二次元裏@ふたば

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691141 B24/04/11(木)20:51:32No.1177252982+ 22:01頃消えます
 ──ずっと世界を壊したいと思っていた。
 理由は特にない。なんとなく、面白そうだと思ったから。
 ケーキが沢山食べれそうだからケーキ屋さんになりたい、とか。
 運動が得意だからスポーツ選手になりたい、とか。
 可愛くて素敵だからアイドルになりたい、とか。
 そんな子供の見る夢のように。
 漠然と、私の心の中には破壊の衝動があった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/04/11(木)20:51:59No.1177253161+
 しかし、それは叶わない夢である。
 私はぼんやりと諦めていた。日本の一般家庭に産まれた人間じゃ、世界を壊すなんてどうやったって不可能だ。
 核ミサイルのスイッチに指が届くような特別な生まれじゃない。細菌兵器を造ってそれをバラ撒く頭脳も無い。戦車や戦闘機を殴り壊せるような力も無い。

 私は無力な女の子だった。
 とてもつまらない人間だった。
 だから諦めて、忘れて普通に生きるようにしていた。

 退屈で平和な日々。笑う事すら億劫なつまらない時間。早く終わってしまえと、そう思いながら生きてきた。
 ──あの日、デジタルワールドでシェイドモンと出会うまでは。
224/04/11(木)20:52:20No.1177253337+
 黒い床と白い壁。
 窓ない廊下はどこまでも続いている。
 招待された人間でなければこの先へはいけない。招かれざる客は出口の無い一本道を歩き続ける羽目になる。
 いつだったかに聞かされた話を思い出しながら歩いている。と、私は閉じた部屋の中にいた。

 いつの間に移動していたんだろうか。疑問と共に部屋を見渡す。
 見上げる天井も壁も白い。廊下と同じように窓も扉もない、簡素な椅子がいくつか並べてあるだけの部屋。
 私達が集まって悪巧みをする空間は、相変わらず殺風景だった。

「こんにちは、みえりちゃん。よかった、まだ生きていたのね」
324/04/11(木)20:52:42No.1177253525+
 椅子に座る私に声をかけてきたのは、黒く淀んだ目をした女性だった。
 鮎川聖。一応味方のテイマーだ。黒い髪とその下に巻かれた包帯。同性ながらも蠱惑的に思えてしまう笑みを浮かべている。
 彼女に、私も笑顔で返事を返した。

「こんにちは、聖さん。そっちもまだ五体満足みたいで」

「ええ、おかげさまで。今のところは上手くやれてるわ」

 聖さんはくすくすと笑う。
 私も下手くそな作り笑いを顔に浮かべる。
424/04/11(木)20:53:04No.1177253688+
 互いの無事を喜び合うような間柄じゃないけれど、まあ社交辞令ってやつだ。
 私達は同じものを目指している。だから今は仲良くやってく方が懸命である。
 聖さんもそう思って……いや、どうだろう。この人の事だからいきなりこっちを殺しに来たっておかしくない。
 私が言うのもなんだけど、聖さんは中々おかしな頭を持っている女性だった。
 そこがまあ、好感持てるところなんだけど。

「それで聖さん。呼び出しってことは、進展あったん?」
524/04/11(木)20:53:42No.1177253959+
「それで聖さん。呼び出しってことは、進展あったん?」

 私が尋ねると聖さんは右手を動かして、宙に半透明のコンソールを呼び出した。
 そのキーボードをかたかた指ではじき、一枚の画像を私のスマートフォンに送ってくる。
 荒い画像データには生い茂った木々と、中心に置かれた黒い棺のようなものが見えた。
 不気味な写真だ。心霊なんて信じていないけれど、そういう雰囲気がたっぷりの薄暗い写真。
 ただのデータの筈なのに直視したくない気持ちが湧いてくる。なにか邪な力が滲み出して来ている。そんな感覚を覚えてしまう。
 ガラにもなく、ゾッとしてしまった。
624/04/11(木)20:54:01No.1177254111+
「ふふ、雰囲気あるでしょ? でも心霊写真じゃないのよ。その棺の中には私達の役に立ちそうなデジモンが封印されているの」

