二次元裏@ふたば

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348471 B21/04/12(月)22:49:09No.792261643そうだねx1 23:49頃消えます
「そっか…トレーナーも色々あったんだね」
トレセン学園沿いの並木道を並んで歩く。
またこんな日が再び訪れるとは思ってもみなかった。俺はついテイオーに学園を辞めてからのことを洗いざらい話してしまう。

「テイオーその…ごめん」
ちょうど学園の門の前で俺は足を止めた。
「トレーナーを辞めたことは後悔してない。君は否定してくれるだろうけど俺じゃあ確かに力不足だった」
テイオーは少し寂しそうな顔で俺を見る。
「でもちゃんとお別れは言うべきだった。俺の口から言うべきだったんだ。ありがとうとさようならを…だけどできなかった。君に引き止められるのはわかってたから。もう怖くて逃げ出したかったんだ。だからその…ごめん。地元まで説得に来てくれた君を追い返して…ごめん。もう顔見せるなとか言って…ごめん」
10年間溜め込んできた思いを口にする。出てくるのは謝罪ばかり。我ながら情けない男だと思う。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/12(月)22:49:37No.792261836そうだねx1
「もー久々に会えたのにごめんばっかり聞きたくないよ」
彼女は少し困った顔をして俺の手を取る。
「私の家学園から近いんだー。お茶でも飲んでいって?」

学園すぐそばのアパートまで引っ張ってこられた。
いい匂いのするワンルームの部屋に入るとたくさんのトロフィーが並んでいる。
皐月賞…ダービー…その先は俺の知らないテイオーの勝利の証。
「トレーナーがいなくなったのは私が骨折したせいだって思った」
テイオーが小さなダイニングテーブルに湯気の立つマグカップを2つ置く。
「だから毎日泣きながらリハビリした。また走れるようになったらトレーナーは戻ってきてくれると思ったから。…そしてお医者さんもビックリする早さでまた走れるようになった。だけどトレーナーは戻ってこなかった」
俺は返す言葉もなく黙って耳を傾ける。
221/04/12(月)22:50:32No.792262165そうだねx1
「だから私は直接会いに行くことにした。トレーナーの実家の住所教えてって学園に掛け合って。…最初は教えてくれなかったけど私が退学届持って、教えてくれないと学園辞めるって言ったらさすがに折れてくれて…ね?押しかけちゃった」
彼女は並んだトロフィーを眺めながら寂しそうに笑う。
「引っ張ってでもトレーナーを連れて帰る。どうしても無理なら私もここで暮らすって意気込んでトレーナーに会ったんだけど…結婚はズルいよ。左手の指輪見たら何も考えられなくなって逃げ帰っちゃった」
「その…ごめん」
「だから謝らないでってば。私はちゃんと走ったよ。私が勝てばトレーナーもどこかで喜んでくれてると思って」
テイオーは俺の手を取りそっと握る。
「私はこうしてトレーナーにまた会えてうれしい。ちゃんと頑張って走り切ったこと伝えられて幸せ。もう二度と会えないと思ってたから」
「それは俺もだテイオー。ちゃんと君に面と向かって謝ることができた。それだけでなんか救われた気がするし前向いていけそうだよ」
俺はマグカップに入った紅茶を飲み干し席を立つ。一人暮らしの女性宅に長居は不要だ。今はもうトレーナーという立場でもない。
321/04/12(月)22:52:13No.792262794そうだねx1
「でもまだ1つ伝えられてないことがあるの」
「え…?」
彼女は俺に近づき首の後ろで手を組んだと思うとベッドに倒れこむ。
ちょうど俺がテイオーを押し倒した格好になってしまう。
「私トレーナーのことが好きだった」
彼女は真剣な表情でまっすぐ俺を見る。
「あの頃はまだ子どもで…この気持ちが何なのかはっきりわかってなかったけど…私はあなたのことが好き。1人の女としてあなたのこと愛してた。ずっと想い…続けてた…」
次第に彼女の声が涙声になっていく。
「でもあなたは結婚もして…新しい人生を歩んでた…。何度も忘れようと思ったけど…レースで勝つたびに大勢のお客さんの中からあなたのことを探してた…」
絞り出すような声で彼女が呟く。
「おねがい…もういなくならないで…このまま私のもとにいて…」
421/04/12(月)22:52:57No.792263048そうだねx1
俺はバカな男だ。まだ若い彼女に自分勝手な夢を見て、自分勝手に逃げ出した。
怪我をした彼女を支えてやりたかった。はるばる俺を連れ戻しにきた彼女を抱きしめてやりたかった。ターフで歓声を浴びる彼女をもう一度見たかった。
でもそれはもう叶わない。過去には戻れない。だから俺は前を向いて、彼女の気持ちにこたえる。
「テイオー…俺もお前のことが好きだ。俺は弱くて…いつもまっすぐな君に救われてた。…大好きだ。愛してる。もうどこにも行かない。ずっと一緒にいてほしい」
テイオーは俺の胸で泣きじゃくりながらうんうんと何度も頷く。
俺ももう涙をこらえることができなかった。こんなに泣いたのはテイオーが怪我した日の夜以来だ。

ひとしきり泣いた後俺たちは唇を重ね、ベッドに入った。
521/04/12(月)22:53:12No.792263138そうだねx1
「やりすぎちゃった…な」
あたりはすっかり暗くなっている。
「10年分の想いこもってるんだから仕方ないよ」
生まれたままの姿のテイオーが俺の胸で呟く。
「実家にはいつ帰るの…?」
「いやもう帰らない。こっちでまた仕事探すよ」
「そしたら明日は広めのアパート探しに行こうね」
再び唇を重ねる。

「大好きだよ。ボクのトレーナー」
あの頃の面影が残るテイオーの笑顔を月明かりが照らした。
621/04/12(月)22:56:47No.792264449+
ジリリリリリリリリリリリリ
721/04/12(月)22:57:20No.792264641そうだねx8
先日の続き来たな…ありがたい…
821/04/12(月)22:58:12No.792264973+
しっとりテイオーいいよね
921/04/12(月)23:00:16No.792265707そうだねx8
昨日の10年後テイオーの続きです
ちょっと長くなりましたがありがとうございました
1021/04/12(月)23:03:59No.792266999+
成長したテイオーって無敵感凄い
1121/04/12(月)23:06:39No.792268035+
良かった…テイオーが幸せなら何も言うことねえ
1221/04/12(月)23:09:23No.792269015+
>昨日の10年後テイオーの続きです
>ちょっと長くなりましたがありがとうございました
こちらこそありがとうございます
結婚式するしないで揉める話とかしてもいいのよ
1321/04/12(月)23:13:44No.792270667+
いつ会長出てくるかヒヤヒヤしたけどNTR以外もやればできんじゃねーか、、よくやった
1421/04/12(月)23:27:38No.792275833+
ちゃんと良バ場もかけるんじゃん!!続き書いてくれてありがとうこれで明日も頑張れる‥‥
1521/04/12(月)23:29:49No.792276594+
深夜のテイオー怪文書はたまらねえな
1621/04/12(月)23:32:51No.792277625+
マグカップ出てきてマグカップ……会長……陶器の破片……ウッってなったけどよかった……10年後テイオー幸せになってよかった……
1721/04/12(月)23:35:09No.792278315+
このテイオー30歳近いよね?


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