なんの事はない、トレーナー狩りだ
入学を控えたこのシーズンは闇の勢力も新人を欲している
その為のこの時期、担当トレーナーが拉致される事件が頻発するのだ
「しかし大事ありませんか？お腹は空いていませんか？」
「バクシンオーさん…お気持ちは分かりますが
そんなに捲し立てたらトレーナーさんもお話できませんよ」
後からやってきたニシノフラワーが彼女を宥めようとするが
掛かり気味であるバクシンオーの耳に果たして届いているかどうか
「大丈夫だよバクシンオー。彼が門の前に倒れて居たのを俺が連れて来たが
記憶が曖昧な以外は特に健康状態の問題は無い」
ニシトレが補足すると漸く落ち着いたのか
バクトレから二歩、三歩と離れたバクシンオーが深呼吸をする
「そうなんですね！？いや申し訳ありません気持ちが先行してしまったようで…
それではトレーナーさん！」
「ん？」

「…いかがでしたか？」
「ﾋｭｯ」
不意の抑揚の無い声に息を飲んだ音が響く程度に部屋の空気が一変した
音の出所であるニシトレはそのまま口を押え
ニシノフラワーの方も突然の事にバクシンオーとバクトレを交互に見る
闇の者によって拉致されたトレーナーは消息を絶つものの
短くて三日、長くても一週間程で学園に復帰する
同じ時期、地方レース場で目覚しく成長するウマ娘が現れると言われるが
因果関係は不明とされている
じい、と自らのトレーナーを見つめるサクラバクシンオー
その瞳からは感情を読み取る事は出来ない
だがそんな眼差しをバクトレもまた微動だにせず受け止めていた
「成果はあった。粒ぞろいで中々成長が楽しみだ」
億面も無く言い放つ
「そうですか」

ふっ…と空気が一瞬だけ緩み
「それは私の側を離れた上で必要な事でしたか？」
「ｸﾜｯ」
場の圧に耐えきれずニシトレが床に転がる
「長期的に見ればそうだな」
「ふむ？」
「幾人かスプリンターの中にステイヤーを見た
伸びれば或いは、中央に来るかもしれない。君と同じ様な志でだ
鎬を削る相手は多い方が良いだろう。孤独である必要は無いからな」
「そうですか」
頷くバクシンオー。飄々としたバクトレの握った掌にじわりと汗が滲む
「…ところでトレーナーさん、何のお話ですか？」
「ああすまんすまん。記憶が曖昧だからうわ言だ。気にしないでくれ」
「そうでしたか！いや失敬失敬！なら結構です！」
急に二人が顔に表情を取り戻す

「はっはっは！ではトレーナーさん、早速トレーニングに参りましょう」
「おいおい一応病み上がりなんだが…」
「またまた！お元気といったじゃないですか！それと…」
「うん？」
「確かに私も寂しいのは嫌ですが
そう思うのであれば、なるべくもう側を離れないで下さいね」
「そうだな」
短い、しかし力強い一言
それに満足したのかバクシンオーがターフへと驀進していき
バクトレが静かに後へ続く

そしてトレーナー室に残され床に転がるニシトレを介護しながら
成程ああいうのもあるのか、と
ニシノフラワーの賢さが20上がった。

>「確かに私も寂しいのは嫌ですが
>そう思うのであれば、なるべくもう側を離れないで下さいね」
バクちゃんはそういうことするー！！！

>成程ああいうのもあるのか、と
孤独のグルメじゃねえんだぞ！！！！！！！

こえーよ！

なるほどトレーナー狩りがスイと出た
これ狩られてるか？

バクちゃんの相手を作るためにワザと拉致されたってこと…？

フラワーの教育に悪い！

だからトレーナー狩りってなんだよ！？

>ニシノフラワーの賢さが20上がった。
この賢さ上がっていいやつ？

まあニシノフラワーも大分最強マイラーだからバクシンオー適正あるか…

>だからトレーナー狩りってなんだよ！？
中央よりも光の当たらないトレセンがトレーナー不足を補うために取る春の風物詩だが？

そんな物騒な風物詩があってたまるか！

かわいいニシトレの前で高度なやり合いを見せつけるのはやめろ！

>バクちゃんの相手を作るためにワザと拉致されたってこと…？
拉致された
ちほ…闇のウマ娘をトレーニングした
ついでにバクシンオーにぶつけられそうな相手の品定めもした

こんなに弱いのに二シトレバクトレ救出に力貸したのか

>こんなに弱いのに二シトレバクトレ救出に力貸したのか
メンタル方面がか弱いだけで肉体的には問題ないんだろう

>かわいいニシトレの前で高度なやり合いを見せつけるのはやめろ！
フラワーは？！

変なプレイを見せつけるんじゃない

>>こんなに弱いのに二シトレバクトレ救出に力貸したのか
>メンタル方面がか弱いだけで肉体的には問題ないんだろう
かおるちゃんだったりゲンジロちゃんだったりするしな

>>かわいいニシトレの前で高度なやり合いを見せつけるのはやめろ！
>フラワーは？！
友情トレーニング

このバクちゃんシンデレラグレイ顔になってない？大丈夫？

>こんなに弱いのに二シトレバクトレ救出に力貸したのか
多分正門前に落ちてたバクトレ拾っただけだと思う

>因果関係は不明とされている
ほな因果関係は不明か…

>だからトレーナー狩りってなんだよ！？
春！

委員長も委員長だけどバクトレも退かねえ…

>>因果関係は不明とされている
>ほな因果関係は不明か…
しっかりいたせー！

>記憶が曖昧な以外は特に健康状態の問題は無い
ククク…舐められたものだ
捕らえたトレーナーは朝こそ早いものの17時には完全終業
その後は居酒屋にて集団尋問（90分延長なし一次会のみ）
そして大浴場・夜泣き蕎麦付き監獄に収監するハードスケジュールさ…

良いですよね
僅かな期間指導してくれたあの人を追い求めて中央へ行った先で見た二人三脚で脳を破壊される
闇のウマ娘達

>そして大浴場・夜泣き蕎麦付き監獄に収監するハードスケジュールさ…
ドーミー○ンだこれ

後でこんなことがあったとクラスメイトのマヤノとビコーとスイープに語るフラワーの姿が

こういういちゃ付きもある
そう学んだニシノフラワーはまたひとつ成長した

>後でこんなことがあったとクラスメイトのマヤノとビコーとスイープに語るフラワーの姿が
「「それ以上いけないよ」」

これ理事長も噛んでない？

コワー…。

否定ッ！トレーナー拉致事件には大変苦慮ッ！
決して対価は受け取っていないッ！

>>後でこんなことがあったとクラスメイトのマヤノとビコーとスイープに語るフラワーの姿が
>「「それ以上いけないよ」」
みんな大人だ…

急にプリティを剥がして戻すな
びっくりした

バクシンオーの埋めがたい孤独を癒すために
バクシンオーの側を離れて孤独にせねばならない
なんという矛盾に満ちた正解だろう

委員長は大望のため見逃してくれるけど
パーマーあたりは機嫌直すまでだいぶかかりそうだ…

>バクシンオーの埋めがたい孤独を癒すために
>バクシンオーの側を離れて孤独にせねばならない
>なんという矛盾に満ちた正解だろう
（微笑み返すバクシンオー）

ククク…この2人美しいけど闇深すぎ…

遥か遠い星を追いかける2人は未だ闇の中なんだ
でも走り続けるんだそれが尊いんだ

>このバクちゃんシンデレラグレイ顔になってない？大丈夫？
最後のやり取りはどてらくプリティだろ