「ただいま戻りました」
「だー疲れたぜー」

私とテリアモンはデジタル庁のきらびやかな新社屋──のそばに建てられた小さなオフィスの扉を開ける。
オフィスとは名ばかりで、実際は単なる小屋である。元は施工工事業者が使っていた仮事務所だったものをそのまま再利用していると聞く。
色々不便も多いが今の少人数なデジモン対応室には丁度いい、とも思っている。

「おかえりなさい室長。先日のリアライズ案件、報告書類まとめましたよ」

黒服の男性が出迎えてくれる。

「ありがとうございます芦原さん。すいません、わざわざ警視庁から出向してもらってるのにこんな雑用ばかり……」
「いやいいんですよ、自分こういうのは慣れてますんで。それに私の役目は室長補佐ですからお構いない」
「本当にいつもありがとうございます」

芦原さんはデジ対と警察との橋渡し役として来てくれたのだが、こんな年下の自分が室長にも関わらず、いつも文句一つ言わずに協力してくれて本当にありがたい。

「そうだ室長気にするな。二人でちゃんと仕事をこなしたからな。そう、芦原と私、二人だけのオフィス、何も起きないはずがなく」
「何もおきてない」
「芦原と私の愛のくんずほぐれつも報告書にまとめておいたぞ室長」
「まとめてない。セクハラだぞ」
「芦原からなら私はいつでもセクハラウェルカムだが」
「少し黙ってくれドウモン」

芦原さんはドウモンが捲し立てるのを呆れた顔で止めていた。仲の良い二人だ。

「いや、そんな感想言えるオメーもどうかしてるわ」

テリアモンが呆れた顔で言ってきた。

「……まぁ、あと二人きりじゃないですからねここ」
「デジモンと人間では繁殖が出来ない為性交渉を行う必要は無い。不要な行動だ」

そう言いながら書庫室(という名の単なる物置なんだが)から風吹冬矢君とハグルモンが出てきた。
淡々とした物言いのハグルモンをドウモンがぎろりと睨んでいた

「あ、冬矢君とハグルモン。いたんですねすいません気づかず」
「いえ、先日の報告書を持ってきただけなんでお構いなく」

彼のような民間の協力者は今のデジ対には本当にありがたい。我々が払える報酬が多くないのが申し訳ない。

「別にお金じゃないですよ。少しでも自分の経験や力を活かして人助けしたい、それだけです」
「デジモンに取って人間は共生存在であり無くてはならない関係。互いの未来と発展のためにも助け合うのは非常に合理的」

初めて二人に会った時、そう言ってくれた。
自分と同じような考えを持つ人に会い嬉しくなったのを今でも思い出す。

「冬矢君、色々頑張ってくれてますから今度ボーナス支払いますよ」
「見栄張んなよキョーイチロー、うちにそんな余裕ねーだろ。またポケットマネーか？」
「て、テリアモン！い、いや、冬矢くん、決してそんなことは、あの、必ず、報酬は」

しどろもどろになる私に対しハグルモンが淡々としながら言う。

「以前話した通り我々の行動原理に金銭報酬は関係ない。報酬如何に関わらず協力は惜しまない。よって追加報酬は不要」
「……ってコイツも言ってるんで」

冬矢君も笑っていた。面目ない。
そんなやりとりをしていると私のスマホに着信が入った。
私は相手を確認した後、ビデオ通話をオンにする。

「はい、宇佐美です」
『ドーモー伊本です♪室長さん、頼まれた調査完了したんでご報告しますね』

画面内の少女は手を振りながら言う。
流石はデジモン探偵、仕事が早い。彼女のような協力者も、今の我々には欠かせない存在だ。

『先日、街中でデジソウル反応があったって話だけど色々調べたら、それ発現させたのは小学生の男の子だったよ』
「！！やっぱり子供ですか……」
『なんかデジモン同士の喧嘩に介入して殴って倒したみたいですね。中々やんちゃな子だね〜あ、これ自宅住所』

伊本さんからデータが送信されてくる。相変わらず本当に仕事が早い。

『ちょっと聞き回ったらすぐに分かりましたよ♪』
『むしろこんな簡単なことも分からないなんて、政府の人ってざぁーこ♡ざぁーこ♡いーも♡いーも♡』
『芋はお前だろ……』

