「……ふぅ」
静かになった部屋の中で、溜息を零す。
嵐のように訪れた少女たちの喧噪は、その勢いのまま今は何処へやら。
タマモクロスとスーパークリークが持ち込んだ具材による、粉ものパーティー。
目を輝かせる担当の姿を見て、嬉しくならないトレーナーなんて居ないだろう。
オグリとイナリワンが食べる事に専念していた影響で、俺も調理側へと回る羽目になってしまったが。
「ははっ、楽しかったけど……ちょっと、疲れたな」
笑顔にボケにツッコミに。本当に騒がしくて楽しかった。
しかし、身体に纏わりつく倦怠感は、楽しいとか愉快じゃ疲労は消せないという事を教えてくれている。
ソファーに座り込み、シャツのボタンを上から二個外す。
騒がしかった一日を振り返りながら、ふと、一つ残った疑問を思い返した。
「……オグリ、どうしたんだろう」
パーティーの途中。俺がトイレに行っている間に、オグリが抜けてしまったらしい。
なんでも、『用があるんだ』と残った彼女たちに言い残していったそうだ。
用があるなら仕方無い。タマモクロスもスーパークリークも、イナリワンも口を揃えて言っていたが……。

「……本当に、惜しいな」
もっと、オグリの笑顔が見たかった。
きっと、あれだけじゃオグリの空腹を満たすには足りなかっただろう。
考える事は色々あるが、今となってはどうしようもない。
もう一つ大きな溜息と共に、天井を仰ぐ。
「……」
……ソファーから立ち上がり、歩き出す。
目標まで数歩。倦怠感が足を普段より何倍も重くするが、そんな事は知った事か。
押入れの襖を開くと、すぐ出迎えてくれた。それをそこに置いたのは他でもない自分なのだが。
「……匂いが付くのは嫌だったんだ」
つい口から出た言い訳は、押入れに押し込んだ目の前のぬいぐるみにだろうか。
それとも、本物が一番と言っておきながら買ってしまった事の負い目で、オグリに見つからないよう隠した事か。
少し胸をチクリと突かれながら、ぬいぐるみを取り出して抱きかかえる。

うーん、フワフワだ。
それに肌触りもサラサラ。ずっと触れていたくなる。
頭を撫でながら、もう一度ソファーへ。行きは重かったはずの足が、随分と軽い。
上機嫌から勢いをつけて、鼻歌交じりで寝転がった。
抱いていたぬいぐるみを、顔の前まで持っていく。
愛らしくデフォルメされた、オグリの姿。
いや、決して、オグリ本人が可愛くないというわけではないんだが。
……しかし本当に、可愛い。
「ははっ」
買ってからというもの、毎夜こうして癒されるのが日課になっていた。
改めて、頭を一撫で。二撫で。
芦毛を模した白い生地に手を滑らせて。
そうする度に、疲労が何処かへ消えていく。
それと同時に、胸の奥で何かが膨れ上がっていく。
日頃噛み潰している何かが、抑えきれないほどに溢れていく。

「オグリ、好きだ」
溢れ出た物を止めずに。ぬいぐるみ目掛けて、愛の言葉を吐き出した。
変わらず、ジト目を浮かべているぬいぐるみ。
……そりゃそうだ。変わるわけもない。
今の自分とぬいぐるみの光景が、なんだか無性に面白くて思わず吹き出した。
「ぷっ、ハハハ！本人代わりのぬいぐるみに告白とか、俺は小さな女の子か！」
口にしてみると滑稽さをより感じて、更に笑ってしまう。
大人の男がやる事か？これが？無いだろ？
呼吸も儘ならなくなるほど笑う。ぬいぐるみを抱きしめて笑う。
胸の中で抱きしめられるぬいぐるみ。不思議と、それが高速で鼓動を鳴らしているように感じた。
ぬいぐるみが胸を鳴らすはずが無い。となると、この音は……。
……どうやら俺は、ぬいぐるみ相手の告白に、ここまで胸が高鳴っているらしい。
それもまた情けなくて笑ってしまった。
一頻り、お腹を攣るほど笑って満足したのち、思いついた事があった。

今の俺はこんなに情けないなら、行くとこまで行ってしまおう。
「キミを愛してる」
……想い人を相手に、いつか伝えたい言葉の予行演習だ。
「共に居られるなら、他の何も要らないんだ」
思いついた言葉を、深く考えずに口にする。
「キミが幸せそうにごはんを食べる姿を、一生見ていたい」
迷う事も無くスラスラと。脳から口までスルリと出力されるのは、普段から思っている事だからだろうか。
「誰よりもキミを幸せにしたい」
何処かで見たような言葉かもしれない。ありきたりかもしれない。
「トレーナーとしてだけじゃない。ただの男として、キミが好きだ」
だけどこうして口に出していると、自信に変わっていく気がする。
「キミと同じ髪色になっても、ずっと側に居たい」
相手はぬいぐるみなのに。オグリを模しているというだけで、こんなにも胸が高鳴るんだ。
「ただ、ひたすらに、さ。俺はキミが好きなんだ」

