二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1709885314373.jpg-(28440 B)
28440 B24/03/08(金)17:08:34No.1165408592そうだねx10 18:57頃消えます
「右主機冷却水ポンプよし」
「右主機潤滑油ポンプよし」
「右主機圧力・回転数よし」
「左主機冷却水ポンプよし」
「左主機潤滑油ポンプよし」
「左主機圧力・回転数よし」
「ゲート・タリエシン開放完了」
「右舷・左舷キャプスタン準備よし」
 次々に入ってくる通信を頭の中で整理し、組み立てながら、何度も深呼吸をする。パズルのピースを埋めるように、すべての準備は整った。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/03/08(金)17:08:45No.1165408645+
 この言葉をこんなに満ち足りた、誇らしい気持ちで口にする日が来るとは思わなかった。何もかも彼のおかげだ。この恩を返すには、自分のすべてを彼に捧げても足りないだろう。
 だけどそれでも、これだけは、この台詞だけは自分のものだ。自分が言うべき一言だ。
 目を上げれば、ブリッジの全員がこちらを見ている。マーリンは大きく息を吸って手にした指揮棒を振り上げ、そして真正面へ振り下ろした。

「プリドゥエン、抜錨!」
224/03/08(金)17:08:59No.1165408698+
 トロールスバードの長大な刃で,モリアーティの腕を切り落とすのはちょっとした一仕事だった.上腕にびっしり生えた金色の結晶が,コンクリートの床にぶつかって硬い音をたてる。
 ブラックリリスがすばやく駆け寄り、腕を拾い上げて耐圧ケースに収める。ラビアタは刃についた赤紫色の体液をていねいに拭って、もはや動くこともないモリアーティの死骸を眺めた。ぐんにゃりと力なく横たわり,腕の切り口から体液を垂れ流すそれは、中身を失った大きな袋のように見えた。
「これで、ドクターに頼まれたお土産もできたわね」
「発電所の暴走も始まったようです」ブラインドプリンセスが耳に手をかざして首をかしげた。ラビアタにはまだ、崩落しかかった天井の軋みのほかは何も聞こえないが、彼女が言うならそうなのだろう。
「急ぎましょう、お姉様。もう、いつどこが崩れてきてもおかしくありません」
324/03/08(金)17:09:26No.1165408802+
「そうね」ラビアタは立ち上がり、大剣を担ぎなおした。「早くプリドゥエンに追いつかないと。向こうはきっと、こちらのフォローをしてくれる余裕なんてないでしょうからね」
 コンクリートの破片がぱらぱらと落ちてくる。かつてはキャメロットの兵器庫であり、今はモリアーティの墓場となった広大な地下空洞を、まっすぐ横切って三人は駆け出した。
424/03/08(金)17:09:45No.1165408881+
「速度3ノットから5ノットへ増速、ちょい当て舵から五秒で取り舵!」
「よーそろー……チョイアテカジというのは、これくらいでよいのか?」
〈左舷警報出てます! 寄りすぎ! 岸に寄りすぎです!〉
「ちょっとこすったくらいなら平気だから! やばそうになったらバルーン膨らませて!」
〈やばそうってどのくらいですかあ!?〉
〈冷却水温度なんですけど、青から黄緑までのあいだなら問題ないんですよねこれ」
〈気象観測システムからアラートが来てるんだけど、気圧とスクリューの回転数って何の関係があるわけ?〉
「だああああ!!」
 プリドゥエンのブリッジは戦場であった。
