぎ捨て駆け出した。
 ベルゼブモンはヨリオに並走する。
 あっという間に廊下を走り抜けた一人と一体は、女子トイレの扉を開ける。

 芳香剤の匂いが充満する室内に人影は無い。が、入って一番奥の個室トイレの扉だけが閉まっていた。

「……もしもーし。こんばんはー。誰かいますかー?」
1224/04/14(日)20:27:14No.1178360311+
 返事は無かった。
 しかし僅かにだが、荒い呼吸を繰返す音が聞こえる。個室の中に誰かいるのは間違い無いようだ。

「いきなり追いかけちゃってごめんなさい。俺達は校長先生に頼まれて見回りをしてた警備員なんだけど。一応完全下校時刻と施錠した後なんで、お話聞かせて貰えませんか。今、声を出せないならノックでいいから返事をください」

 ヨリオは明るく柔らかな声色になるよう努めながら扉の向こうの誰かに聞く。
 その甲斐もあってか、個室の中から小さな声が帰ってきた。

「……あ、あの」

「はい、どうしました? 大丈夫ですか?」

「……その、いきなり。変なこと、言うかもしれませんが……」
1324/04/14(日)20:27:51No.1178360686+
 その声は言い淀む。
 声の主は少女のようだった。何かに怯えている。蚊の鳴くような声であっても、恐怖が滲んでいることをヨリオは悟った。
 ベルゼブモンが静かに腰から提げたホルスターの銃を抜く。
 ヨリオは逸る気持ちを抑えながら、彼女に尋ねた。

「はい、なんでしょう? 落ち着いて。ゆっくりでいいからね」

「……は、はやく。はやく、──にげ」

『──逃げないでね、お兄さんたち?』

 背中から声が聞こえた。
 今まで話していた彼女とは別の、冷たい声だ。 
 ヨリオはゆっくり振り返る。
 手に待つ懐中電灯が照らしたそこには。
1424/04/14(日)20:28:18No.1178360956+
『さあ、私達と遊びましょう?』

 黒い髪を揺らして微笑む。病的なほど顔の白い少女の、赤い瞳が暗く光っていた。

『──どうやら当たりだな、ヨリオ』

「…………」

『……ヨリオ?』

「ヤバいわベルゼブモン。──おれこの娘めっちゃ好きかもしれん」

『きも』
1524/04/14(日)20:29:23No.1178361527そうだねx3
自キャラ使った怪文書です
キャラお借りしました
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すっごいホラーチックなコンビなのにホラーにしきれなくてごめんなさぁい!
1624/04/14(日)20:30:48No.1178362339そうだねx4
設定の間違いとか解釈違いとかあったらごめんね「」ミ〜!
一応自キャラも貼っとくね「」ミ〜!
キモくてごめんなさぁい!!
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1724/04/14(日)20:32:44No.1178363350+
昼頃出た子か
さっそくとは
1824/04/14(日)20:33:08No.1178363538+
イケメンとイケモンコンビだからどんなに変態でもいいのよ!
1924/04/14(日)20:34:31No.1178364342+
お仕事の風景いいねぇ
2024/04/14(日)20:38:00No.1178366337+
なんでデジ庁にロリコンがいるんだよ
倫理はどうなってんだ倫理は
おまえデジモナーかよ!?
くそったれ!
2124/04/14(日)20:38:37No.1178366635+
>昼頃出た子か
>さっそくとは
どっちも可愛くてすき!なんで登場させてみたんだけど全然上手く動かせなかった…描いた「」見てたらごめんね
2224/04/14(日)20:40:06No.1178367499そうだねx3
こういうのはたとえ名前で触れてくれるだけでも嬉しかったりするもんだ
2324/04/14(日)20:44:53No.1178370273+
異常性欲者コンビはさあ…
2424/04/14(日)20:49:04No.1178372425+
でもこいつら性癖に正直で好きだよ…
2524/04/14(日)20:50:26No.1178373204+
書き込みをした人によって削除されました
2624/04/14(日)20:51:05No.1178373532+
デジモンなら何でも良いのかこいつ
2724/04/14(日)20:52:45No.1178374339そうだねx1
イケメンが変なことしてるだけで面白いからな…
2824/04/14(日)21:00:52No.1178378205+
>すっごいホラーチックなコンビなのにホラーにしきれなくてごめんなさぁい!
いいのよ「」ルモン!
こっちも昨日の夜中に二次怪文書書いちゃってごめんなさぁい!
2924/04/14(日)21:07:35No.1178381806そうだねx1
最初はもっとホラーにするつもりだったんだけどこの二人じゃどうやってもホラーになんねぇ…って諦めました…
>いいのよ「」ルモン!
>こっちも昨日の夜中に二次怪文書書いちゃってごめんなさぁい!
いいのよ「」ルモン!
好きに使ってくれていいの!
細かいキャラとか自分でも掴めてないから解釈違いも気にしないでいいのよ!
コイツらなんなの…


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