「……封印されたデジモン?」

 聞き馴染の無い言葉を私は思わず呟いた。

「抹消することが不可能な強い力を持つデジモンは、稀にそういう『処理』をされる事があるみたい。可能な限り力をすり減らし、動き出さないよう眠りについてもらう。この棺にもそんなデジモンが一体入っているの」

「なるほどー。じゃあもう中身の方は、見当がついてるの?」

「ええ。棺に眠っているのは裏十闘士の一体。呪の属性を持つエンシェントショウジョウモン。──世界を滅ぼす力を持つものが封印されているわ」
724/04/11(木)20:54:26No.1177254319+
 世界を滅ぼす。その言葉を口にした時、聖さんは笑った。
 今までのような造り物めいた微笑ではなく。心の底から嬉しそうに、楽しそうに。
 
「文献の言葉が真実なら。彼はデジヴァイスやデジメンタルやスピリット、選ばれた勇者達にしか許されない力を創り出すことができるの。今よりも同士を集め易くなるし、私達のデジモンも強化できる。
──ええ、ええ。彼が加わってくれれば、そうじゃなくても。世界は破滅へと近づくでしょう」

 恍惚としかして淡々と。
 色んな感情が混ざり合った言葉を歌うように聖さんが紡ぐ。
824/04/11(木)20:54:45No.1177254485+
「うふふふ。どうかしら、みえりちゃん。協力してくれる?」

「あなたとシェイドモンの力があればとってもスムーズに事が運ぶと思うの」

 聖さんが私の顔を覗き込んできた。
 黒い目が、その奥にあるドロドロとしたものが、私を捉えて離さない。

 そんなの。答えは決まっている。
 私も彼女と同じように、心の底から笑ってやった。

「──もちろん。やるよ。デジタルワールドも、現実世界も。全部全部、ぶっ壊しちゃおう」
 
924/04/11(木)20:57:43No.1177255791そうだねx6
短めですが悪役美人コンビのやり取りを書いてみました
時系列的には結構前になるのかな…
気軽に世界滅ぼしサークルの活動の一変です
解釈違いとかミスとかあったらごめんなさぁぁぁい!
デジモン出せなくてごめんなさぁぁぁぁい!
1024/04/11(木)20:58:45No.1177256213+
めっちゃ良い…
1124/04/11(木)20:58:54No.1177256266+
最初っからおかしい女と比較的まともに見えてやっぱりおかしい女悪くないね…
そしてエンシェントショウジョウモン復活させたのお前らかよ!
1224/04/11(木)20:59:26No.1177256486そうだねx1
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お借りしたのはこのお二人とエンシェントショウジョウモンです
ショウジョウモンの方は名前しか出せなかったけど…
1324/04/11(木)20:59:33No.1177256542+
悪い奴らやなぁ
1424/04/11(木)20:59:56No.1177256712+
ショウジョウモンは道具作りの匠だからな…
1524/04/11(木)21:01:20No.1177257341+
見た目のいいどこにでも出せる便利な悪役コンビは最高だぜ!
1624/04/11(木)21:06:13No.1177259299+
悪役もキャラが立って魅力的なイモゲンチャー!
1724/04/11(木)21:08:28No.1177260306+
大丈夫?封印解いた結果主人公勢に塩を送ることになってない?
1824/04/11(木)21:09:11No.1177260619+
聖ちゃんはGカップと一緒にファンアートも描かれてたからな…
1924/04/11(木)21:09:13No.1177260636そうだねx1
>大丈夫?封印解いた結果主人公勢に塩を送ることになってない?
まあこの女どもが後先考えてるわけないし…
2024/04/11(木)21:11:57No.1177261860+
顔のいい女が悪いお話してる空間大好きモン!
必殺技はダークリリウム・ショットだ!
2124/04/11(木)21:13:05No.1177262337+
ショウジョウモン自体に悪意はない…のかも…?
2224/04/11(木)21:26:06No.1177268123そうだねx1
二人が会話するシュチュエーション作りたいが為に生み出した謎空間ですが全然設定とか決まってないんでもし使いたいなんて思ってくれた方がいらっしゃるならご自由にお使いください
たぶんデジモンイレイザーが創ったんじゃないかな…


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