524/03/08(金)17:10:18No.1165409015+
 モリアーティ(一匹目の)を撃破し、イギリスのレジスタンス救出が完了した後も、オルカの部隊はキャメロットにとどまり防衛を続けていた。それはひとえにこの船、プリドゥエンのためである。欧州攻略作戦を目前に控えたオルカにとって、この大型工廠艦に搭載された七十八機のストロングホールドと、艦そのものの生産能力は間違いなく強力な切り札になる。プリドゥエンを起動させ、オルカの編成に組み込むことは急務であった。
 作業を始めてすぐにわかったことだが、船体やハードウェアのダメージは意外なほどに少なかった。さすがポセイドンとブラックリバーの技術の粋を集めただけあって、堅牢さの品質が高い。ストロングホールド軍団についても完全に仕上がった状態で保存され、生体回路への置換さえ済めばすぐにでも実戦投入可能な状態とわかった。
624/03/08(金)17:10:33No.1165409077+
 最大の問題は管制システムだった。本来中枢となるべきマーリンの脳は取り外され、ここにこうして可愛いマーリンちゃんとして復活してしまった。つまり、現在プリドゥエンの頭は空っぽである。いかにドクターとスカディーが天才でも、これほどの大型艦を管理するAIをゼロから組み上げるのは短期間ではちょっと無理だ。何度かの試行錯誤のすえ、ドクターは代案を提示した。
「たしか、この船を手動で動かそうと思ったら、マーリンお姉ちゃんが何百人も必要だって言ったよね。でも、それって船の全機能をフルに使う場合の話だよね? 航行だけなら……中継基地のあるシェットランド諸島まで行ければいいだけだったら、どうかな?」
「ええ……うーん」マーリンは考え込んだ。「一応、それぞれの補助システムは生きてるわけだし……それでもねえ、SS級クラスのバイオロイドが少なくとも二十人はいないと」
724/03/08(金)17:10:54No.1165409164+
(……とか言ったら、本当に揃っちゃうんだもんなー)
 どうにか一渡りの指示を出し終えて、マーリンは制帽の乱れをなおし、あらためてブリッジを見渡した。操舵士席にサイクロプスプリンセス。航海士席にフリッガ。通信士席に慈悲深きリアン。観測士席にオベロニア・レア。ほかにも艦内各部署の配置表を見れば、旧時代なら世界的に有名だったパリパリの最高級モデルたちが、当たり前のようにずらりと名を連ねている。しかもこれはオルカの全戦力どころか、主力ですらない。ブラックリバーの軍事バイオロイドを中心とした主力戦闘部隊は現在ヨーロッパ本土で作戦展開中であり、アーサーはいわば留守番メンバーだけでイギリスへ乗り込んできたのだ。
「そりゃ反則でしょ……」
「ん? なんか言った艦長?」
「なんでもなーい」
824/03/08(金)17:11:42No.1165409361+
 そもそもオルカの部隊構成について、大きな誤算があったことをマーリンは認めないわけにいかなかった。キャメロットでの戦いから、オルカは三安のメイドを中心とした混成部隊であり本格的な軍事バイオロイドはいない、とマーリンは踏んでいたのだ。そうであれば、生粋の戦争用バイオロイドであるこの自分が当然、参謀としてオルカの軍事面を一手に引き受けることになる。そしてアーサーの隣に座り、ぞんぶんに王佐の才をふるうのだ。そういう未来図だったのだが。
(それが何? ブラックリバーの八兵科と指揮官級がほとんど勢揃い、おまけにラビアタ・プロトタイプにレモネードアルファに無敵の龍ってふざけんなー! こんなのバイオロイドオールスター総進撃じゃん! 私ちゃんの出る幕ないじゃんかー!)
