①

武蔵はまた一人当てもない、放浪の旅を続けていた。
今回の顕現では、どうやらかなり文明の発展した世界にある様で、治安もよく、帯刀を見咎められて東奔西走と逃げ回る日々もあった。
今は身なりを目立たぬ様に変え、（顔も出回った時期もあり、目立たぬ様にほっかむりのある衣服を着ている。もちろん盗品である。）何とか市民の中に紛れている。
しかし困るのは銭のない事である。
幸い言葉は通じる地域であり、持ち前の明るさと強引さでなんとかなっていた所もあるが、今はにっちもさっちも行かずに、野垂れ死に寸前であった。
せっかく暖かな湯の里に引かれ辿りついたのに、ここで幕を降ろすのかと、覚悟していた時に声をかける不用意な男に会った

②

男はどこの者とも知れぬ武蔵に、金銭供給と一泊の誘いを投げ掛けてきた。
「それは食事付きか！」と鋭く問う武蔵に一瞬たじろぎながら、「もちろん好きなだけ。」と気安く応じる。
そこだけを聞き武蔵の頭は食べ物の事でいっぱいになり、続けて男が説明した、やれ男湯にだとか、やれタオル一枚で、といった条件を半ば程も聞いていなかった。

その後、武蔵は望み通り満足するまでうどんなり、刺身なり、思う存分食べつくした。（食いっぷりに少し引き気味の男とその連れであったが、うどんをすする様を見て、何やらにやにやと笑っていた。）
満腹になった頃、条件の話を思い出し、話を切り出すと男達は下卑た笑みを浮かべた…。

③
そして武蔵は、嫌々仕方なく、男湯の脱衣所でその滅多にない大きさの乳房を露にしていた。
いつ、誰が入って来るかも知れぬ予感に、名の知れた剣豪の意地もなく、心音を高らませて、今ものれんが揺れて誰か入って来ないかどぎまぎと落ち着かない様子。
なんとか誰も来る前に、服を脱ぎ終えると足早に湯船へと向かう。
久方ぶりの、湯あみは心地好いはずだが、場所が場所だけにどうにも落ち着かない。
一食一晩の恩とは言え、誰が来るかもわからない公用浴場で、一人男湯に浸かり、武蔵の姿は滑稽ですらある。
客が入ってきたら、入る前に渡された札に書かれた内容を、その客に頼むのが、只で済む条件と言わていた。
手に持つ札の内容は、その客に見て貰う様にと言われており、まだ自分でも確かめていない。
持つ手に力が入り、いっそ誰も入って来なければと願っていた所、不意に背後でガラリと物音が鳴り、一人分の気配を背中越しに感じた。

初め少し怪しんでいた様子の男であったが、湯に浸かっているのが女と気付くと、その視線はすぐに武蔵の胸元へと刺さる。
腰周りを覆う程度の布切れで、辛うじて隠れた一物が、密かに強ばりを強めるのがいやでもわかる。
自分の何かの勘違いでもあるのだろうと、気にせぬ素振りで背中を向け、湯に入る前の湯あみを始める男。
いよいよかと深いため息を一つつき、まったく自分の好みと正反対にいるその男に、弱々しく声をかける…。
その姿は辛うじて渡された布切れで前を隠してはいる。
（豊満な乳房は、その頂点のみに布がかかり、大部分ははみ出ている。
垂れ下がった布も頼りなく、股間に申し訳程度差しかるだけである。）
「あの…この札に書いてある事をしてもらっていいですか…？」
急に声をかけられた男が、その一物を隠す事にも気が回らず、渡された札と武蔵を交互に見返す。
武蔵の勝負感が、戸惑う男の目付きだけが鋭くなる事を、気付かせて背筋に悪寒が走った…。

④
念を押す様に本当にいいのかと武蔵に聞く男に、
「嫌だけれども、成り行きでそうなり仕方がない」
と、男の一物が視界に入らぬ様に顔を反らしたまま武蔵は言う。
それでなんと書いてあったのかと男に確認すると、「魔羅を手でコキMAXまで立たせて指で計る」様にと書いてある。
これには流石の武蔵も、今にも反吐が出そうな顔でげんなりとしていたが、対照的に男はどこか、艶々と輝くような期待に満ちた笑顔を向けている。
さっさと終わらせて仕舞えば良かろうと、ぶっきらぼうに風呂の椅子に腰を降ろした男の股の前に座る。
片方の手で胸を辛うじて隠すタオルを押さえ、もう片方で男のいきり立つ魔羅を雑にコキ始める。
その姿に並の男ならすぐ様果ててしまいそうだが、男は逆に残念そうな顔を隠さず魔羅もピクリとも動く様子がない。
「これで満足か？」と聞く武蔵に全然気持ちよくないと口を尖らせて不平を漏らす男。
もっと唾とか垂らして滑りよくして、スケベに触らないと、いつまでも終わらないよ？等と贅沢な注文まで付け出す。
その言葉に、更に気分の悪くなる武蔵であったが、早く終わらせて仕舞おうと吐き捨てる様に唾をかけて、早いばかりの手淫の手管を、少し遅らせて泡立つ様に刺激を始める。
とんだスケベだね…口だけでここまで上達はしないよと、にたにたと笑う男は言うが少しも面白く無さそうな顔で聞き流す。
しかし、その手の中に次第に収まらなくなってくる魔羅の姿に、いつになれば終わるのかと不安が強くなってきた…。
あぁ…とてもいいよ…ムサシちゃんだっけ？
もうそれくらいじゃないかな限界は？
飄々とそういう男の魔羅は、既に武蔵の顔をより長くなり、目の前に横たわりすえた匂いを放つそれから目を放せなくなっていた。
ムサシちゃん早く早く計らないと急かす男の言葉で、指示の内容をようやく思い出すムサシ。
その親指と人差し指で作った橋では、到底届かぬその長さに、この男は馬か何かの化生ではないかと、怪しむ。
そんなやり取りの中に、突然またドアの開く音が鳴り、ここまで連れて来た男達が入り込む。
ムサシちゃん第1チャレンジ見事クリアだね等と抜かす男にたたっ斬って仕舞おうかと一瞬逡巡する武蔵であったが、生憎刀は先程通された部屋に置いてきた。
しかし第1とはどういう意味か…？先程ので終わりではないのか？