助手のポテモン、メイクーモンもいつの間にか画面に入ってきている。
賑やかな探偵達だ。

「とにかく助かりました。ありがとうございます」
『いいですよ。ただ住所特定はオプションなんで当初の報酬にプラスしますね。これ請求書です。じゃ、今後も"芋と毛玉探偵社"をご贔屓に〜♪』

通話は一方的に切られた。交渉の余地はないようだ。

「金銭報酬が行動原理な者もいる。合理的な判断だ」

ハグルモンがまた淡々と言った。

「と、とりあえず対象者がわかって良かった。えっと、『最上 熱夢』君か……冬矢君、申し訳ないが君で状況を確認してきてくれないかな？」
「いいですけど、役人でもない僕でいいんですか？」
「本来なら私で行きたいとこなんですが、小学生相手だと……」
「この面見りゃわかんだろ。察しろよトウヤ」

テリアモンがまた私のデコを叩きながら言う。
冬矢君は苦笑しながらも了承してくれた。

「じゃ、早速行ってきます。行こうハグルモン」
「了解した」

二人を見送ると、時刻はすでに正午を回っていた。通りで腹が減るわけだ。

デスクを見回すが、ひとまず急ぎの仕事は無さそうだ。

「芦原さんも休憩行ってください。私留守番しますんで」
「いや、まだ書類があるんでもう少し。逆に室長達こそ昼行ってきてください」
「そうだ宇佐美。外出してこい。2時間くらい帰らなくていいぞ。芦原はじっくり時間をかけるタイプだからな。いややはりピロートークも踏まえて3時間は」
「ドウモン」

二人の掛け合いが終わりそうにないので、私はお言葉に甘えてテリアモンとランチに出かけることにした。

「そうそう俺気になってたラーメン屋があってさー！menskyで見たんだけど……」
「あ、すまないテリアモン……実は行きたい場所があって」
「お、どこよ。俺今麺類の舌だから麺系なら話聞くぞ」
「いや、実は最近小規模なデジタルシフトが頻発してる場所があるから一応視察に……」
「はぁーー！！？昼休みじゃねーのかよ！そんなん忘れてメシにしようぜー！！」

テリアモンの怒りはわかるが、今は休んでいる余裕はないのだ。

「まぁまぁ、そこ近くに美味しいたこ焼き屋さんがあるみたいだから……」

それでもブーブー不満を言うテリアモンをなだめながら私は問題の場所に向かうことにした。

<続かない>

おしまい
あとは宇佐美が現れたマリンデビモンにやられて西君の絵につながる流れになると思います
あくまで独自世界ですのであしからず
キャラの解釈違い申し訳ない
でも好きに書きます

こんな時間にSSを投下…！？

デジタル庁は少しずつ人員が充実してきたな…

警察はずっと手薄なのに…

デジタル庁にヒトナーを入れたものだが
SSありがたい…
そうですね二人きりのオフィスなら
ラブしかないですよね！

宇佐美君好き…

えぇっ！また宇佐美室長がやられた！？

宇佐美さんは強面で耐久値高そうだからね…

描いた子が使われてる…ありがたい…
ここにデジシコ&二次ロリコンのヒトナーが増えると思うと

>描いた子が使われてる…ありがたい…
>ここにデジシコ&二次ロリコンのヒトナーが増えると思うと

>えぇっ！また宇佐美室長がやられた！？

いいのよ「」ルモン！
多少のキャラ崩壊は描写の幅を広げることに繋がるのよ！

宇佐美室長は竜馬枠か…

強すぎて敵の強さの指標として噛ませにされるキャラを竜馬って呼ぶのやめろよ！！

仕事はしてるんですよデジタル庁
仕事はちゃんとしてるんです

>強すぎて敵の強さの指標として噛ませにされるキャラを竜馬って呼ぶのやめろよ！！
宇佐美室長は強いというか丈夫なだけじゃ…

デジ対は真面目に仕事してくれればどんな性癖も過去も受け入れてくれる
多分

デジタル庁の何気ない日常たすかる…
>えぇっ！また宇佐美室長がやられた！？

宇佐美が室長をしているのはやられてもすぐ復活する耐久力の高さを評価されてもかもしれない