(捕らぬ狸のなんとやらですね。ぷーくすくす)
(うっさい痛風になれ)脳内ブラインドプリンセスの突っ込みに毒づいて、マーリンは目の前の海に意識をもどす。
924/03/08(金)17:11:54No.1165409406+
 即席クルー達はみなSS級とはいえ、一夜漬けで操船技術を叩き込んだだけの素人だ。ともかく、何が何でもドーバー海峡を抜ける。それまでは一秒も気が抜けない。
「通信席! オルカは10キロ以上先行してるんだよね? 距離を保って絶対に近づかないよう、もう一度念を押しといて! こっちは避航もろくにできないんだから、頼むよホント!」
1024/03/08(金)17:12:45No.1165409621+
長くなったのでつづき
fu3216860.txt
1124/03/08(金)17:14:48No.1165410123+
ブラリリで1台100億円だが三安の他の高級モデルっていくらくらいなんだろ
1224/03/08(金)17:15:31No.1165410308+
一番値段高いのはエタニティだったはず
1324/03/08(金)17:17:52No.1165410850+
霧の国イベのラストはなんか語り足りない感がすごいあるので
3-5Exのつもりで書いた
まとめ
fu3216863.txt
1424/03/08(金)17:19:02No.1165411122+
SS級だらけだもんなあオルカ
1524/03/08(金)17:22:38No.1165412015+
オルカとどっちがでかいんだこの船
1624/03/08(金)17:24:20No.1165412442+
さすがに中で200人暮らせるオルカの方がでかいんじゃないかと思うけど
テムズ川遡れる程度の大きさって判明したからわからない
1724/03/08(金)17:32:40No.1165414580+
オルカはなんか変形したりしそうだし…
1824/03/08(金)17:34:08No.1165414962+
実際脳ミソ抜いたプリドゥエンあっさり起動してたけどどうやったんだろうな
1924/03/08(金)17:38:07No.1165415985+
ストホ満載してるプリドウェンのがでかいんじゃないかと思っている
2024/03/08(金)17:38:35No.1165416106+
ストロングホールドの母艦で脳ミソで直接制御しなきゃならん部分って
自衛のための火器管制とかストロングホールドのオートメーション整備とかそっちだろうから船として動かすなら普通に舵輪とスロットルで手動でいいのでは
2124/03/08(金)17:43:38No.1165417513+
そもそもストホ1機で500t近いからな
2224/03/08(金)17:49:36No.1165419204+
現実だと一番大きい原潜と石油タンカーの全長差2倍もあるんだね
2324/03/08(金)17:50:09No.1165419352+
単純に積荷35000tならコンテナ船くらいかデカさ
2424/03/08(金)17:52:35No.1165420008+
スエズを通れるギリギリに大きい大型タンカー級なんだっけプリドゥエン
単純に動かすだけでもそれなりの人数は必要そう
2524/03/08(金)17:53:50No.1165420331+
400m20000TEU級のコンテナ船がゴロゴロ最近はあるからデカさがインフレしてるしそれらよりはちっこいはず
2624/03/08(金)17:54:32No.1165420506+
ラスオリのはプリドゥエン
メガニケのはプリドウェンなのでまぎらわしい
2724/03/08(金)18:06:58No.1165423857+
船周りと内部の描写細かいな…
なんか知識持ってるか調べたのか…
2824/03/08(金)18:12:08No.1165425377+
デカいものを動かすのはおおがかりになるからな…
2924/03/08(金)18:13:51No.1165425889+
>船周りと内部の描写細かいな…
>なんか知識持ってるか調べたのか…
そう言ってもらえると嬉しい
ちょっと調べた
3024/03/08(金)18:20:05No.1165427706そうだねx5
>そう言ってもらえると嬉しい
>ちょっと調べた
こういう細かい描写がちょっとでもあるとリアルさというか没入感が生まれて良いよね
素敵な努力ができてえらい!
3124/03/08(金)18:35:13No.1165432039+
>そう言ってもらえると嬉しい
>ちょっと調べた
リアリティがあるとマジで面白くなるからえらい!
3224/03/08(金)18:35:33No.1165432128+
>fu3216863.txt
めちゃくちゃな量書いてて素敵だ…
あたま旧人類がいないあったけえ話なのもたすかる…
3324/03/08(金)18:41:37No.1165433983そうだねx3
やっぱプロだろうアンタ!
3424/03/08(金)18:43:15No.1165434501+
向こうの人から翻訳して配布してもいい!?って聞かれた人か…?
3524/03/08(金)18:50:20No.1165436795+
足江進って無限の住人に居たけどタリエシンが元だったのか…
3624/03/08(金)18:52:49No.1165437563そうだねx1
正直なんかのきっかけで本家のイベントシナリオ書いてほしいと思ってる


1709885314373.jpg fu3216860.txt fu3216863.txt