最初に説明したでしょ？そのタオルの大きさなら1チャレンジ5000円で、武蔵ちゃんの借金は今の所20万円だよ？
驚愕を隠せない表情を見せる武蔵に、最早逆にこの女マジかと男達も呆れる顔を隠さない。
しかし、自分の立場と行為を省みると男達の話も無下に出来ないし、この人数を斬り伏せてとんずらするにも、今のこの世界の警察組織の錬度を考えるとどうにも無事には済まない。
「早く終わらせるには、どうしたら良いか」と腹を決めてとう武蔵に、男達が向ける下卑た笑みとそれに返す武蔵の見下す顔は好対象であった。

⑤
一先ず一万円分と言われて写真を取られる武蔵であったが、その隠したといい切れぬタオル一枚の哀れな姿に、先程の男やいつの間にか入ってきた別の男も両側に立ち並び撮影される事になる。
膝立ちで魔羅と顔を並べて撮らされた時には流石の武蔵を顔が羞恥に染まっていた。

そしてまた新たな札を引かされる。
先程のは五千円で、新たな札はタオルも更に小さくなるが、二万円になると聞かされる。
あと九回ほどもこんな事をやらされるのかと、辟易とした顔を隠さないが、最早股ぐらも隠せぬその布切れを申し訳程度に胸に当て、ぞんざいに新たな札を引き抜くと…。

次のミッションはゴムハメチャレンジだね！
不必要に明るく言われて半分も意味がわからずに首をかしげる。
聞けば、ゴムのリングを五つ、男の魔羅に口でハメろというどうしようもない、くだらない内容であった。
さっさと済まそうと思う武蔵であったが男達は一人残らず魔羅を立ち上がらせている。
これでは手でハメるのも一苦労という物…。
仕方なく一人目になるべく小さい者を選び、口に加えたゴム越しに亀頭を咥え込む。
その瞬間男は情けない声で嬌声を上げるが、無視して作業的に努めて、出来る限り下へと口で動かした。
胸元のタオルをなるべく乳房を隠せる様に両手で広げているが、頭の動きに合わせて弾む乳房は時折その頂点を覗かせる。
ゴムが中程まではまると横から舌と唇を使い根本までずり下げていく。
そして根本に辿りついた瞬間、ぱたたと男の性が暴発して床を汚した。
タイミングが悪いなとにやにや笑う男達に侮蔑の視線を向けるが、その光景を見ていた者達は、１人残らず早漏の物とは比べ物にならない大きさの魔羅を張り晒している…。

苦虫を潰すような顔で、二人目へと向かう武蔵。
にやにやと笑う男の怒張は、口に収まりきる気がしない太さである。
懸命に口を前後に動かし、ゴムを進めようとする武蔵だったが、その動きが男の欲を刺激して口の中へと性が吐き捨てられる。
たまらず口を離し、口腔から鼻へと、突き刺す生臭い匂いに貯まらず口の中の物を吐き出し、床に白い水溜まりを作る。
涎と混ざった白濁液を口の端に滴らせて、快感に恍惚の表情を浮かべる男を前に、息を整える。
そのベタついた吐瀉物の残りが、胸元を淫らに滑らせて、申し訳程度のタオルも肌に張り付き、淫らな姿を際出させる、化粧の一つに成り下がっていた。

さっき、うどんすすってた所見た時から、ムサシちゃんのフェラ期待してたんだよね。
フェラじゃないよチャレンジだよ間違えないで
などと口々に好き勝手な事を言う男達。
いつまでも好きに言わせるのは癪だとばかりに、勢いをつけて男の魔羅を咥え、一度に奥まで滑り込ませる武蔵。
情けない声を上げる男はその隙に再度性を吐く余力もない。
イマラチオだ、すげぇスケベだなムサシちゃん
と先程チャレンジだと言っていた男が臆面もなく言う。

まだ、悪夢の様な饗宴は始まったばかりである…。