澪:シンに会いたい、か…だったら──── 真人:待て待て、士道を使う手段はナシだって…ていうか大体澪、お前──── ぶっちゃけ…蘇らせれると思ってないだろ? 澪:… 真人:士道の記憶を消した所でソイツは「士道の体にシンの植え付けた存在」…お前がそれで納得出来るような奴じゃないって事ぐらい、知ってるさ それに対して澪は寂しそうな笑みを浮かべる 恐らく澪は…最初からそう思っていたのだろう だけど止まれなかった、最初から澪は真士しか見えていなかったのだから 恋は盲目、とはよく言ったものだ 澪:だから…士道を守ろうとした? 真人:まぁそれも理由の一つだな…俺は生きようとする士道を否定したくなかった、真士の為に生まれた存在なんて…真士が望まない 澪:うん、きっとそうだと思う 真士の事が思い浮かんだのか、珍しく澪は嬉しそうな笑みをする …澪は本当は、真士にはもう会えないと、心のどこかで思っていたのだろう だからこそ 真人:そこでだ…1つ約束、してくれないか? 澪:約束?もう士道はここに居ないのに…意味は無いと思うけど…いいよ、聞いてあげる 真人:真士と会う事を、諦めないで欲しい 澪:…それは、どういう意味かな 真人:言葉の通りだ、なぁ澪?俺のドミニオールまだ持ってるか? 明らかに不機嫌な顔になった澪に怖気付く事なく一歩踏み出す 正直言って此処で死んでも士道が未来を変えるからどうと言うことは無い…0が0のままになるだけだ 澪:…もってるけど…? 真人:よし!じゃあ行ける…! 澪:??? 澪が手のひらから出現させたドミニオールを見て思わずガッツポーズを取る 困惑する澪を他所に柄もなく興奮してしまった つまりこれでドミニオールはこの世界に二つ…歴史を変えても歴史を変えた際に持ち込んだ物は消滅しない事がしっかりと判明したわけだ 真人:俺の作戦はこうだ…まず俺が澪を取り込む、それは俺の体が澪の分身だから…出来るよな? 澪:出来るけど…そんな事をしたら兄さんの体が保たないよ? 真人:少しくらいなら大丈夫だろ、そこで俺が刻々帝〈ザフキエル〉の十二の弾〈ユッド・ベート〉で過去に飛ぶ…まぁ博打だが上手くいけば士道が戻った過去に戻れる筈だ 最初はジト目でコチラを見ていた澪だが、過去に戻ると言う事を聞いてから段々と真剣な眼差しになって行く 澪:ドミニオールは士道が元の時間に戻っても5年前に取り残されたままだった…だから私を兄さんの中に保有したまま十二の弾〈ユッド・ベート〉を使う事で戻らないようにする、と? 真人:そう!そしてハナミ達のバックアップもドミニオールにインストールして、あとは…巻き戻った先の俺と考えれば良いさ 澪:それしか他にやる事が無いとはいえ…計画性も何も無い酷い計画だ、シンに会える可能性もあったもんじゃ無い… やれやれと、首を横に振りながらも話を聞いてくれる澪にありがとうと伝える それにもし消えてしまうとしても士道に何かあった際に助けに行けるかもしれない 真人:でも、やってみる価値はあるだろ?始原の精霊の力が2つあるんだ、多少の奇跡は起こせる筈だ 澪:…わかった、でも後悔しない? 真人:やらない後悔よりやって後悔!ってな…まぁもしそれでお前になんかあったら…そん時は俺が責任を取る、実行犯は俺だしな この行いが正しいとは思えない、今から過去に…新しい未来に送るのは精霊達や魔術師〈ウィザード〉達を大勢殺した精霊なのだ だがそれでも…真士とまた会いたいと言う己の我儘を聞いてくれた妹にはまだ…諦めてほしくなかった 澪:それじゃあ────行くよ 真人:ああ…頑張れよ、澪 準備が済み…激励に静かに頷き返した直後、霊装の帯を伸ばし、真人の身体を貫いた じわり、じわりと体に澪が溶け込んで行く 最初のうちは体が少し重くなる それが次第に痛みや熱を伴っていく…感じたこともない奇妙な感覚だ だけど────怖くはない 真人:刻々帝〈ザフキエル〉! 覆しようのない状況に遭遇して 変わりそうにもない未来が訪れ 果てには挫けてしまう事があるかもしれない でも自分の帰る場所の為、自分の家族の為なら 真人:────十二の弾〈ユッド・ベート〉! 僕は何度だって、立ち向かえる