そうしてしばらく、思いつく限りの言葉を、伝えた。
「……」
伝える前と、終わった今。ぬいぐるみは変わらず俺を見つめている。
……俺の顔は、ずいぶん赤くなっているんだろうな。
終わらせて落ち着くと、今度は途端に恥ずかしさが襲ってくる。
「……こんなんじゃあ、本人に告白なんて夢のまた夢だな」
ぬいぐるみ相手でもこれだ。いざオグリを前にしたら、きっとロクに言葉が出ないだろう。
火照った顔をパタパタと扇ぎながら、苦笑が浮かぶ。
そんな俺を前にしても、顔色一つ変えないぬいぐるみ。
それが当然。なのに、それもオグリらしいと思うと尚更愛しく感じる。
もう一度、抱きしめる。ぬいぐるみから感じる鼓動は、心臓が破裂しそうなくらい早い。
抑えようと目を閉じ、暗い闇に意識を沈めた。
まだ高鳴っているが、忘れていた疲労と眠気はどうやらそれにも勝るらしい。少しずつ、意識が遠くに消える。
「おやすみ、オグリ」
……また明日。キミの笑顔のために頑張るよ。

「……そろそろ薬が解ける時間やな。オグリ、どんな具合や……どど、どないしたんや倒れこんで！？」
「た、タマぁ……」
「顔真っ赤やないか！副作用でもあったんか！？」
「トレーナーと……ど、どう、顔を合わせればいいか……」
「トレーナーやて！？……ま、まさか……一体、何されたんや……！」
「い、言えない！そればかりは、言えない……！」
「言えないような事されたんか！？あ、あのトレーナー……！ぬいぐるみに何してくれとんねん……！」
「わ、わかった、トレーナー、わかったから……私、もう……ダメぇ……」
「あのオグリが、こんな……！どんな酷い目に遭えばこんな事になるんやぁ……！？」
「と、トレーナー……私も、トレーナーが……」
「無理して喋らんでえぇ！今、誰か呼んで……」
「……オグリ？」
「おい、オグリ……何黙っとんねん……冗談キツイで、ほんま……」
「オグリ……なぁ、オグリ！」
「……オグリぃいいいいいいいいいいい！！」

オグリキャップのやる気が上がった！

>オグリキャップのやる気が上がった！
タマモクロスのやる気が下がった

くたくたの骨抜きになって一週間くらい立ち上がれなくなってそう

>>オグリキャップのやる気が上がった！
>タマモクロスのやる気が下がった
タキオンのお弁当からおかずが一個減った

大丈夫？このあとオグリご飯食べられる？

いつもの更に2倍食ってた

トレーナー
私は
元気な子を産むぞ

>トレーナー
>私は
>元気な子を産むぞ
お昼時の食堂で言うんだね…

>>トレーナー
>>私は
>>元気な子を産むぞ
>お昼時の食堂で言うんだね…
色々すっ飛ばしてこの結論が出るのはすごくオグリっぽい…
トレーナーは「？？？？？？」ってなるだろうが

ウワ

>タキオンのお弁当からおかずが一個減った
えー！

続きはどうしたん！？

もう一回使ったら今度はぬいぐるみのまま抱き枕にされてしまい
朝起きたらベッドで同衾してるオグリ

まあでもオグリの性格からしたらこの盗み聞きみたいな真似はもう出来ないだろうから
自分で動くしかないのだ

好意の出し方が分からないだけで内心トレーナーのこと大好きだよねオグリ
加減しろ莫迦！

>好意の出し方が分からないだけで内心トレーナーのこと大好きだよねオグリ
そんなオグリがトレーナーも自分のことが大好きと知ってしまって…これは…

オグリはグッドエンディングで愛してくれた君のために走るって言える娘だし…

ある日抑えが効かなくなって
押し倒してから許可を求めてくるくらいの事するのがオグリ

理事長！これは！？

歓呼ッ！！

推奨っ！

祝福〜！

>ぬいぐるみになる薬
またタキオンが流出するとマズイものつくってる…

出産！

この薬下手に流出させたら逆にトレーナーに使って拉致するやつとか出てこない？大丈夫？

トレーナーのぬいぐるみが無いので触媒が存在せず
魂が霧散する

>ウワ
死んでる…

ないなら作ればええんちゃうかユキノビジン出番や

ぬいぐるみを抱きしめて愛を囁いてる最中に薬の効果が切れるルートも見たいですね

服ってどうなってるんだろう
不意に効果が切れると裸だったりしない？

副作用が無いのは証明済み
つまり次はオグトレに飲ませてぬいぐるみにしたところをオグリが抱きしめて告白するんだ

>副作用が無いのは証明済み
>つまり次はクリークトレに飲ませてぬいぐるみにしたところをクリークが抱きしめて告白するんだ

>つまり次はクリークトレに飲ませてぬいぐるみにしたところをクリークが抱きしめて告白するんだ
いつもとかわらんやんけ!!

>祝福〜！
なんで最後の最後でIKKOになっとんねん

ちょうどオグリの初育成終えた俺はとんでもないスレを見てしまったようだ

爽やか素直クールなのがオグリだからこんな事されたらヤバい事になってしまう

いい…